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Stationery Diary Page12/色紙

 みなさんこんにちは。あっという間に年度末を迎えましたね。

 そして3月と言えば卒業のシーズン。
卒業をモチーフにした曲をあちこちで耳にしたり、花束を持った学生さんたちが街を歩く姿を目にしたりとこの季節ならではの光景を目にしますね。

私は毎年この時期になると、この周りのムードにも影響されて、学生時代のことを思い出してしまって、なんだかセンチメンタルな気分になってしまいますがみなさんはいかがでしょうか?

 さて、そんな卒業シーズンということで「色紙」について紐解いていきたいと思います。

 色紙と言えば、寄せ書きや有名人の方のサインを思い浮かべると思いますが、そのルーツは、平安時代にまで遡ります。元々、「色紙」はその名の通り、単に色のついた紙「いろがみ」のことを指していました。
 しかし、平安時代中期から鎌倉時代にかけて、色紙に新たな用途が生まれました。それは、風景画などが描かれている屏風や障子の上方に、その風景にちなんだ和歌を書いた、ほぼ正方形の色紙をはり、絵だけでは描き切れなかった想いや余情を表すということに用いられるようになったのです。
 そして「いろがみ」は「色紙形(しきしがた)」と呼ばれるようになり、現在、私たちが使っている「色紙」はこれがルーツとされています。

 ちなみに、今も現存している色紙で有名なのが「小倉色紙」です。百人一首の選者を務めた藤原定家(さだいえ・またはていか)が和歌を色紙にしたためたものと言われています。京都の小倉山の山荘の障子に貼ったことから「小倉色紙」と呼ばれています。
 その後の時代に、千利休などの茶人たちが茶の湯の掛け軸に用いるなどして非常に重宝されていたそうです。元々100枚あったはずの色紙ですが、江戸時代には30枚ほどになり、現在は、東京の五島美術館や愛知の昭和美術館などいくつかの美術館に収蔵されています。

 さて、そんな歴史を持つ色紙ですが、私たちがよく目にするスタンダードな色紙は、マジックやボールペンで書きやすいツルツルとした表面が特徴の「サイン用色紙」と、筆や筆ペンで書くのに適した「画仙色紙」があります。画仙色紙のなかには、滲み止めの加工がしてあるものもあり、墨や絵の具で絵や書を書くだけでなく、貼り絵などの工芸用としても使われています。また、色が付いているものや金銀の柄が周りに施されているものもあります。

 また、寄せ書き用の色紙と言えば、色紙をこっそりと渡す人に内緒で紙袋などに入れて回していくのが当たり前でしたが、最近では、シールが付いている商品や色紙用のシールも豊富に販売されています。色紙自体を回すのではなくシールのみを配ってみんなにそれぞれ書いてもらい後で色紙に張り付けていけばよいので、非常に便利です。

 色紙用シール

 現在は、さらに進化をとげており、さまざまなデザインの商品が各メーカーさんから販売されています。デザインも非常に豊富で、花束の形をした見開くタイプのものや、フォトフレームを模した立体的に組み立てることができるものなど、バリエーションも豊かです。

素敵な色紙に感謝の気持ちを込めて、新たな門出を彩っていただけたらと思います。


※「Stationery Diary」は下記ラジオ番組とリンクしています。
こちらもぜひお聴きください。

【番組詳細】
RADIO▶FMとやま「Stationery Diary」Produced by 文具の瀬戸
(毎月第1月曜「ヨリミチトソラ内、16:30よりON AIR)※radiko対応

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