【中古住宅売却】初期値が最高値
20代の頃に買った中古のマイホーム。
結婚して5年目にローンを組み月々返済額3万台で買ったその家に私たちは子供が中学生になるまで住んでいた。
購入前に住んでいた賃貸マンションに支払っていた家賃は7万強。
ここらでお金を浮かせて教育資金を捻出しようという目論見と穏やかな地域で子育てがしたいという夫婦一致の意見で駅からほど遠い地価の安い地域で私たちはスローライフを送っていた。
その後徐々にお風呂の追い炊き機能が壊れ洗面所のクッションフロアが角からめくれてカビが生えハンドルでまわして開けるジャロジー窓のハンドルが取れて開かなくなりキッチンにほど近い床板が抜けそうに軋み…。
私の実家と築年数が一緒なのだが注文住宅(実家)と建売住宅(我が家)はここまで耐用年数が違うのか。
実家はまだそれらのどこも傷んでいなかった。
40代になった私たちは最後のチャンスになけなしの貯金をはたいて念願の新築注文住宅を建てた。
新しい家に移るのだから当然中古のマイホームは売らなければならない。
私たちが購入した十数年前には1280万だった物件。
十年以上の時が経っているので額面的には780万くらいが妥当かな。
それくらいなら色々計算しても充分すぎるお釣りが来る金額を設定して私たちは中古住宅を売りに出した。
購入した時の地場不動産屋に仲介をお願いし一応大手不動産屋にも声をかけた。
地場不動産屋は仲介オンリーだったが大手不動産屋は買い上げもしているという。
試算してもらったところ即売却価格は580万だった。
購入価格の半額以下!と私はその金額を即刻却下した。
十数年も住んでいたくせに。
今思い出しても本当に自身の判断が悔やまれる。
どうして私はあの時に580万で中古住宅を売ってしまわなかったのか。
地場不動産屋はWeb広告を出してくれたり引き合いがあったお客様に案内してくれたりと不動産屋としての最低限の責務は果たしてくれたが積極的にアプローチをしてくれることはなかった。
私たちは十数年お世話になったご近所への気配りを忘れず年に数回庭の草むしりを丸一日かけて行った。
空き家になった私たちの思い出の中古住宅はさらに劣化していった。
このままでは埒が明かないと思った私は地場不動産屋の承諾を得て専売をはずしてもらい大手不動産屋にも仲介をお願いした。
大手不動産屋は家の前に幟を立て最初こそ積極的に仲介してくれたが数件で引き合いがなくなり中古住宅は放置された。
夫の知り合いが家を売ったという不動産屋を教えてくれたのでそちらにも頼んだが結果は一緒だった。
最初こそ熱心だが引き合いがなくなると放置。
こうして私たちの元マイホームは5年以上放置された。
780万で出していたマイホームは何度か値引をして580万になっていた。
売り出す当時大手不動産屋に即決で売っていればこの金額が手元に入ったのに5年も固定資産税を支払い続けメンテに時間をかけてしまった。
その頃はどことも専売契約を結んでおらず中古住宅は実質放置されていた。
Web広告にはずっと出ていたが問い合わせゼロの状態。
ある日一本の電話が入った。
敬語もちゃんと使えない若い女の子で名乗った不動産屋は過去に頼んだことがあるところだった。
「御社には放置された過去があるので」と渋る私。
どうやら営業所が違うと情報は一切入って来ないらしく女の子はその事実を知らなかった。
どうせ売れないだろうし新卒入社直後の女の子の経験が積めればいいかくらいの気持ちで私は介入を承諾した。
「まずは売値を下げましょう。今のままでは無理だと思うので」
更に額面が下がり売値が500万になった。
購入した不動産を賃貸物件として扱うお抱えの顧客がいるらしくその人に商談を持ち掛けると言う。
結果は芳しくなくそれから2ヶ月が過ぎた頃更に値引き交渉をされた。
「今のままでは無理だと思うので」
これ以上下げると家と言うより車の価格になってしまう。
しかし売れない物件をずっと抱えていても経費が出て行くだけだ。
500万値引き交渉可だった金額を400万値引き交渉不可に変更した。
780万で出した中古マイホームは400万になった。
当初の即決価格から180万も減ってしまっている。
値引後すぐに女の子から連絡が来た。
350万で売れそうです!!
えっと値引き交渉不可の約束は?
でも私売りだと思うんです。この価格を逃したらもっと安くじゃないと売れなくなります。
当初即決価格を逃した過去のある私たちには耳の痛い話だ。
とりあえず少しだけ待ってくれと女の子に話しすぐに一番最初にお願いした地場不動産屋と夫の知り合いに聞いてみた。
両方とも売りだと言う。
地場不動産屋に至っては正直その価格でも難しいと思っていたらしい。
この辺りの不動産を沢山扱っている業者がそう言うのだ。
私たちは1280万で購入して780万で出していたマイホームを350万で売ることにした。
それが先月の27日だったのだが女の子は言う。
お客様は現金買いの方で今月中に決済したいと仰られてます。
は?400万値引き不可だった物件を50万も勝手に値引きされ更に数日中に決済を終える?
最初からシナリオは出来ていたのだろうなと思う。
売買素人のオーナー(私たち)が持て余して数年放置されている中古住宅。
当時580万で出ていた金額は350万までなら下げられるだろう。
段階的にアプローチして350万で手に入れよう。
女の子とお抱えの顧客ともしかしたら女の子の上司も絡んだ青写真。
まんまとそれに乗せられてしまった私たち。
最後位ちょっと意地悪してもいいよね?
今月中は無理です。私仕事してるので平日は休めませんし夜に御社まで行くと翌日に差支えますから。
丁重にお断りした。
今度は先方が折れてくれ決済は翌月に持ち越されることになった。
都合のいい日を指定しろとのことだったので予定の入っていない土曜日を2日時間指定で伝えた。
この辺りはメッセージでやり取りし無事決済の日も決まったのだがやり取りをした夜に女の子から電話がかかってきた。
私も知らなくて早くにお伝え出来なくて本当に申し訳ないのですが司法書士さんの都合で平日しか決済が出来ないんです。
この期に及んで司法書士の都合に合わせろと?
ここまで値引した私たちの都合に合わせるべきだ。これ以上無理な要求はのめない。
私はここでもお断りした。
別途費用をかけて司法書士さんに来ていただくかもしくは司法書士さんのところへ出向いて手続きをしていただくか。
別途費用はかけられない。出向いてって場所は?
県外だった。
このコロナの最中都市部のそこへ私たちに出向けと?
全て女の子の要求は断った。
結局最終的に費用は女の子の会社持ちで土曜日に決済をすることで話がついた。
こうしてもうすぐ私たちは6年近く寝かせてしまったマイホーム売却を終えようとしている。
最後に私が得た教訓をもう一度。
売買素人は一番最初に提示された額面でサッサと売ってしまうが吉。
私の経験や考え方が少しでもお役に立てたなら嬉しいです(◍•ᴗ•◍)