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捨て鉢
2023年12月26日 06:40
夜の空気は澄んでいて、冴えた空が膨らんでいました。不安定な地面を、私は転びそうになりながら歩いていました。風が流れて、草の匂いがします。辺りには、私の呼吸の音だけが聞こえています。 広場にある街灯に近づくと、根元のベンチにはすでに誰かが座っていました。 「こんばんは」 私はおそるおそる話しかけます。 「こんばんは」 「何を、してるんですか」 この時間にこの場所で人と会うのは、初
2022年12月4日 19:56
『誰にも読まれない物語』が集まるところが、この図書館の端っこの本棚にある。 本棚は私の背よりも少し大きくて、図書館の他のものと何も変わらない。 誰かの頭の中で生まれ出力されなかった物語だとか、書き記されることのなかったおとぎ話だとか、たとえば寝る前にする空想だとか、いつか夢で見たきり忘れてしまった景色だとか、書きかけのまま放置された小説なんかがここには勝手に集まる。さらに言えば、どこかの誰