[ドグラ・マグラ」(夢野久作)を15分で読み切りました。
『まんがで読破 ドグラマグラ』
「ドグラマグラ」は探偵小説家夢野久作の代表作です。日本探偵小説三大奇書の1つに選定される程の作品だそうです。
(ちなみに、日本探偵小説三大奇書には、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、中井英夫『虚無への供物』が存在します。)
前から気になっていたこの作品。今回もKindle unlimitedで読んだので感想、見どころをシェア
(pixabayより画像引用)
始まり方が非常にミステリアス
物語自体の始まり方が斬新でおもしろいです。
小説版の冒頭は「・・・・・・・・・・・・ブウウーーーーーーーンンンーーーーーーーンンンン・・・・・・・・・・・・」(時計の音。これで目を覚ます主人公の「私」)で始まるそうなのですが、この私は「ここは、どこだ?」「僕は…誰だ?」という状態。九州大学病院で目が覚めた彼のもとに駆け付けるのは、九州大学法医学教授の若林と名乗る先生。「あなたはある恐ろしい事件による精神的ショックで、過去の一切の記憶をなくしてしまっている」。更に、「あなたが誰なのかは、あなた自身で思い出していただかねばなりません」「一連の怪事件を解決できるのはあなただけ」
わけわからん!となって混乱している私。自分が誰かもわからない状況で確かに結構無理難題ですよね(笑)。被害者に鞭を打つような感じで。
でもこの始まり方、すべてが謎に満ちていて非常に好きですね。今でこそ「世にも奇妙な物語」とか、斬新でミステリアスな作品が溢れていますが、これを1935年当時に刊行した夢野先生は流石ですね。
そして、若林教授が「重要な手がかりが残されている部屋」として、私を案内した場所。それが九州大学の精神医学科教授の正木敬之の研究部屋でした。
ここからが本当におもしろくなるパートです。正木教授。ドグラマグラ。一連の怪事件。そして、記憶の無い主人公、、、。すべてが繋がるとき、おそらく皆さんはこれが結末なのかどうかもわからなくなるはずです。
『ドグラ・マグラ』の意味は?
「ドグラ・マグラ」とは、この正木教授の部屋で主人公の目にとまる書物につけられたタイトル。作中では「長崎地方の方言で、切支丹伴天連(キリシタンバテレン)が使う魔術の意味で、「堂々巡りの目くらまし」という意味で使われていたそうです。作中のこの書物自体について、若林教授は「読んでいるうちに頭がこんがらがってくる」「支離滅裂」と言っているのですが、まさに伏線。というよりこの作品全体を表している感じがしますね。
この作品の元タイトルは『狂人の解放治療』だったそうで、確かにこれはこれで作品を表している感じはしますが、改題された「ドグラ・マグラ」のほうが、よりこの作品全体をミステリアスに表現していると思います。
(wikipediaより画像引用)
「夢野久作」は夢幻を描くスペシャリスト
夢野久作の本名は杉山 泰道だそうで、なぜこの筆名にしたのかというと、彼の作品を読んだ父・茂丸が、「夢の久作(「夢想家、夢ばかり見る変人」という福岡の方言)の書いたごたる小説じゃねー」と評したことに由来しているのだとか。でも実際彼が生み出したこの作品は、かなり夢と現実があいまいに描写されている点が非常におもしろいので、ある意味彼は「夢幻の物語」を描くスペシャリストだったんですね。
もちろん原作小説版のほうが素材そのものを感じられるのだと思いますが、個人的には漫画の方がサクッと読めて楽しかったので、こちらをお勧めします!
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