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揮発性

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#物語

【おはなし】街灯の町

【おはなし】街灯の町

 夜の空気は澄んでいて、冴えた空が膨らんでいました。

不安定な地面を、私は転びそうになりながら歩いていました。風が流れて、草の匂いがします。辺りには、私の呼吸の音だけが聞こえています。

 広場にある街灯に近づくと、根元のベンチにはすでに誰かが座っていました。
 「こんばんは」
 私はおそるおそる話しかけます。
 「こんばんは」
 「何を、してるんですか」
 この時間にこの場所で人と会うのは、初

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【おはなし】空想図書館

【おはなし】空想図書館

 『誰にも読まれない物語』が集まるところが、この図書館の端っこの本棚にある。
 本棚は私の背よりも少し大きくて、図書館の他のものと何も変わらない。

 誰かの頭の中で生まれ出力されなかった物語だとか、書き記されることのなかったおとぎ話だとか、たとえば寝る前にする空想だとか、いつか夢で見たきり忘れてしまった景色だとか、書きかけのまま放置された小説なんかがここには勝手に集まる。さらに言えば、どこかの誰

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