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短編小説集『三千世界』

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Short stories documenting the days of the void. In the days of no 全.
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2022年1月の記事一覧

『記憶の淵から撥ねられて』

『記憶の淵から撥ねられて』



ここは、どこだろう、、、。

白い天井が見える。横にはカーテンがかかっていて、少し風でヒラヒラとなびいている。

身体の節々が痛い。左足に激痛が走った。

左足を見ると、ガッチリと白い包帯でぐるぐる巻きに固定されている。骨折でもしたのだろうか。

自分は、どこで、何をしていたんだろうか。

記憶の末端を辿り始めてみたが、なんだろう、この感覚は、何かあったような、どこかで、生きてい

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『雲一つない青空』

『雲一つない青空』



今日は、休日で仕事が休みだった。娘は朝からアルバイトだという。せっかくなので、車でバイト先まで送ってあげようと思って、早起きをした。

娘は、今日もいつも通り、どうしたらそんな顔ができるんだというくらいの暗い顔で、起きてきた。昨日も、たくさん泣いたのか、目が充血して、目の周りが腫れている。

昔からそうだ。親には何も言わず、ひとりぼっちで、涙を流して、朝、暗い顔で起きてくる娘に、私は声

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『白い靄のその下で』

『白い靄のその下で』



あれ、なんだろう、この世界は…

目の前には、何も、世界が広がっていないようで、それでいて、何か、あるような雰囲気だけを感じる。

隣を見ても、誰もいないし、目に見えるところに、人影はない、、、。

ふと、足元を見ると、なんだか白いモヤの上に立っているのに気が付いた。少し息をフッと吹きかけてみた。するとほんの少しモヤがフワッと舞い上がり、横に消えていくのが分かった。モヤの下に、うっす

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『誰がために鏡は灯る』

『誰がために鏡は灯る』



「鏡のモヤが取れない、、」

妹が、そう言ったので、私はとっさに鏡を見た。

よく見ると、たしかに鏡に白いのか灰色なのか分からないが、モヤがかかっている。なんだか、胸がホッとした。

「まぁ、時間がたったら、消えるか、、」

妹はそう言って、髪を編むのを途中で諦めた。

私は、鏡に映る自分が、大嫌いだった。顔も気持ち悪いし、笑顔も気持ち悪いし、そもそも、なんだか映ってる全てが、気持ち悪

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『カゲロウと陽炎』

『カゲロウと陽炎』



目に写る空気が、揺れている。太陽の光は、地面を熱し、また天に昇ってゆく。

メリ、、メリメリ、スル、という音をたてて、少しずつ、皮が溶けはじめた。一体、どれほどの分子が、今までこの額を叩き、傷つけてきたのだろう。新しいものとは思えないほど、錆びていて汚い皮膚が、ヌルヌルと顔を出す。

「今から、私は、この空気の中を揺れにゆく。」

そう言って、カゲロウは、勢いよく飛び立った。

しかし、飛

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