【コラム】フォルメンが瞑想に変わるとき
7月から3回に渡って、ルドルフ・クッツリ氏の「フォルメンⅠ・Ⅱ」を訳された石川恒夫先生の講座を受ける機会を得ました。この2~3週間、改めてフォルメンに取り組んでいます。
フォルメンとは、form(形)と、zeichnen(描く)を合わせた言葉。シュタイナー学校で、文字を習う手はじめに、また幾何学への橋渡しや植物学などの自然科学にも通じていく教科のひとつです。
「うまく説明できないけど、大人にも何かいい作用がありそう」という予感とともに、10年ほど前から模様を描くのが楽しくて描いていました。描けば描くほど「大人がやっても絶対何かある!」という実感が強くなり、日本で入手できるフォルメンの本を全部買って(と言っても数冊しかない)、それを参考に、ぐるぐるぐるぐる描いています。
「なんだか知らないけど、きっとコレはすごいものだ」という予感。「描いているうちに、ざわざわしている心が落ち着いてくる」「その都度、自分に必要な法則が降りて来る」という実感。私にとっては、今の自分の動きに集中できる、瞑想みたいな書道みたいな、言ってみれば、心のヨガの役割も果たすアクティビティです。
そんな実感を持ちつつ、自分のやり方はコレでいいのかな? もっと深めたいな。他にも取り組み方があるのでは? と気になっていたので、石川先生の講座は渡りに舟でした。「やり方」は間違っていなかったけど、講座を受けることで、さらに深まっていく確信を持ちました。
それ以来、毎朝、起きてすぐの15~20分程度、フォルメンの時間を持っています。立って、空中で大きく何らかの動きをする。それと同じ動きを机の上で繰り広げる。クレヨンを持って動く。紙面に軌跡が描かれる。
その間、心に耳を澄ませながら、自分が何を感じているのかをそっとすくい上げる。最後に、その軌跡を見ながら今の心の動きを振り返りつつ、一言二言、専用のノートに、描きながら届いたメッセージをメモする。
たったこれだけのことが、まるで瞑想のような落ち着いた時間をもたらしてくれます。このフォルメン、動きから入るので、私にとっては瞑想よりも取っつきやすくて、動いた軌跡が目に見えるのもいいものです。なるべく大きな紙で動きたいので、子ども用のお絵かき用の安い巻紙を遠慮なく使っています。
動けば動くほど、普段、頭で考えたこととは違う何かを感じます。言葉以前に自分の中にもやっとあるものが現れてきます。毎朝取り組んでいると、寝ている間のことが届くこともあるし、夜にやれば、一日のリセットや、心のヨガとしての役割も果たしてくれます。
動いているうちに感じることは、自分のことだったり、何らかの法則だったり…。何か大きなものからのメッセージ、というような気もしてきます。毎回思いがけないヒントをチラリと見せてもらえるような、それはそれは不思議な感覚です。
動き自体は、見た通りだし、時間もかかりません。
A3以上の大きな紙やクレヨン、やわらかい色鉛筆がいいのですが、それがなくてもコピー用紙の裏と鉛筆でいいので、何が味わえるか、一度心を澄ませてトライしてみるのも良いかと。「メッセージ? と言われても…?」と、最初はピンと来なくても、少なくとも動いているのは気持ちいいし、きっと、自分の心のさざ波を無視しない練習にはなりますよ。
「たとえばどんな動きをしたらいい?」という方は、私個人のブログの「フォルメン」カテゴリーにいろんな形と感じたことを載せているので、好きな形を動いてみてくださいね。シンプルな形の方が心に耳を澄ませる余裕があっていいかもしれません。
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▼オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当
書く人、聴く人、考える人、作る人、遊ぶ人。普段の暮らしの中で、ちょっと立ち止まって考え、言葉にし、行動してみる。少しずつ、みんなで幸せになっていけたらいいな。
ブログ毎日更新中。「自由の哲学を読む」~日々の暮らしから~
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