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【大人】気質を使いこなす④わかりあうために

どうしたら人とスムーズにわかり合えるのか。誰もが悩み、望むところです。そんな時に使える強力なツールのひとつが気質。相手と自分の気質を知り、その特徴を踏まえて接すれば、身にまとう過剰な鎧に邪魔されることなく、スムーズに中身と中身で付き合える関係になれそうです。今回は気質の最終回。これまで3回に亘って学んできた気質を、もっと「使いこなす」ための上級技と、色に気質を重ねてみて感じたことをお伝えします。

▼話を聞かない方がいい時も?

宿題の本『4つの気質と個性のしくみ』(ヘルムート・エラー著)をパラパラ見ていて「人の言うことを聞かない方がいい時もある」と書いてあるのに目がとまりました。人間関係に活かせそうだと思っているのに、相手の話を聞かないなんて、かなり衝撃です。どういうことなんでしょう?

一例をあげれば、胆汁質的に感情を爆発させている時には、落ち着いて聞かれると腹が立つ(←そうなの?ビックリ!)。その場合はこっちも爆発して勝負する(←粘液質の強い私には想像できない)か、いったん避難した方がいい場合もアリ。他にも、憂鬱質的に、根拠もなく鬱々としている時には、もっと大変な人の話をして「自分はまだマシかも」と思えたらと相手も楽になるよ、などなど。

気持ちのバランスを崩して自分を見失っている時には、本来の自分に戻らせてくれる方がありがたい、ということのようです。

粘液質の人は気持ちが安定しているけど、必要に応じて怒りや嘆きを表現できる方がいいし、したいことがある時にはそれを進められる方がいいに決まっている。多血質の人に楽しみが多いのは素晴らしいけど、実は好きなことを見つけて集中したいのかもしれない。憂鬱質の人が考え込むのはいいとしても、意味なく落ち込んでいるなら復活できるに越したことはない。胆汁質の人は素直に怒っているだけで、人間関係を壊すために怒っているわけではない。

バランスを崩しすぎた時には、「あえて聞かない」という寄り添い方もあるのだ、ということですね、確かに。でも使い方を間違えたら大けがしそうな、かなりハイレベルな気質の使い方です。粘液の私にはそんな技、怖くて使う気になれません…。

▼気質を色で確かめる

次の月は、鹿喰容子先生(※)をお招きして、色の世界を味わいました。
※鹿喰容子さん キャンプヒル共同体でアントロポゾフィに出会い、造形美術を通して学ぶ。2010年帰国。現在、牧場で働く。アントロポゾフィに基づく絵画造形療法士の会準会員。

各自持参したエコバッグに、クレヨンで色相環を描きます。
青と黄色を隣り合わせで塗るところからスタート。外に向かう黄、穏やかな青、次第に内にこもっていく紫、爆発する赤、そして生まれる明るいオレンジ、また黄色…。赤から黄色に向かう気持ちと青から赤に向かう気持ちの違いなど、色自体が持つ性質や、気質とのつながりを感じながら色を重ねていきます。

色相環がある程度完成したら、その外側にそれぞれの色が一番引き立つ色を選んで塗っていきます。なんとなく予想した通り、それはいわゆる反対色でした。

反対の気質の人は引き立て合うどころか、苦手な人だったりします。だって気持ちがわからないから。でも、気質を学ぶことで、相手の気持ちを理解するヒントにはなります。そして、自分とは反対の気質の人、たとえば考える人には動く人が、怒る人には受け止める人が必要なもの確かです。

▼第5の気質、真ん中の光

色相環が出来ると、真ん中の白が美しく際立ってきます。白、純粋な光。古代人のように素直に神様を信じられなくなった現代人は、外から照らしてくれる神の光を受け取れなくなった変わりに、自分の中にある光を強めて生きていこうとしています。

これまで一緒に読んできた『4つの気質と個性のしくみ』(ヘルムート・エラー著)に、「気質のバランスがとれた真ん中のところに“自分を変える力”という第5の気質がある」と、書いてありました。自分の気質がどんな色で現れているにしろ、人間の真ん中にあるのが光とは、なんと力強い表現でしょう!

1人の人間の真ん中にあるのが光なら、人間関係の真ん中にも光があるはず。違う気質の人が互いに照らし合う関係になるためには、自分と相手が反対に立つのではなく、どちらも同じ色相環の上に立っている、と考えてみてはどうでしょう? 真ん中に歩みよれば、どちらも光の中!

一緒に読んできたメンバーも、「学ぶことで、“そうか、そうなってるのか”と安心する」とか、「この本は、人間関係で困った時に、実用書として使っていきたい」というようなことを話してくださいました。

外からの刺激や、自分の気質に、自分をコントロールされるのではなく、
自分「が」4つの気質を使いこなす、自分の本当の指揮者になれたら。状況に合わせてさまざまな気質を自由に繰り出せたら。そのためには、頭で理解することと共に、日々の意識的な練習が必要ですね。大人はいつでも自己教育。そんな話で気質の学びを終えました。学びの続きはそれぞれの暮らしの中で!

4回にわたってお届けした気質の学び。お気づきでしょうか? 4回分のタイトル写真、実は気質を表現した写真をあてはめています。今回は憂鬱気質。硬い洞窟の中に閉じこもって、外の明るさをこっそり見ている感じ。


気質の本もいろいろ出ているので、ご興味のあるみなさんは、ぜひご自分でも読んで試してみてください。自分を理解するためにも、相手を理解するためにも、なかなか実用的です。

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オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当
小さな勉強会や書くことに関する仕事、普段の暮らしなどを通して自分の考えを深め、表現する。その結果、自由で愛のある社会に近づけるといいな。
ブログ毎日更新中。https://blog.goo.ne.jp/oneby1
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