マジックの本を称賛するだけの文章(Lou Gallo: The Underground Man)

注意:この文章ではただ私が私の感じるままに、マジックの良書を褒めるだけの文章です。

タイトル: 『Lou Gallo: The Underground Man』
著者: Richard Kaufman, Mark Phillips
出版年: 1996年
ジャンル: カード、コイン

『Lou Gallo: The Underground Man』は1967年に発売された書籍で、アメリカのLou Gallo氏の作品をまとめた作品集です。

Lou Gallo氏はアメリカのマジシャンで、「Gallo Pitch」の考案者として有名です。彼の家族でマジックに傾倒したのは彼だけではなく、彼の息子二人もであり、その意味ではマジック一家とも言えます。

本書はLou Galloさんのマジックがまとめられた作品集です。彼の作品集は少なく本書のみとなっていることから貴重な一冊であることは間違いありません。
本書は45以上のスライトや手順が掲載され、どれもがLou氏のマジックに対する愛情に溢れています。その中でも、この文章では特に「Christmas Aces」「Two-Card Tabled Triumph」についてコメントしたいと思います。

「Christmas Aces」は本書に書かれた数種類の4Aトリックの一つですが、その中でも構造が特徴的なものとなっています。多くの作品が既存のプロットに対するLou氏なりの解釈である中で、本作は一際異彩を放つものとなっています。裏表の 混ざった状態でAを見つけていくというものですが、巧妙で効果の高いマジックです。リフルシャッフルを複数回使うことでカードを完全に混ぜてしまいながらもAを1枚ずつ出していく本作品は愛好家にこそ読んでいただきたいものとなっています。

「Two-Card Tabled Triumph」はトライアンフ現象です。前作同様に表と裏を火混ぜた状態から選ばれたカードが出てきます。この作品の中で特に取り上げたいものが、そのディスプレイです。トライアンフのディスプレイは数多く考案されており、Daryl氏のTriumph Cutting Displayなどが有名ですが、Lou氏のディスプレイも効果の高いものだと思います。パケットの数は4でDaryl氏のディスプレイほど組織だったものではありませんが、直接的なディスプレイであることからトライアンフで行いたいことを実現するためのものとなっており、知識として学ぶことに意義があると考えています。こういったディスプレイやサトルティに対する細やかな気配りを楽しむという意味では本書は適した1冊と言えるかもしれません。

最後に、本書に言及するうえでGallo Pitchを外すことはできません。Gallo Pitchに限らず、オリジナルには思いもよらない発見が隠されていることがあります。私はこれまでにMichael Ammar氏の「Wiped Clean」やDai Vernon氏の「Traveller」などを読んだ際にこれまでの誤解に気づきました。その後の変化も十分に価値があると思いますが、オリジナルの文言には考案者の意図や思想が隠れています。それを知る前と知った後では理解に大きな差が生まれます。今回のGallo Pitchでも同じような発見がありました。私は今後の人生でこの発見を忘れることはできないと思いますし、その発見は次なる発見につながるものだと確信しています。その発見は言葉にすることが難しいのですが、一言で言えば一般的な誤解を知り、スライトの思想に対する理解が深まるような発見でした。また、当該スライトを活用した作品も掲載されていることから、コインマジックの愛好家には読んでいただきたいものとなっています。

まとめると『Lou Gallo: The Underground Man』はアメリカのLou Gallo氏の作品集であり、Ramon Rioboo氏やHerb Zarrow氏の手品を好む人にオススメできる一冊です。加えて、原案の好む人や僅かな違いに重きを置くようなかたにも読んでいただきたいため、幅広い層にオススメできる一冊となっています。

以上が『Lou Gallo: The Underground Man』について勝手に本を称賛した文章でした。この文章は決して書評ではありません。ただ褒めるだけの文章です。力不足ながらも、この本が持つ魅力の一片を伝えられれば幸いです。


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