ChatGPTに聞いたらなんでも答えてくれるのだが、その情報の正確さはあまり信頼できないし、極めて抽象的でジェネラルな回答しか返ってこない、という印象を持っている方が多いだろう。
だが、最近のChatGPT-4oには「要約機能」がついており、これがかなり使える。例えば、ある本(特に英語で書かれているようなもの)から情報を取りたい時に、全部読むのがめんどくさい、という場合があるし、そもそも何が書いてあるのか、目次を目を通す気にもならない、という場合が多いだろう。
そういう場合は、ChatGPTに読ませて、自分が気になる部分だけ質問すればいい。そうすれば、自分が知りたい疑問だけをその本から抽出することができ、気になることがあれば「その本を読んだ」ChatGPTに対して、質問を投げ続ければいい。
例えば、ユーゴスラビアの歴史に関して、何も学習してない状態のChatGPTに聞くとこういうことになる。
なんも面白くないし、せいぜいWIkipedia程度だ。
めちゃくちゃアドリブの効く優等生に、読んできていない本についての抜き打ちテストをするとこういう感じの回答になるだろう。
だが、ここで以下のユーゴスラビアの歴史について書かれた本をKindleで購入→DRM解除→テキストファイル化して、ChatGPT-4oにアップロードした上で、「この本を分析した上で、これからの質問にはこの本からの内容だけを抽出して教えて」と指示する。
すると、さっきと同じ質問に対して、こういう答えが返ってくるようになる。
ほほう。これはなかなかに面白い。
「君、ちゃんと本を読んできたね!」という反応をしたくなる。
例えば、ユーゴスラビアが経済的に困窮した原因として前者の解答では「民族主義的な政策」「他国からの経済制裁」などといった抽象的な答えしかしていないが、後者の解答では「ミロシェヴィッチ政権はクロアチアやボスニア・ヘルツェゴビナでの戦争を支援するために巨額の資金を必要とした」→「この資金調達の一環として、政府は大量の通貨を発行した」という具体的な背景が読み取れる。
また、「政府が資金不足を補うために行った詐欺的な金融政策(いわゆる「ピラミッドスキーム」)」という論点も、前者の解答には含まれていないものである。
ここで、ユーゴスラビア博士になったChatGPTに、さらにこのピラミッドスキームについて詳しく聞いてみると、以下のような答えが返ってくる。
上記の解答を分析してみると、後者の解答には「なぜ」に当たる部分がしっかり含まれている、と見てとることができる。
通常、本を読むときは私たちは「なぜ?」を常に問いながら読むわけで、それが読書から得られる知恵でもある。ChatGPTはデフォルトではこの「なぜ」の部分を教えてくれないから全然面白くないのだが、本を読んだ直後であれば、しっかりその本に書かれた「なぜ」に当たる部分を的確に抽出して教えてくれるようだ。
他にも、こんな質問をしてみよう。
やたらと長ったらしいが、大して面白くない。
学習ずみのChatGPTに聞いてみよう。
セリフ付きのエピソードを答えてくれると、なかなかにインパクトがある。しかも、チトーの毅然とした態度をよく表しており、学習前のChatGPTがあげた6個の事例よりも、この1個の事例が遥かによくチトーの人格を表しているといえるだろう。
ネットサーフィンしかしないChatGPTと、一冊の本をしっかりと読み通したChatGPT。どちらが信用できるかは明らかだ。