詩の朗読で心をいやす
こんばんは。しびれる古本屋でございます。
実は今朝、少々落ち込むようなことがありました。いつもの僕であれば、そのまま沈んだ気持ちを引きずってしまうのですが、今日は違いました。日課としている開店前の詩の朗読で心に変化が起きたんです。
中原中也の詩集を手に「汚れつちまった悲しみに…」と朗読すると、自分の情けない気持ちがいつのまにかいやされました。暗い詩を読んでいるはずなのに、誰かに寄り添ってもらえたような落ちつきが心に生まれました。
そして気のせいか今日の朗読はいつもより感情が高まりました。何かが憑依したような不思議な感覚で、十分ほど感情を込めて朗読したあとは、静かなお寺の庭で夢から目覚めたような、ピーンと空気が張りつめたときのやうな音を感じました。
文学が好きな古本屋の女将が、若かりしころ、落ち込んだ時に読んだ小説が心の支えとなった。だから頑張れた。そしてその作家さんを心から好きになったと熱心に言っていたことをおもいだしました。きっとこういうことなんでしょうね。
今まで文学に深く触れないままおじさんになってしまった僕ですが、人生の後半になってそのみずみずしく美しい感覚を味わうことができました。ギリギリ間にあいました。今朝の不幸は僕に新しい発見を連れてきてくれました。
詩の朗読を始めて本当によかった。店にはまだまだたくさんの詩集があるので、ゆっくりと読んでいきたいとおもいます。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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