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横山美術館 日本の陶工の粋に触れる

ふと思い立ち、名古屋市の横山美術館に行って来ました。

明治、大正の
日本の輸出用陶器のコレクションを楽しめる
陶器専門の美術館です。

twitterのタイムラインでたまたま発見し、
一目で美しい陶器に魅せられ、
ずっと頭の片隅にあったのですが。

美しいものを直接見る機会が
この1年あまり得られなかったのもあり
思い立ったら吉日、で重い腰を上げたわけです。

交通量の激しい大通りに、突如そびえたつ
白亜の建物。

明治大正の貴婦人を思わせるキャラクターが
お出迎え。

今回は、直前の企画展を逃し
(腰が重かったばっかりに)
常設展のみの鑑賞です。

こちらの美術館の素晴らしい点が
「写真撮影OK」「SNS投稿推奨」ということ。

明治維新後の日本の産業の礎を築いた
輸出陶器の素晴らしさを広める意義もあるかと。

というわけで、私の拙い撮影で恐縮ですが、
ため息が出るほど美しい
作品をご紹介します。

最初の作品から思わずため息。
オールドノリタケです。
ロココを思わせる金盛とエナメルの装飾。

常設展は1~3階までありまして、
日本陶器の伝統技法と
維新後のモダンテイストの融合の息吹を
感じさせてくれます。

こちらは瀬戸の陶器作品。
柄や色使いがモダンです。
フレンチシックな雰囲気が漂います。

いかにも日本らしい彩色の九谷焼も
立体装飾や巻物型など、趣向を凝らしたデザイン。

有田焼の大花瓶。
サイズの迫力もですが、近づくと
細やかな彩色も見事で二重の驚きがあります。

こういう渋い配色も素敵。

白磁に立体造形も面白い。

透かし彫り技法も。
紅がさした小花が可憐です。

こちらは七宝の大花瓶。
大輪の花と濃紺の背景のコントラストが鮮やか。

ぐるりと回り込んでも隙のない
絵柄の構図。

日本の伝統技法を余すことなく込めた
大作ばかり。
ジャポニズムに熱狂した欧州の人々も
きっと魅了されたことでしょう。

そしてもう1つの見所が
オールドノリタケのコレクションです。

エンペラーエッグを思わせる
卵型のデザイン、非常に繊細な金盛、金彩が
華やかに彩ります。

この洋風のデザインを
明治にあっという間に我が物にしてしまった
技術の高さと、意気込みが素晴らしい。

こちらは盛上という技法で
レースのような繊細な立体装飾が施されています。

卵型の花瓶、私のなかでは
一番心くすぐられるフォルム。
葉脈の細かいラインまで緻密に表現されています。

この花と葉の表現も美しい。
絵付に合わせて盛上の柄が配されているあたり、
着物生地に立体刺繍を施す表現にも
通じるものがあるかも。

こちらは金盛。
彩色を絞ってシックな印象。

金盛のパンチボウルセット。
これでパンチが給仕されたら心踊りますね。

布目を入れて、キャンバスに見立てて
絵付を施したタピストリー花図。
様々な手法に果敢にチャレンジしていたんですね。

ラスター彩の作品群。
アールデコ調のデザインが
ポップな印象。

ちょっととぼけた表情に
見ているほうも顔が思わずほころびます。

象のシリーズ、可愛いな。


アメリカ南部美人を題材にしたシリーズは
鮮烈な彩色がカッコいい。

デザイン画のコレクションもあります。
図案時点ですでに立派なアートです。

ヨーロピアンテイストから
アメリカンモダンまで、実に幅広い作風と技法、
存分に堪能いたしました。

また10月からカップとソーサーの企画展が
始まるので、再訪いたします。

日本の陶器産業で
世界に打って出よう!という
先人たちの意気と技術開発、
欧米の感性を吸収しつつ、
独自の表現に昇華した感性。

どっぷりと美の世界に浸かれる美術館。
多くの方に見ていただきたいなぁ。

#横山美術館 #陶器 #オールドノリタケ #有田焼

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