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失敗したことがない人間

よく、「失敗をしたことがない人間」みたいな言い方をされる人がいると思います。

今日は「失敗したことがない人間」への大きな勘違いについてお話します。

僕も、こいつは失敗をしたことがない人間なんだろうなあとか、小さい頃からよく思っていました。今でもまだたまに思うことはあります。

生きてきた中で、失敗とか、挫折とかをしたことがあるのかどうかって、話してると結構分かったりするんですね。

「失敗したことがない人」は、「人の気持ちが分からない」とか、「苦しんでる人の気持ちが分からない」とか、「他人への気遣いができない」とか、「リスクマネジメントができない」とか、「自分の実力が分かってない」とかとか言われて、社会に出るとなんか経験の薄い奴みたいに扱われてしまうことがあります。信頼もされないし、表面的な取り繕いに支えられて生きていくことになるでしょう。人に寄り添えない人間と思われることも多いと思います。

それでは、「失敗したことがない人」ってどんな人なんでしょうか?

僕自身はどうかというと、ふと振り返ってみると、一見全然失敗してないように見えると思います。親はそれなりにお金があって、両親は仲がいいし、兄もたくさんのことを教えてくれるし、親せきも仲良しだし、小さい頃から海外も沢山連れて行ってもらえたし、小学校は本当に楽しかったし、中学校もいい先生や友人に恵まれたし、中学の部活もずっとレギュラーだったし、高校も第一志望に受かったし、高校野球も最後は結局レギュラーで試合に出れたし、東東京で決勝まで行って2万6千人を沸かせることもできたし、好きな人に告白して成功したこともあるし、体はいたって健康だし、助けてくれる仲間もたくさんできたし、大学も第一志望に思い通りに受かったし、それからも生活に困ることもなければ、自分で稼いだ金を自分への投資に使える環境だってある。

え、はたと立ち止まって、振り返ってみたら、驚くほど僕は挫折も失敗もしてないように見えます。一見。

よく、「この人は失敗や挫折をしたことがあるのか」を考えるときに、なぜか見てしまうキーワードがあると思います。「金・家族・受験」この三つです。金があるのか、家族は仲が良くて居場所があるのか、受験は思い通りになったのか。僕も含め、僕たちはなぜかこの三要素を基準にしてしまっていないでしょうか。

お金持ちで、家族も仲良しで、受験も思い通りになってきた人を見ると、「あ、この人失敗したことない人かも」って思っちゃうことないですか?僕もその傾向はあると感じていました。

ただ、それは違うということを、僕はここではっきり言いたいと思います。

あくまで、傾向として、ちょっとはあるかもしれないけれど、この三要素では測れないと僕は思います。

まず、自分自身を振り返った時に、僕は、さっきの三要素「金・家族・受験」で困ったことはありませんでした。でも、僕は、自分自身のことを「失敗したことがない人」からほど遠いと感じています。僕は、「失敗したことがない人」よりも、「毎日のように失敗して苦しんで辛さを味わってそれでももがいてる人」の方が、共感できることが多いし、好きになりますし、親近感を感じます。なぜでしょうか。

一体どういうことでしょうか。

僕は思います。

僕らは「金・家族・受験」といった分かりやすい表面的な「結果」で、人間を見ようとしてしまいます。

しかし、そんなところに本質はないんです。

一体、どれだけ、

小さなこと、些細なことの中に「失敗」を見つけられるか、

一瞬一瞬、一時一時に「挫折」できるか、

目の前の人の気持ちをどれだけ細かく想像し、自分自身の小さな小さな小さな行動を省みれるか、

これの積み重ねこそが、「相手の気持ちが分かる人」「人の心にに寄り添える人」「人を本当の意味で応援できる人」を生み出すんです。

そうは思わない?

「失敗をしたことがない人間」とは、小さなことを、大切にしない、省みない、人のせいにする、原因を探らない、しょうもないと流す、そういう人のことだと僕は思っています。

「僕は圧倒的に失敗を経験している」と自信をもって僕は言うことができます。たぶん誰かが特に何も感じないような些細な「言葉」だったり、「心の動き」だったり、「行動」だったり、「未来」だったりに、とんでもない数の「失敗」を感じて、そして毎回「挫折」しています。

共感してくれる人が結構いると思います。別に「金・家族・受験」で表面的にはたいして失敗したことないけど、私は「失敗したことがない人」からは程遠い気がするなあ、と感じるあなたは、きっと、小さな小さな波や風に気付ける人なんです。この力を「失敗力」と呼ぶことにします。

視野を広くして、人から面白いと思われることをやりたいなら、この「失敗力」はとんでもなく大事です。人に寄り添いたいなら、「失敗力」を磨かなきゃ無理。自分の実力をちゃんと認識したいなら、「失敗力」を磨かなきゃ無理。人の信頼が欲しいなら、「失敗力」を磨かなきゃ無理。あなたに「失敗力」はありますか?

小さいこと、

ほら

今言ったその言葉、

今歩いたその一歩、

今のあなたの表情、

今の身体の動き、

今の相手の心の動き、

今の視点、

圧倒的に省み続けろ、

そして、徹底的に失敗に気付け、

誰よりも挫折しろ、

僕は失敗力がある人間が好きだ。

応援する。

君が失敗を恐れていたり、些細なことを流してしまい続けるなら、僕は君に寄り添わない。

大丈夫.