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ひきこもれ|吉本隆明 ~偽の厳粛さという言語を得て救われた話~

「偽の厳粛さ」 という表現を用いて、学校での教師と生徒について言及している章があります。

偽の真面目さ、偽の優等生、偽の品行方正――先生が求めているのは、しょせんそういったもので、見かけ上だけ、建て前だけ申し分のない生徒でいればそれでいいのです。生徒のほうも小学校高学年くらいになるとよくわかっていて、「それに合わせていればいいんだろう」と思って振る舞っている。

ひきこもれ|吉本隆明

子供の時代、わたしが育った家庭内に一貫して流れていたのがこの偽の厳粛さという空気でした。アルコール依存症の父が、絶対の権力を握っており(単なる亭主関白などという類のものでなく)わたしたち家族は父に支配されていたし、おまけに、いちばん年齢の低いわたしがスケープゴートの役割を担っていました。

この事を説明する言葉を、これまでわたしは持たずに来ましたが、偽の厳粛さというキーワードを得て、何もかもを説明できるように思います。アダルトチャイルド(アダルトチルドレン・AC)という言語に出会ったときと同じくらい、わたしは救われました。

過去のネガティブな体験を握りしめ掘り下げて何になるのかと思う人も居るかも知れません。けれども何もかもに蓋をして、わたしはわたしを生きられない。アダルトチャイルドというフィールドから対岸へ渡って、伝えたい事があるのです。言葉だけでなく、みずからの在り様を通して、伝え続けたい事があるのです。


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