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「0.5走法」は本当にバグなのか? -STEPN陰謀論-

このnoteでは、STEPNの色々な話題について「ちょっと深読みなんじゃないの?」と思うくらい考察を重ね、運営の意図に迫っていきたいと思います。

〈今回の要点〉
STEPNのバグと言われる「0.5走法」は、実はわざと用意されている
→その狙いとは

「0.5走法」とは

STEPNには、「0.5走法」と呼ばれるバグ技が存在します(2022.05.17現在)。それは次のような技です。

エナジー量が○.5(0.5や1.5など)のときにゲームをスタートすると、0.1エナジー分(=30秒相当)多く歩くことができる

STEPNの初期プレイヤーが主にお世話になる技です。靴1足持ちで最大エナジーが2の場合、エナジーは1日に4回、0.5ずつ回復することになります。つまり1日に4回「0.5走法」を行うことができ、これにより実質2.4エナジー分も歩くことができるのです。本来は2エナジー分しか歩くことができないので、+20%も歩けると考えると恩恵は大きいでしょう。

この「0.5走法」は、STEPNのシステムの不具合によって発生するとされています。具体的には次のようなものです。

残エナジー量が「0.5」の際にゲームを始めると、エナジー量が1分後に「0.3」、さらに1分後に「0.1」となる。
 ↓
0.1エナジーは本来30秒相当なのだが、STEPNではエナジーを消費する際に0.2エナジー(=1分相当)が最小単位として数えられているので、残りの0.1エナジーが0.2エナジーとして数えられてしまう(バグ)。
 ↓
30秒たっても計測は終わらず、1分後にエナジーが0となり計測が終わる。その際、0.1エナジーしかないのにエナジーバー上には「-0.2」と表示される。

バグ技ではなく「仕様」?

さて、しかしこの話を聞いてみて、どこかおかしいとは思いませんか。「0.5走法」は、最大で+20%もの利益を得ることができてしまう割と重大なバグです。その上、最もプレイ人口が多いであろう初心者にとって有益なバグなので、この技を使っている人も大変多いことでしょう。

そもそも、「0.2エナジーを最小単位として数える」という仕様自体が不可解です。確かに0.2エナジーはちょうど1分になるのでキリが良いですが、それでも普通は0.1を最小単位にするものではないでしょうか? 仮に0.2を最小単位にしたとして、残りエナジー量が0.1あまってしまう事態に運営が気づかなかったとは考えにくいです。この事態はけっこう頻発するので、普通にプレイしていれば気づかないことはありません。

そして、仮に本当に運営が気づかずゲームをリリースしてしまったとしても、「0.5走法」を修正するのは容易なはずです。なにしろ、エナジー処理の最小単位を0.1にして、0.1エナジーを30秒と計算させればいいだけの話です。「0.5走法」の存在は、遅くとも2022年3月前半にはSNS上で知られている(Twitterより)ので、運営はこのバグを2か月以上も放置していることになります。STEPNはかなり高頻度でアップデートされるゲームなのにもかかわらずです。ちなみに、先日5月14日に行われたAMAでSTEPNにおけるバグ技について運営が言及するシーンがありましたが、「システムの不備を使って利益を得る行為はBANの対象にできない」と言っています(有志の和訳Twitterより)。つまり、「0.5走法」はBAN対象ではないと公式が明言したことになります。

以上の理由から、
『0.5走法』は運営によって意図的に用意された仕様なのでは?
という説が浮上します。

「0.5走法」に隠された意図

とはいえ、運営はなぜ「0.5走法」をわざわざ用意したのでしょうか。考えられる理由はいくつかあります。そして、それらを読み解くことで、STEPN運営の隠された意図が見えてくるのです。

①「ゲームとしての楽しさ」を加える

STEPNのようなBCGにとって、単に「お金を稼げる」だけではなく、ゲームプレイ自体に価値があるとプレイヤーに思ってもらうことは重要です。なぜなら、「お金を稼げる」だけのBCGは、バブルが過ぎ去ってお金が稼げなくなったときにコンテンツの価値がすぐさまゼロとなり、持続可能性が低いからです。BCGが投機ではなくゲームとして楽しまれれば、コンテンツとして長持ちできるでしょう。

そこへきて、「0.5走法」のようなバグ技はたいへんゲーム的だと思いませんか? 確かに、「0.5走法」は効率的にお金を稼ぐために行われているかも知れませんが、バグ技で得をするのはどこか楽しい、というのも事実ではないでしょうか。

ふつうのゲームにおいても、バグ技は多くの人に楽しまれ、好意的に受け取られています。RTAやTASが人気を博しているのがいい例ですね。「面白いバグがある」というのがゲームの楽しみの一部だとすると、STEPNに用意された「0.5走法」はSTEPNの楽しさを増している可能性があるのではないでしょうか。

バグは意外と人気がある

②プレイヤーがよりいっそう健康になる

STEPNは(一応)フィットネスアプリであり、プレイヤーの健康増進を大義名分に掲げています。公式のホワイトペーパーでも、

STEPNは、何百万人もの人々をより健康的なライフスタイルに導き、気候変動と戦い、一般の人々をWeb 3.0に接続することを目指しています。

と述べられていますね。

さて、「0.5走法」はそういう意味で、プレイヤーの健康増進に役立つと考えることができます。なぜなら、「0.5走法」を最大限活用しようとすると、1日4回のエナジー回復時間に合わせてそれぞれ歩く必要があるからです。参考までに、「0.5走法」を毎日行っている僕の生活習慣を紹介します。

8:30 - 起床&ウォーキング
12:00 - 昼飯&ウォーキング
16:00 - 仕事の息抜き&ウォーキング
22:00 - 寝る前にウォーキング

どうでしょう。「0.5走法」をやっていなければ、僕は朝8:30に起きる習慣がついていなかったと思います。「0.5走法」を行うためには遅くとも朝の10時までに起床する必要があるので、早寝早起きの習慣が身に付きます。また、毎日4回もウォーキングに行くことになるので、起床時間以外の生活習慣も規則正しくなることでしょう。

STEPNがフィットネスを大義としているかぎり、「プレイヤーが健康になった」という実績は運営の利益になります。ここにも「0.5走法」の狙いがあるかも知れません。

③経済格差を小さくできる

先にも述べたとおり、「0.5走法」はほぼ初心者限定の技です。なぜなら、靴を1足しか持っていない環境で特に効果を発揮するため、たくさんの靴を持っている人にはあまり関係のない技だからです。

さて、運営は「ゲーム内における格差の是正」を重要視しています。トークノミクスに関する直近の声明文を見てみると、

もう1つの重要な要素は、トークンの配分方法だろう。貧弱なトークノミクスの共通の特徴は、個人投資家が大量にトークンを保有し、彼らがそれを販売できるまでの最低ロックアップ期間(権利確定期間)がほとんどないことだろう。これによって、彼らは大量にトークンを売ることができ、トークンの価格が暴落することになる。
「Tokenomics at STEPN」より)

とあります。つまり、一部の投資家が大量のGSTやGMTを保有している状態は好ましくない、ということです。これは逆に言えば、プレイヤー間の資産に格差がない方が運営にとって好都合だ、とも理解できます。

そこで、「0.5走法」の出番です。この技は、STEPNをはじめたばかりで靴を1足しか持っていないプレイヤーを優遇し、+20%もの稼ぎを与えます。そうしたプレイヤーは大口の投資家からは程遠い一般人なので、結果的に「0.5走法」はプレイヤー間の格差を是正するように働くと考えられます。

④靴の貸借を促す

前に書いた記事で、「運営はたくさんの人に1足ずつ靴を持っていてほしい」のだと考察しました。

ここへきて、「0.5走法」にはそれを促進するはたらきがあります。STEPNでは、靴の所持数に応じてエナジーが増えていき、例えば3足持っていれば4エナジーを獲得できます。しかし、最大エナジーが4の状態だと「0.5走法」を使うことができないので、せっかく靴を3足も集めても、
4-2.4=1.6
+1.6エナジーしか得ることができません。それくらいなら、「靴を1足家族に貸そうかな?」と考えても不思議ではありませんね。

ズル賢いぞ、運営

さて、このようにいくつかの理由を挙げることができましたが、僕が注目したいのはこれが表面上バグ技として存在していることです。なぜ明確な仕様ではなく、あたかもバグ技のようにして「0.5走法」は用意されているのでしょうか。

これは大変ズル賢いと思うのですが、「0.5走法」がバグ技として認知されているおかげで、STEPNに課金する人たちのモチベーションが下がらすに済みます。もし運営が、
「靴1足のエナジー量は2.4、3足だと4です」
と明言していたとしたら、
「靴を2足も増やしたのにその程度なのか……」
と思う人が一定数いたことでしょう。投資しない方が効率的だと考え、お金を出し渋る人もいたかもしれません。しかし、
「靴1足のエナジー量はです」
いうことにしておき、その後有志のプレイヤーに
「靴1足で2.4エナジーを得られる方法があるぞ!」
と発見させれば、運営はいいとこどりをすることができます。つまり、目論見通りに零細プレイヤーを優遇しつつも、大口資産家のプレイヤーからはそれが見えづらいようにしているのです。

たいへんズル賢い方法だと思います。一体運営はどこまで綿密にこのゲームを作っているのでしょうか……。

以上、今回の記事では「0.5走法」を切り口に深読み考察をしてみました。
いかがだったでしょうか?
もしかしたら、「0.5走法」は本当にバグ技で、運営は単にこれを修正する暇がないだけかもしれません。
この考察を信じるか信じないかは、あなた次第です。


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