ゆー

人類の精神を育むキノコを志す、ラディカルな若手教育者です。

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マガジン

  • とある家庭教師の独断的書評

    読んだ本について自由に感想を述べています。似たような考え方や関心を持つ方と繋がれたら嬉しいです。

  • とある家庭教師の妄想

    哲学書を読み、自分なりに考えたことを綴りました。滲み出る青臭さとアホくささを味わいたい物好きな方はぜひ。

  • とある家庭教師のイギリス留学体験記

    2020年春にイギリスに行った際、一風変わった視点でロンドンの情景を綴った6本のエッセーです。ツッコミどころ満載ですがそこも含めて楽しんでいただけると幸いです^ ^

  • とある家庭教師の洋画評

    独断と偏見で選んだ映画について論じます。名台詞からキャラクター分析、ストーリーについての感想など。英語力を楽しく磨きたい方も是非ご覧ください。(執筆者は英検1級、TOEIC満点を持ってます。)

最近の記事

ChatGPTに「本を読ませる」。人工知能時代の新しい本の「読み方」

ChatGPTに聞いたらなんでも答えてくれるのだが、その情報の正確さはあまり信頼できないし、極めて抽象的でジェネラルな回答しか返ってこない、という印象を持っている方が多いだろう。 だが、最近のChatGPT-4oには「要約機能」がついており、これがかなり使える。例えば、ある本(特に英語で書かれているようなもの)から情報を取りたい時に、全部読むのがめんどくさい、という場合があるし、そもそも何が書いてあるのか、目次を目を通す気にもならない、という場合が多いだろう。 そういう場

    • テレンス・マッケナに学ぶ、サイケデリック・カルチャーの歴史と「食」の関わり。

      以下の内容は、テレンス・マッケナ「Food of Gods」(未邦訳)の内容を、対話形式で再編集したものです。 シャーマニズムの神秘を語る 初心者 (A): ねぇ博士、シャーマニズムって聞いたことあるんだけど、何かよくわからないんだよね。普通の宗教とどう違うの? 博士 (B): おお、シャーマニズムか!それは人類最古の精神的な実践だよ。シャーマニズムは、ただの宗教とは違って、実際に自然と深く結びついた技術なんだ。シャーマンは、トランス状態に入って、精霊と交信したり、病気

      • 「人生」が「ゲーム」なら、その「ゲーム」丸ごとゴミ箱に捨てた時に初めて本当の人生が始まる

        ある程度スピリチュアルな生き方について解説した本の中には、「人生はある種のゲームであり、そのゲームをクリアするとスコアが上がって、それが上がれば上がるほど死後にいい世界に還れる」などという世界観がある。 私はそれは極めて浅薄な解釈だと思う。 人生にスコアなどない。目的などない。誰かが決めた評価軸の上を歩む人生など、人生ではない。そして、人生は断じてゲームなどではない。 誰かが設計したゲームをクリアすることに、何の意味があるだろうか? 誰かが設計した評価関数を最大化するた

        • 音楽生成AIのSunoで、自分の書いた歌詞を歌にしてみた

          最近流行りのSuno AIで、自分の作った歌詞を歌にしてくれると聞いたので、試してみました。結構気に入りました! 使ったのはこのソフトです。 https://suno.com/create 題:「ホモ・サピエンス」 歌詞: 人間が賢い種族だなんてだれが言ったんだろう 闘争と破壊だけじゃなくてさ もっとほら、素敵なもの 愚かだから僕ら人間でいられる 目でしか君の姿を見れない 耳でしか君の声を聞けない どうしたって僕は君じゃない 孤独だから僕ら人間でいられる 全てを知

        ChatGPTに「本を読ませる」。人工知能時代の新しい本の「読み方」

        • テレンス・マッケナに学ぶ、サイケデリック・カルチャーの歴史と「食」の関わり。

        • 「人生」が「ゲーム」なら、その「ゲーム」丸ごとゴミ箱に捨てた時に初めて本当の人生が始まる

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        記事

          短編:存在という牢獄

          生まれた時から牢獄に囚われている。 周りの人は私をみて「あなたほど自由な人はいない」と言う。だが私は未だかつて本当の意味で自由になったことはない。だから私は、人生の全てを、自由の獲得に捧げる覚悟で生きてきた。 生まれた時から貧乏に生まれついた私は、金があれば自由になれると考えた。だから新聞配達で日銭を稼ぎ、商売でひと財産築いてから、投資で巨万の富を築いた。気が向いたらあらゆる場所に行け、首相や皇帝とも自由に話せる立場に上り詰めた。だが私はちっとも自由ではなかった。 生ま

          短編:存在という牢獄

          「自分軸」で生きるということ

          知的好奇心と、本当に自由な知性は違う。それは、「重力によって突き動かされる天体」と、「自分自身が重力になること」くらい違う。 知的好奇心の背後には、「征服欲」がある。この広い世界の全てを、「真実」という形で自らの支配下におきたいという飽くなき欲望がある。その知は権力の性質を帯び、やがて自由を求めたはずの知性は自らが「世界」を規定する権力の牙城そのものとなっていることに気づく。この世界を「知る」ことによってしか把握することができない限り、この権力の網の目から本当の意味で抜け出

          「自分軸」で生きるということ

          非同期同調セル・オートマトンの実装とRNAワールド仮説からの考察(コード付き)

          フォン・ノイマンによって考案されたセル・オートマトンは、単純なルールが生み出すカオスの創発のトイ・モデルとしてさまざまなバージョンが生み出されてきた。 代表的なものに、ラングトンの蟻やコンウェイによるライフ・ゲームがある。 ウルフラムによる分類によれば、最も単純なセル・オートマトンは4つのクラスに分類され、そのうちの4番目のクラスがカオス的でありながら周期的な興味深い状態、すなわち「カオスの淵」に位置する。そして、この4番目のクラスは、ルール全体を見回しても滅多に見当たら

          非同期同調セル・オートマトンの実装とRNAワールド仮説からの考察(コード付き)

          リザバーコンピューティング(RC)から考える政治と経済の未来

          バケツ一杯の水がAIの機能を果たす、物理リザバーコンピューティング(PRC)という概念がある。 具体的には、こういうことだ。バケツ一杯の水に対してある特定の刺激(インプット)を与え、それに対して広がる波紋の形状から特徴量を抽出(アウトプット)する。すると、そのインプット→アウトプットの過程でニューラルネットワーク同様の複雑な計算が行われており、排他的論理和(XOR)を代表とする人工知能が得意な計算タスクと同様の問題を解くことができる、というわけだ。 なぜバケツ一杯の水にこ

          リザバーコンピューティング(RC)から考える政治と経済の未来

          「落書き」としての世界を愛する

          脳科学を学ぶと、こんな気持ちになる。 五感が描く物理的世界は、人間に知覚可能なスペクトルの「絵の具」を用いて、脳という幼稚園児が描いた「落書き」にすぎない。 白い色彩だけで描かれた絵が存在しないように、五感という「絵の具」が消え去った時点で、わたしたちの世界はもろくもくずれ去るだろう。 死とは、わたしという夢から覚めることだ。 わたしがみているこの「世界」と、 わたしが暮らす「社会」と、 その一員としての「わたし」はすべて、 高等多細胞生物としての脳が生物学的必然性に

          「落書き」としての世界を愛する

          宇宙はシミュレーションゲームではなく、1台の雀卓である

          よくこの宇宙が1つのシミュレーション・ゲームである(*1)と言われるが、私はこれに対して、宇宙は1つの雀卓である、と提唱したい。 前提として、宇宙の本質は「フラクタルなノイズの集合体」である、と仮定する。そこに生まれ落ちた高等多細胞生物としての人間は、その「フラクタルなノイズの集合体」に秩序を見出し、同時にそのランダムネスが自らに加えうる危害を最小限に抑えなければいけない。 そのために人間は「フラクタルなノイズ」の1つ1つを「麻雀牌」として把握する。つまり、秩序を与えられ

          宇宙はシミュレーションゲームではなく、1台の雀卓である

          国際金融の仕組みを生物学で説明する試み

          私たちの体の中には60兆個の細胞が住み、それが有機的な階層構造の元に1つの生命活動を行なっている。国際金融も同様であり、80億人の人々と5800万の会社が、有機的な階層構造の元に経済活動を営んでいる。 生命体において、「エネルギー」や「水分」「ナトリウム/カリウム」「pH」「温度」などのバランスを常に恒常状態にキープすることが至上命題であるように、国際金融における「ホメオスタシス」は「景気指標」「在庫」「労働、賃金」「物価」「家計」「住宅、設備」「金融、財政」「貿易、国際収

          国際金融の仕組みを生物学で説明する試み

          なぜ市場は人間よりも賢いのか? 計算論的神経科学に基づく仮説

          市場は人間よりも、コンピュータよりもはるかに賢い。 そうでなければ、とっくの昔に金融はその使命を終えていたはずだ。 市場は正確に社会と経済の未来を予測する。 だからこそ、大統領選の選挙結果すらも市場は予言できる(Rothschild 2009)。 ではなぜ、市場はこんなに賢いのか? 「集合知」という言い方はよくされても、その具体的な仕組みは不透明だ。 計算論的神経科学の知見は、この疑問に新たな光を投げかける。 そこから浮かび上がる仮説は、「市場は、脳と同じ形で強化学習の仕組

          なぜ市場は人間よりも賢いのか? 計算論的神経科学に基づく仮説

          「経済神経力学(EconoNeuroDynamics)」という学問の可能性について

          よく経済は「社会の血液」であるというアナロジーが用いられるが、実際には「社会の神経」であると言った方が自然だ。なぜなら、2008年のリーマンショックのような「ブラック・スワン」現象は血液に関しては起こらず、ニューロンの雪崩のようなバーストによる「てんかん症状」と本質を共有しているからだ。経済主体同士の驚くほど緊密な相互交流と情報伝達、ネットワークのスモールワールド性などにおいても、血液循環系よりも神経系の方が「マネーの動き」を表すための適切なアナロジーだと言えるだろう。 脳

          「経済神経力学(EconoNeuroDynamics)」という学問の可能性について

          Rulkov Mapモデルによって株価変動からランダムネスを除外する実験①

          前回の記事に引き続き、神経の活動電位を単純化した決定論的方程式で表すrulkov mapを利用した金融データ解析についての実験をおこなったので、備忘録として記しておきたい。また、同じアイデアを使って実験を行う人がいたらさらに研究が進むので、そういう人のためにも書いておく。もちろん、このアイデア自体が全くのナンセンスであることも十分あり得るので、その時は夏の自由研究の思い出として。 前回の記事では、ルルコフ写像によって金融時系列データをモデル化し、その際にカギになるのが写像内

          Rulkov Mapモデルによって株価変動からランダムネスを除外する実験①

          金融データと神経細胞の活動電位の類似性について:ルルコフ写像のもたらす可能性

          金融データの変動は恐ろしく複雑で予測不能に見える。 その結果、トレーダーの中には、2種類のタイプの人間が生まれた。 一方は、「金融データは複雑すぎるから、確率論的にしか捉えることはできない」と考える人。 もう一方は、「複雑に見える金融データの中にも、我々が気づいていない決定論的な法則が存在するはずだ」と考える人。 同じようなタイプ分けが、量子論を論じる物理学者の間にも生じている。 つまりこの問題は極めて哲学的関心をそそるものであり、だからこそ私も金融時系列データ分析に惹か

          金融データと神経細胞の活動電位の類似性について:ルルコフ写像のもたらす可能性

          神学は哲学の「母関数」である。

          現代の日本において、「神学」はマトモな学問とは考えられていないと思う。 だが、私はここにこそ、明治以降の日本が性急に輸入した「学問」の根っこを改めて見直すためのキー・エレメントが余すところなく眠っていると考える。 言うなれば、神学は哲学の「母関数」である。 こう考えると、哲学を志す人がどのように神学に向き合うべきか、その根本的態度が理解できると思う。 母関数とは何か? ここで数学における「母関数」についての定義を確認しておく。 簡単にいうとすれば、母関数は、ある数列

          神学は哲学の「母関数」である。