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初めて飼った犬は狂犬チワワ

小さくて華奢でこぼれそうな瞳のチワワ。

飼い主に深い愛情を示し適応能力に優れていてお留守番も得意。

賢くてしつけもしやすく運動量もさほど多くない。

1人っ子の娘が犬を欲しがり根負けした私たちは一匹のチワワを家族に迎え入れた。


共働きの私たちと小学生の娘。

チワワにはまずお留守番を覚えてもらわないといけない。

本当なら室内フリーで育てたかったがパピー(仔犬)は好奇心が強く電気コードなどもかじってしまうので安全面から人間の留守中はケージに入れることにした。

ハウスの掛け声でケージに入れたらおやつをあげて褒める。

あっという間にハウスを覚えた。

そのうちハウスと言われるまでもなく出掛けそうな雰囲気を察知してケージに座っておやつを待つまでになった。

トイレはトイレシートの上ですること。

ご飯はマテが解除されるまで食べないこと。

初めて犬を飼った私たちに思いついたのはそれくらいのしつけだった。

それらのしつけは全く苦労することなくすぐに習得してくれた。


ワクチンを終えるまで散歩は見合わせてくださいと言われていたのでしばらくは家の中だけで過ごしいざお散歩デビュー!

すっごく震えて地面に降ろすと懇願のまなざしでこちらを見ている。

抱っこしても震えが止まらずその日は抱っこしたまま近所をくるりとまわって終了。

翌日もまたその翌日もその翌日も。

抱っこして近所をまわって終了。

そのうち抱っこして近所をまわる習慣がついてしまい降ろして無理やり歩くと肉球を擦りむいて血が出る始末。

チワワだし運動量足りてるだろうし無理に外に出すことないよね。

私たちは簡単に散歩を諦めた。

今から思えばこれが一番の失敗だった。

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我が家に来て1年ほどは何の問題もなく過ごした。

そこまで甘やかして育てた覚えもないが特に注意することもなかった。

そばに寄ってきたら膝に乗せ立つときは声をかけて降ろす。

撫でたくなったら呼ぶと待ってましたとばかりにとんできて撫でられた後に膝に座る。

うつぶせで寝転がっていると背中に乗って来て愛犬も伏せる。

背中あったかい。

娘と愛犬が重なっているところなんかブレーメンの音楽隊(人数足りてないけど)みたいでほほえましいなと思っていたくらいだ。

でもこれもよくなかったようだ。


娘が欲しがった犬なので娘が世話することというのを我が家は第一条件に掲げていて私たちはときたましつけなどでおやつをあげることはあってもご飯は必ず娘に与えさせていた。

ご飯をくれる人の言うことを聞くというのはチワワには全くあてはまらない。

それまでの暮らしで少しずつ家の中の順位をつけていたのだろう。

娘の言うことを聞くのはご飯がもらえる時だけ。

娘が少しでも気に入らないことをするとうなるようになった。

その都度娘にも怒らせたがいかんせん迫力が全く足りない。

犬もその気配を敏感に感じ取って言うことなど全く聞かない。

私たちが怒ると一時的にうなるのを止めて反省しているふりはするがまたすぐに気に入らないとうなる。

この辺りから完全に犬の中で娘は自分より下の位置づけになった。


娘より自分が優位に立てたと思った犬は少しずつ更に上の地位を求めていった。

私や夫にもうなることが出て来た。

うなった時は怒ると一時的にやめるがまた気に入らないことがあるとうなる。

少し怒られた時にシュンとしていればすぐに機嫌よくなるのでちょろいと思われたようだった。

ある時うなったので怒ってシュンとしているので反省しているのかと頭を撫でたら噛まれた!

血が出た手を慌てて引っこめた。

その行動が犬を助長させた。

噛んだら勝てる!という成功体験。

うなっている時に手を出すと噛む。

噛まれた瞬間に怒るが全くひるまない。

一人ぼっちにさせて無視すると堪えるという話を聞いて試してみたがしばらくしてそっと覗くと寝ていた。

ちっとも堪えていなさそうだ。

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外を人が歩いたりインターホンが鳴ると吠えるようになった。

私たちはその都度声をかけて諫めたが今から思うとその掛け声は犬には応援と届いていたのかもしれない。

そのうち私たちの声など耳に入っていないかのように吠えまくるようになった。

犬の中で我が家がテリトリーとなりそこを侵食する可能性のある動体を威嚇するという本能が働いたのだろう。


こうして我が家の愛犬チワワはグレムリンのような存在となった。


いつもグレムリンというわけではない。

基本的には呼ぶと走り寄ってくる。

膝に乗って甘えたりする。

家族が話していると首をかしげて聞いていたりする。

私が動くとこちらをクリクリの目で追ってくる。

普段は我が家の可愛い次女なのだが。

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現在愛犬が怒るのは一定の条件がある。

・テーブルに載っているものを引きずりおろして遊んでいるのを見つかって咎められた時。

テーブルに乗ってはいけないとしつけてあるため登らないと取れない場所にある物には手を付けない。首を伸ばしたり手で探ったりすると届くところにある物のみが餌食となる。

人がいればテーブルの物を狙っていても視線が合うと諦めるためその場を離れる時はテーブルの端に物を載せっぱなしにしないという方法で回避。

・寝ているのを邪魔された時。

これは人でも嫌だろう。邪魔しないということで回避。

・しつこく撫でた時。

動物とは撫でられたいものだと思っていたがどうもそうではないようだ。

少し撫でられるとうっとりしているのだがずっと撫でていると顔がだんだんこわばっていきある時突然「エエ加減にせえよ!!」と本気噛みしてくる。

撫でる時はとにかく犬の表情から目を離さずウットリしているのかイライラしているのかを観察する。

イライラしだしたらその時点で撫でる手を止めてジッと目を見つめる。

そうすると犬もしまったと思うのか歯をむき出すのをやめて潤んだ瞳でこちらを見つめてくる。

しばらくそのままの状態で目を合わせ続けてある程度の所でまた撫でる。

またイライラしだしたら手を止めて同じことの繰り返し二度目はしつこく撫でずに少し撫でて解放することで回避。

・庭に出していて外の刺激でいっぱいいっぱいになった時

季節の良い時には庭でBBQをするのだがその時ロングリードをつけて犬も外に出している。

最初は犬も寛いでいるが数時間経つと疲れるのだろう。

家に入れてやるために抱こうとして何度か噛まれた。

急に抱き上げず声をかけて犬が自ら膝に乗って来るのを待つ。

リードを外そうと首元を触るのも気に食わないようなのではずそうねと声をかけながら犬の顔を見ながらリードに触る。

その時に大人しくしているようならそのまま外して家に入れ歯を出すようなら膝から振り落として放置する。

しばらく外で犬だけにすると更にいっぱいいっぱいになって人間に当たる気力もなくすのでそこでまた膝に乗って来るのを待ちリードを外す。


賢くてしつけを難なく覚えるチワワは本質的に自分が可愛いことを知っている。

人間なんてちょろいと思っている。

些細な成功体験で途方もない自信をつける。

実は初めて飼う犬の知識がない人は一番手を出してはいけない犬種だと思う。


それでも愛犬は無条件に可愛い。

飼わなければよかったとは思わない。

むしろ私たちのような知識のない人間が飼い主になったことを申し訳なく思う。

すでに飼ってから8年目に突入する愛犬との暮らし。

攻防戦を続けながらも私たちはほどほどに仲良く暮らしている。

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