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魚介類の対中輸出75%減、食卓からの応援で逆境をチャンスに

5分で読める、最新の経営ヒントを毎朝お届け。日経新聞の記事の中から、マーケッター視点で「今、知っておくべきデータ」をピックアップ。ビジネスマンの「やりたい」の成功確率をアップしてもらいたい!そのために、必要な視点やマーケティング戦略立案のノウハウを紹介しています。

記事の要約

東京電力は8月に続き、12月5日に福島第一原発で処理した汚染水の2回目の海洋放出を開始しました。処理水は約1週間かけて7800トン放出する計画です。東電によると、初回の放出後、周辺海域の放射性物質濃度に異常は見られていないとのことです。一方で、中国による日本産水産物の全面禁輸の影響が続いており、ホタテなどをとる漁業者は大きな打撃を受けています。8月の日本から中国への魚介類の輸出は前年同月比75%減少するなど、影響は100億円規模に達したと見積もられています。

東電は漁業者への賠償手続きを始めており、11月20日以降、請求書の発送を本格的に行う予定です。一方、水産物の国内消費拡大に向けた動きも活発化しています。宮城県石巻市では処理水放出後、ふるさと納税の水産物寄付が5倍以上に増加。スーパーや外食チェーンも道産水産物を使った商品を販売するなどの取り組みが相次いでいます。

今後の課題は、風評被害の影響をできる限り抑えつつ、水産物の持続的かつ安定的な国内消費を拡大していくことと考えられます。



日本の水産業界、大変革の只中に

僕はこの記事を読んで、日本の水産業界が大きな変化のただ中にあることを実感しました。これまで日本の水産物の多くが中国に輸出されていたこと、処理水の影響で中国が輸入を止めたことで、漁業者を直撃する事態が起きていることを知り、驚きました。

例えば、宮城県のホタテ漁業者の場合、影響が大きいとのこと。中国が日本産水産物を全面禁輸したことから、ホタテ以外の魚介類全体で、金額ベース昨年同月比で75%も売り上げが減少しているそうです。中長期的には厳しい状況が続くでしょう。

一方、こうした変化はチャンスとも言えます。僕は、自動車業界でEVシフトが進む中、部品メーカー各社が車種の枠を超えて提携し合う動きが活発化していることを知っています。水産業界でも、漁協間の連携強化や、6次産業化など新たなビジネスモデルの構築に向けた動きが加速することを期待したいと思います。

「応援消費」を習慣化し、食卓に定着させるには

記事にあった「応援消費」という言葉に共感しました。でも、そうした消費行動を一時的なものに終わらせないことが大切だと思いました。

例えば、震災後に買いだめや節電への協力が広がりましたが、時間の経過とともに薄れていったケースがあります。食の分野でも、応援消費による需要が一時的に拡大して供給量が増え、その後需要が元に戻ると、逆に供給過多に陥るリスクがあると思います。

こうした事態を避けるには、日本の魚や野菜を定期的に食卓に取り入れる「国産への愛着心」を育てることが大切だと思います。食材の産地表示を確認する、地元の生産者と連携したメニューを提供するなど、小売業や外食産業にも工夫の余地があるでしょう。

地産地消から全国へ、食習慣の改革を

僕は、この機会に日本各地で「地産地消」を推進し、食生活のあり方そのものを見直すきっかけになればいいと考えています。

もちろん、全国一斉に食の改革を実現するのは難しいでしょう。しかし、各地の小さな成功事例を積み重ね、全国的なムーブメントに育てていける可能性はあると思います。

例えば、京都の学校給食での地元野菜使用率を上げる取り組みは、他の自治体にも広がりつつあります。この流れを学校や職場の給食にとどまらず、スーパーや外食産業にまで波及させ、国民の食生活を変えていくことが理想的だと思います。

身土不二とは、「身と土、二つにあらず」、つまり人間の体と人間が暮らす土地は一体で、切っても切れない関係にあるという意味。自分の住んでいる土地でとれた食べ物を、その土地の調理方法で食べる。体にも環境にも良い、食習慣。日本には、こういう食習慣が元々はありました。

食にまつわる様々な課題解決の糸口は、身近な「地産地消」の取り組みにあるのではないでしょうか。僕もこれを機に、食の地産地消について関心を持ち、実践していきたいと思います。


今日の問い

  1. 貴社の商品やサービスは、海外依存度が高くなっていないでしょうか? 国内外のマーケットバランスを改めて確認する必要があるのではないでしょうか。

  2. 貴社の事業は、地域とどのように連携していますか? 更なる地域との協業はできないでしょうか。地域社会への貢献が成長の糧になる可能性があります。

  3. 貴社の事業内容を通じ、食を中心としたライフスタイルの提案はできないでしょうか? 食の地産地消や食育に貢献する新しいビジネスモデルを検討してはいかがでしょう。

  4. 貴社の従業員食堂は地場産食材を活用していますか? 従業員の食育と地域貢献を兼ねた食堂運営はできないでしょうか。

  5. 貴社の事業活動は、食品ロスや食のグリーン化に配慮していますか? サプライチェーン全体での食に関する持続可能性の向上が重要視されています。


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