『レヱル・ロマネスクOrigin』と『まいてつ』~シナリオ語り
こんばんは。
今回は、前から書こうと決めていた、『まいてつ!』~『レヱル・ロマネスクOrigin』に至る、「双鉄とハチロクたちの物語」について、シナリオに絞って語る場としたいと思います。
書き始めようと思ってから取り掛かるまでに時間がかかってしまいました…が、しっかりとやり切りたい所存。
ゲームとしての感想、気になった点は以下の記事で書いてますのでそちらにて。あくまでここではシナリオだけを語ります。
(ところでパッチはまだ来ないのか…ポーレットの口パーツ問題まだ直ってないんだがー!?)
シナリオ構造の整理
さて、ストーリーを語るにあたって、まずはシナリオの分類から。
共通シナリオから派生していき、そこそこに区別できます。
メイン/アフターシナリオ:メインヒロインであるハチロク、日々姫、ポーレット、凪ふかみの、『まいてつ!』(以下、無印)で描かれたシナリオ。アフターは『まいてつ Last Run!!』(以下、LR)で描かれた続編シナリオ。
サブ/アペンドシナリオ:無印で描かれたサブヒロインたちのシナリオ。アペンドはLR発売後追加制作されたサブキャラの新たなエピソード。LRの移植作『レヱル・ロマネスクOrigin』(以下、Origin)では双鉄のボイスも追加。
パストシナリオ:LRにて追加された本編前の時系列シナリオ。所謂過去編。ニイロクシナリオが該当。
ハーレム/グランドシナリオ:ハーレムシナリオは無印およびその移植版『まいてつ pure station』(以下、ps)でのグランドルート。
それを全面改訂されたLRグランドルートは便宜的にグランドシナリオとし、こちらには事実上の続編ポジションである仲国ルートも含むこととする。
以上、4パターン。
この分類を念頭において、まずはルートを問わない共通の要素から語ってみます。
レエルロオドと鉄道復興
この作品群ではかわいらしい人型モジュール・レエルロオドとともに、衰退してしまっている鉄道網、そして鉄道の存在を復活させていくのが本筋。
そのレイルロオドの特徴・役割は他の端末を介すことのない情報通信による円滑な鉄道運行。
作中ではオーバーテクノロジーとして扱われていますが、リアル現代だともっと高度な運行管理をしていることもあり、あくまで作中世界の超技術どまりという点はSF要素を抑えていて◎。
主人公・双鉄は御一夜をエアクラ工場誘致から守るべく、ハチロクとともにボロボロのSLを修復、自らも機関士となって観光振興の旗印として鉄路に復活させるところがすべての始まり。
当然ながら鉄道知識、機関車知識がわんさか披露されますが、乗る楽しさ、写す楽しさなど、カジュアルな側面での魅力も描かれます。
複雑で、奥深くて、様々な触れ方がある。そんな鉄道の魅力を伝えんとするのもこの作品の大きな特徴です。
出不精の私を8620に会いに行かせたり、はたまたSLに乗りに行かせる力を持っていました。
ファンタジーはさておいて物語は進み、どういった手段で故郷・御一夜を守るのか?というところで各ヒロインシナリオへ分岐。
時には鉄道の存在がかすんだりとやや突拍子のないアプローチもありますが、多様な切り口に感心しました。
グランド/ハーレムシナリオを除けば、復興の進みは一地方まで。堅実な変化であるのも私の感性にフィット。町の人々や情景も描かれますから狭い世界という感覚もナシ。
鉄分の高いストーリーとはまた別に、ゆったりと癒しの物語が描かれる所もこの作品の持ち味なのかな、と思います。
どうしても気になったのは、両親あるいはその年代のキャラクターが極端に少なかった点。
明確に父親として登場するのも数名だし母親もメインキャラ絡みではいないですね。元々のゲームの性質故かもですが…
主人公について
世界観を振り返ったら次はキャラクター。
誘惑への耐性、恋愛への鈍感さや遠慮に感情の起伏の小ささも加わり、
およそアダルトゲーの主人公とは思えない朴念仁主人公、双鉄を振り返りましょう。
彼の特筆すべき点は決断力、加えてそれを実行へ移す速さ。出てきたアイデアはリスクがないなら即実行。その豪胆さに驚かされます。
一方で自身が失う時間や労力は一切計上しない危うさが隣り合わせ。
この点は、凪ふかみアフターでひと波立たすためのスパイスとして使われていました。
そんな双鉄の主人公補正がハチロクアフターで指摘されたのは印象的。
ふかみの車掌希望を隠していた理由を汲み取れなかった双鉄とハチロク。
それを見かねたオリヴィにズバリ指摘をされます。
双鉄は右田に報いるための過去を経てサクサク物事をこなせてしまいます。割と有能だらけの御一夜の人々でもこの辺は際立っているとプレイヤー視点でも感じました。私も多分このスピード、そしてパワーには追い付いていけないなぁ。
最終的にはポーレットにフォローされてこの一連のやり取りは丸く収まりますが、こういった形でしっかり描写されるとは思わなかったけれど、なるほどとなりますね。
無印やLRの本編外では突然色を好みだしますがそれを置いとけば非常に真面目。そのひたむきな志は好感をもてるところが多く、読み進めていてとても安心できる主人公像でした。
ここからは個別シナリオやヒロイン周りに触れていきたいコーナー。
サブシナリオ振り返り
サブヒロインのシナリオは、基本的にはメインヒロインの展開の派生がほとんど。そのキャラが持つ個性を活かした復興計画が動き出します。
追加シナリオをアペンドと表現したのは、メインヒロインのそれと異なり日常のいちエピソードを描いている、という位置づけのため。
無印シナリオの後日談ではあるのですが、更なる課題や悩みといったものが与えられないのが特徴です。
れいなシナリオ
れいなシナリオは、彼女の明るさの源泉に触れていくようなシナリオでした。アペンドはれいなと双鉄の花嫁修業。もはや鉄道どこいった
凛々しく様になるハチロクと、ぽわっとして周りを穏やかにするれいな。
対称的な存在ですが、人間にとってみたら両者ともひとつの時代の移り変わりを見届けるほどの人生の大先輩。
対話する際にふと見せる大人びた表情、思考や知識に、れいなも多くを知っているのだな、と思わされるのです。
シナリオとしては、「ポーレットを交えた3人での幸せ」についてアペンドでは一切触れられなかったところが非常に残念。
花嫁修業を通じて考えた、子を成せないなりの「これから」の考えについては、れいならしい結論で綺麗でした。
稀咲シナリオ
基本的には距離感をわきまえつつも双鉄への興味を一切隠さない稀咲。
自身のシナリオでは双鉄を振り向かせるための駆け引きを繰り広げます。
傍から見れば過剰に見えるリアクションでようやく双鉄に心の揺らぎが見え、その術中にハマる流れは良かった。そこまでやらないとゆらぎもしないのが双鉄です。
アペンドはデレデレモードそのままに、仲国シナリオのifを描く形に。
ただ、アペンドの新事業案などはやや無茶があったりメタの側面に踏み込んでいる印象も強いため、解決案に強さが足りなかった点はマイナス。
真闇シナリオ
真闇さんの強さに隠した想いに触れつつ、少しだけ過去の御一夜を知ることのできるストーリー。そして本作唯一の年上との恋愛ルート。
焼酎を活かした観光振興案ではレエルロオドが管理する焼酎という、鉄道以外のレエルロオドの生き方にも触れられます。
常に日々姫のことを慮り、それゆえに恋心も隠し続ける真闇さん。
双鉄との交流が増え、少しずつ我慢をやめていく過程がよいですね。
アペンドは御一夜での新婚旅行。その最中、日々姫についての複雑な想いを振り返る一幕が、静かだけども好きな場面。
姉として至らなかったという出来事を振り返っていく会話はとてもしんみりしていて、けど暖かく、とても印象深いやりとり。
双鉄のボイスが付いてほしかったシーンでもあり満足です。
ニイロクシナリオ
このシナリオはLRで追加されたpastシナリオという特殊な位置づけ。
粉蔵機関区の視点から、大廃線の決め手になった8620の鉄道事故前後の出来事と、その騒動の渦中にいた赤井とニイロク、二人の知られざる過去を明かす物語。
一時の幸せと、それが崩れる様がどちらも描かれる約束されたビターエンドであることがわかっているため、読むにも殊更覚悟がいるわけですが、これはきついな…とシンプルに思わされました。
重いけれど、この物語がグランドシナリオへ繋がると考えればやはり描かれるべき物語だったんだろうな、と思っております。
メインシナリオ振り返り
メインヒロインたちの物語には、無印とアフターそれぞれで大きな課題や障壁といった山があるのが特徴。そして、その解決のために復興案の是非を議会に諮るというのも共通点。(無印だとサブ扱いの凪ふかみは例外)
一つの町の復興をテーマにしていることもあって、ここは結構独自性があるように思います。ただ議会のやり取りはどこか劇場型、傍聴席のセリフやヤジが多いのでその辺は過剰かな、と感じます。
けれども独りよがりな突破口にならず、この過程を通して町として取り組む筋道立てた復興に繋がっていくこのエッセンスは好みです。
凪・ふかみシナリオ
無印ではサブ扱い、LRにてメインヒロインに昇格した幼き親友コンビ。
親友で、ライバルで、ついでに幼くて…という恋愛ゲームあるあるを詰め込まれつつ、ブランドの傾向(幼き子が多い!)が押し出されたキャラたち。Originではその癖が一番残ってるのかも。
復興はもとより、過去の双鉄を知らぬ人の視点から彼の内面を変えていくアプローチがこのシナリオの特色。
アフターではメイン昇格もあって「双鉄の体力に伴う修学旅行の限界」に伴う「三角関係の決着」が訪れました。
ふかみはどのシナリオでも印象は変わらないのだけど、凪はアフターでグッと印象が変わりました。剣術の修行と機関士見習いを通して、活発さと前向きな思考や柔軟な発想をそのままに、少し間をおいて考えたり人の気持ちをきっちり慮る側面が出てきてわかりやすく成長が描かれていたと思います。
ふかみEDでの振る舞いは特に印象的。
自らも汚れ役を被ってまでふかみの気持ちに踏ん切りをつけさせた、凪の駆け引きに成長を感じずにはいられませんでした。
ポーレットシナリオ
共通ルートの終わり、メインヒロイン3人の誰の意見を尊重するか、取ってつけた選択肢が登場します。
そこで最初に選んだのはポーレットでした。他がパッケージヒロイン、そして義妹というのもありますが、容姿も性格もどこか惹かれるところがあったので自然な選択でした。
禁断?の兄妹恋愛、人とレイルロオドの恋、幼い二人組の三角関係…と変わり種の関係が組まれがちな中で、稀咲と並んでニュートラルな恋愛を描いているのが特徴。
そして双鉄がヒロインの心を解きほぐしている印象も強い。
基本は双鉄の心を解いていく流れが多いのですが、このシナリオでは双鉄が弱みを見せる相手が真闇さんであること、ポーレットの問題を解決するために双鉄が動く場面が多いことがそう感じる理由なのでしょう。
中盤にある議会シーンに関しては一番地に足付いて、劇場じみた流れがないのが好み。場当たり的な対応や外野の声も少なく、きっちり流れを組み立てて乗り越えてる点が良い。
心温まる、絆のおはなし
アフターでは子どもが産まれ、ひとつの家庭をすでに築いているということには仰天しました。この前提のおかげでひかりはグランドに出れないという
そんなひかりの人見知りに端を発して「どう子どもと接するのか」という親なら誰でもぶつかるであろう悩み、それを通して親としての成長、そして子の成長も描く実にハートフルなエピソード。
改めて振り返ると、描かれたのは単なる家族の鉄道旅行。
鉄道の部分は置いといても、これはだれでも経験しうる一エピソードにすぎないんですが、そこに気づきや学び、反省点、そしてよろこびを見出せる。
言い換えれば記憶に残る、回想に足る出来事はちゃんと探せばいっぱいあるということ。そういったものを見落とさないようにして行けたらな、と思わされるストーリーでした。
日々姫シナリオ
次に選ぶは義妹のルート。
彼女にとって身近で偉大な3人の「大人」たち。彼らに追いつき肩を並べられる「大人」を目指し、自分の夢とともに向かっていくストーリー。
無印では市長選を巡る闘いで稀咲と、双鉄と並び立とうと奮闘し、アフターでは自慢で、憧れで、どこまでも凄いからこそコンプレックスを持つ姉・真闇さんと新たな観光列車のプランニングを通じて向かい合う。
変わり続けた評価
そんな日々姫シナリオ、および日々姫周りの描写は無印から段々と評価が変わったものと思われます。
まず無印時点では、消化不良の伏線が残っていました。
日々姫は「ナビに乗せてもらえるような存在(=双鉄にとってかけがえのない存在)になりたい」と言うのですが、無印エピローグの段階ではナビに乗らずじまいで、アフターシナリオ最終盤でやっと伏線回収。
さらに日々姫シナリオにはOriginでも手が入りました。
無印シナリオ部の稀咲との討論会。地の文2つで済まされていたやり取りが大幅にパワーアップ。
誰もの心の中にある「綺麗」を見つけ出す過程を、自身の経験に基づいて言及、「誰もが描きたいもの」を説いて聴衆の共感を呼ぶ内容に。
稀咲も負けじと応酬を繰り広げ、本音合戦がハッキリと描写されました。
Originで行われた修正の大半はCERO起因のもの。シナリオ評価をプラスにする変更が入って大変驚きました。
先述のナビに送られるようになりたいというくだりも、ハチロク無印シナリオで手厚いフォローが入っております。Originをもってようやく日々姫シナリオは完成したのかもしれませんね。
夢と自立について描いた日々姫の物語。段階を踏んでOriginに至り、
単に双鉄もいたから、ではなくきっちり日々姫の成長が描かれたのでいい感じに着地できたのだと思います。
ハチロクシナリオ
ここまでくれば残すは正ヒロイン、ハチロクです。
そもそも人とレイルロオド、異なる存在の交流や恋愛を描いているという点で他のルートと特色がでていますが、やはりこのシナリオでは過去と未来を主題として描いているのかな、と思っています。
無印では双鉄とハチロク、過去の記憶と向き合い乗り越える過程が描かれ、8620脱線転覆事故が、ハチロクと双鉄両名にとって拭い難い出来事であり、そして二人を引き合わせた切っ掛けでもあったことが語られます。
対するアフターではレエルロオドがどうやって未来へ何かを遺し、繋げるのかが描かれました。
主要キャラの再収録がなかったためOriginでも変化のほぼなかったシナリオではありますが、もとよりドラマチックな展開が多いのでそれでいいのかな、と思いました。
人の死は物語のスパイスとして描かれがちですが、鳴り物入りの追加キャラがその役割を担うことには驚かされたものです。(主題歌『ロオド・ラスト』で思いっきり示唆されてはいましたが)
全領域共感を通してハチロクがオリヴィを死の淵から救ったとき、私は生存するんだと思っていました。
そうじゃないと察してから、ずっと涙を浮かべていた覚えがあります。
それもこれも、「マスター」から託された命令をやり通すため。レエルロオドとしての使命を全うする姿には心が打たれました。
感情の起伏で物語が走る一方復興案は観光列車一本。
愚直に8620を走らせて鉄道の良さを、復線のレールを広げていきます。
しかし、アフターにおける復興度合いもまだ御一夜が近隣都市と比べむしろ遅れているレベルと、現実はそううまくいかないという描写もまた好み。
全体を通して地に足ついたシナリオだなぁと思っております。
新しいレイルロオドたちについてはご都合的な展開だ、というのも見かけた気もしますが、後述する「輪廻転生」を描くためと考えれば納得。
実際にハチロクたちがどういう風に未来を託すことになるかはわかりませんが、希望が産まれたのは良い終わり方だと感じました。
グランド&ハーレム
グランドシナリオ/ハーレムシナリオ
そんなこんなでやってきましたグランド編。無印とLRでストーリーラインがガラッと変わったシナリオです。
各ルートの出来事を全部拾ってナインスターズ号の営業にこぎつけるというプロットですが、過程は大きく異なります。
無印は「ハーレムルート」と称されるように双鉄がヒロイン全員と恋愛関係同然的な距離感ですすみますし、ヒロインサイドもアプローチは絶やしません。
けれど展開があまりにも駆け足で、あっという間にクルーズトレインが出来上がる格好となっており薄味。
LRでは正真正銘グランドルート。各ヒロイン1シーンを割きそれぞれのルートおよびハーレムルートでの出来事を回収し、ナインスターズ出発までをじっくり、作中年数もしっかり経たせて描写。
代わりにヒロインたちが双鉄に手を出さないという形の淑女協定となった結果、双鉄は恋愛を全くしない朴念仁まっしぐらに…
ハーレムルートで描かれた伏線回収が一部消滅した点は惜しいのですが、個別ルートとは違う形でヒロインの魅力も描かれたためそれ自体は良改変。
特に凪、ハチロクとの対話はすごくグッときましたね。個別ルートでは描かれなかった側面だったりある意味放置されていた出来事が拾われるとウルっと来てしまいます。
共通ルートで大木を捩じ切り線路に倒してしまった出来事がここに来て取り上げられ、その謝罪が双鉄自身にも意味を成してくるのは綺麗な流れです。
ハチロクとの対話でも、プレイヤー視点でも疑問に思いつく初動ミスに切り込み、個別ルートとは異なる形で互いを許し合いました。ここは感涙しっぱなしでしたね。
双鉄が言い寄られるのがメインなハーレムに対し、グランドルートは双鉄自身と記憶に棲み続ける路子に大きくフィーチャー。
双鉄の変化を見届けて去っていった個別ルートと異なり、ちゃんと路子を双鉄自身で送り届ける過程が描かれました。
丁寧に路子との対話が描かれたこともあって終盤に双鉄が吐露した想いにも説得力が出ました。
きっちり双鉄が過去に決着をつけ、描写を積み重ねてナインスターズに辿り着いたため、「ハッピーエンドルート」だったのだと思います。
仲国シナリオ
LRグランドシナリオの続きかつ、中国CFリターンの側面がある当シナリオ。
セブンスターズの成功を仲国でも、というシナリオでちょっと外伝チックな感じを受けてしまうのは確か。
Last Run!!プレイ当時、きっちり締めくくられたグランドルートのその後ということで蛇足感があったのですが、その後の『レヱル・ロマネスクシリーズ』の基点であり、特に西瓜は唯一アニメとゲームを繋いでいたキーキャラクターでした。なのでその後の展開の足掛かり、というのが現在の評価。
これまでの道のりを思い返す場面もあって感慨を覚えることが出来たりと、改めて振り返る際には悪くないのかな、と思えるようになりました。
私にとってのトゥルールート
全シナリオさらったところで。「この作品のトゥルールートは?」と問われたら、私にとってはハチロクシナリオ一択。
その理由は「レイルロオドの一生」がきっちり書かれているから。
オリヴィの最期~エピローグ、一連の流れにそれが込められています。
世界観特有の存在や概念のライフサイクル、輪廻転生はそのフィクション作品群でしか描けません。しかし、そのIPを存続させていく前提だとキャラクターは退場させられなくなり、そのループは描けなくなりがちです。
実際、グランドルートおよびその流れを汲んでいる『レヱル・ロマネスク』シリーズとしてはオリヴィも活動し続けてます。
そんな中、この作品は、ハチロクシナリオはレイルロオドの最期をきっちり描ききりました。だからこそこのシナリオが好きなのです。
それだけではなく、しっかりとそこから繋がる命も描かれます。
生み出した家系は途絶え、大廃線とともに消えるはずだったレエルロオド。その魂ともいえる、通称ロオドコアをオリヴィは生み出しました。
オリヴィとその他に差異があるとすれば、それは全領域共感実行の有無。
あわや機能停止という折りにハチロクと交わした共感で、あらゆる感情を記憶に、記録に刻み付けたことが起因だったと解釈しています。
どこかで「生と死、どちらも識ることで命のはじまりに到達する」という人造人間の死生観を聞いた気もしますから、タブレットに自身の生を刻み込むことが必要なファクターだったのかもしれません。
オリヴィの赦しとハチロクの覚悟によって、レエルロオドは新たないのちを紡ぎ、双鉄たちが新たな"子"を迎えるところでハチロクシナリオは締めくくられました。
無印のEDでも、アフター最序盤で語られたこととも異なる新しい未来への託し方が提示され、双鉄とハチロクたちはどういう決断を下す/下したのでしょう。
なんでもうまくいくわけではない。けれど希望はあり、未来を空想できる。そんな終わり方を迎えられたこのシナリオがトゥルーと言えると思います。
さいごに
全シナリオさらっていくようなことをしたのでまたしても1万字越えちゃいました。けれど長らくかけてなかったあと語りをようやく残せました。
もうじきこの作品を知って2年…ちまちまとnoteで書き記してきましたがこれでこのゲームの感想を記すのも本当に最後かと思います。
記事のスクショ作成でまた御一夜を訪れたりしましたが、やっぱり目的とは別に読み進めちゃいますね。本当に長く楽しめる作品です。
出会い方は何とも言えないものだったけれど、ゲーム一つに対してこれだけ色々考えていくきっかけになったのは間違いなし。良い、出会いでした。
それではここいらで失礼いたします。長文をここまで読んでくださった方、ありがとうございました!
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