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【子ども】数②お話へとつながる遊び

毎回、朝の詩の後にはリズムの時間を設定し、お手玉をしたり身体を動かしたりして遊ぶことにしている。なぜなら、日曜日の朝、子どもたちはなんとなく身体が重く、すっきり目覚めていない状態でやってくるからだ。お話を聞くのは、頭も心も体も目覚めさせてからの方が良い。そして、そのリズムの時間とお話につながりを持たせて、流れるように進めていきたいと私は思う。

前回(→文字②~初めての授業、思いとは裏腹に~)はお話に合わせてリズムの時間を考えたが、今回はリズムの時間の遊びを基にしてお話を作る、という逆方向からのアプローチを試みた。この記事では、基になった遊びを紹介しよう。
※説明がわかりにくい箇所があれば、コメントくださいね!


ゲーム①「魔女の宝を盗み出せ」

設定; 年取った魔女は目が見えないが、おそろしく耳が良い。少しでも物音を立てると、指先から放たれた魔法で石にされてしまう。魔女に気づかれず、宝を盗み出せ。

準備; 魔女役とこびと役に分かれ、こびと役は車座になって座る。魔女役は目隠しをして、円の中心に座る。宝を数個用意し、魔女のすぐ近くに散らばらせて置く。制限時間を決める。

遊び方; こびと役は声や音を出さない。立ち上がって宝を取りに行き、自分の場所まで戻って座れたらセーフ。魔女役は、物音が聞こえた方を指差す。指を差されたこびと役は、その場で静止する(「だるまさんが転んだ」みたいに)。時間内に宝を全てこびと役が手に入れたら、こびと役の勝ち。それができなかったり、こびと役が全員石にされたら魔女役の勝ち。

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(↑ 魔女は目が見えないので、目隠し)

当時受講していた講座で教わり、おもしろいゲームだからぜひやろうと思って準備していったが、正直、失敗だったと思うこともいくつか。

1つ目は、こびと役に対して、”音を出さない”というルールを設定せずにはじめたところ、周りで見ているこびと役がわざと音を立て、魔女役を惑わせたこと。それはそれでおもしろかったけれど、静けさの中で緊張感を味わって欲しいという、こちらの意図はまったく叶わなかった。(後に受けたインプロワークショップでも同じゲームを体験したが、”音を出さない”というルールの必要性について言及されていた。インプロはアイデアの宝庫。興味のある人は→ インプロinカフェコモンズ )

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(↑ 魔女が怖いと言って、隠れている様子)

2つ目は、「こわ~い」と言ってこびと役が誰も動かなかったこと。低学年なのだから、当然だ。勇気が必要なゲームは、9歳(孤独を知る時期、とても敏感。詳しくはコラム~年齢に沿った成長のために~)くらいからがおすすめだ。遊びの中で奮った勇気が、孤独に打ち勝つ勇気になるだろうから。


ゲーム②「魔法の木」

設定; 魔女の館には広い庭があり、果物の木がたくさん植えられている。魔女が果物の名前を言うと、実は木から離れて庭を駆けまわる。

準備;魔女役と果物の木役にわかれる。木役は車座になり、脚を伸ばして座る。木役に、”りんご”や”みかん”など数種類の果物の名前をつける。魔女役は円の中心に座る。何周走るか決めておく。脚を踏んだら(踏まれたら)どうするか、確認しておく。

遊び方;魔女役が「りんご」と言ったら、”りんご”は立ち上がって反時計回りに走る。”みかん”や”ぶどう”は動かないので、根っこ(脚)を踏んだりつまずいたりしないよう、飛び跳ねながら走ることになる。〇周走ったら、元の場所に座る。

発展①; 例えば魔女役が「りんご」と言ったとき、”りんご”が数人走るのだが、前を走る”りんご”を追いかけてタッチする。タッチされた人は魔女と交代する。
発展②; 魔女役が「嵐」と言ったら、全員が時計回りに走る。
発展③; 魔女役が「日照り」と言ったら、根っこは水を求めて広がり(脚を広げる)、「雨降り」と言ったら閉じる。木役は走りにくくなるはずだ。
発展④; 自分の好きな果物の木になる(魔女は何の果物があるか知っているor知らない)。果物以外の食べ物もOKにする。など、様々なバリエーションで。

友達の脚を気遣って走ること、踏んでしまったときに相手をいたわり心を込めて謝ること、痛い思いをしたときに感情を表すこと、謝られたときに許すこと・・・否が応でも人とかかわるしかないゲーム。関係づくりには持ってこいだと思う。これも、講座で習ったものをアレンジした。

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(↑ 果物の木になって、根っこを広げている様子)

難点は、1回ではルールが理解しづらく、定着するまで繰り返す必要があること(改めて、フルーツバスケットって単純で面白いからすごいなと思う)。自分が元々どこに座っていたのかがわからなくなる場合があるので、座布団などの目印があった方が良いだろう。
私の場合は、この座布団の準備が難関で、子どもたちが押入に入る、布団を出して遊び始めるなどのハプニングに見舞われた。それはそれで楽しんだけれど、時間配分を大幅に修正しなくてはならないので大変だった。

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(↑ 違う遊びが始まった・・・)

もう一つの難点は、人数が少ないと盛り上がりにくく、4名では遊びにくいこと。20名くらいいると、結構楽しめる(どこもそうだろうけど、この”人数”は土曜クラスの大きな壁だと思う)。ただ、人数が少ない方が安全が容易に守られる、脚を踏んだ・踏まれたで揉めなくて済むといったメリットもある。「誰がどこをどう走っているのか、教師からは一目瞭然」という安心感。それがあるだけで、不思議と事故は起きないものだから。

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えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。
小学校教員を経て、現在は放課後等デイサービスの指導員として働くかたわら、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。
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