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SVリーグ改革がモヤる理由

この記事(を含めわたしのすべての note)の内容はあくまで「私見」ですし、一般レベルに漏れてくる情報のみで構成していますので、内容が正しくない場合があります


この note で何度も取り上げているバレーボール・SVリーグ。私も結構批判をしていますが(少なくとも私の周りでは)あまり評判がよくありません。

ただ、改革内容自体はスポーツビジネスとして至極まっとうな内容なのです。どうもしっくりこないのはなぜなんでしょうか。今回はそこを考えてみます。

困っているのはチームではなくリーグ

そもそもなぜSVリーグへの移行が必要なのでしょうか?ファンやクラブの様子をみていると、なぜ今、急いで改革をしなければならないのか、ピンときていないように思います。

…同じアリーナスポーツでもBリーグは完全な上昇ムードに乗っています。特に男子のV1チームは「このまま行くと離される」という機運が高まっています。

『Vリーグ・大河バイスチェアマンが語るバレー改革 「世界一のリーグ」に向けた現状と課題』Sportsnavi https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/2023112200001-spnavi

リーグ改革の文脈ではバスケットボールとの比較がよくされます。Bリーグが盛り上がっているのは確かですが、事業化意識の低い現在のバレーボール界において「バスケとの差」はさほど問題視されているとは思えないのです。現状代表も強いし、期待の若手もどんどん出てきていますから。

しかしリーグは違うようです。それはおそらく、リーグ機構の財政的な問題が原因と考えられます。バレーボールの場合アマチュアスポーツ式の経営が続いているので、クラブ財政は親会社の経営状態に依存します。したがってクラブ自体の収益はそれほど気にする必要はありません。しかしリーグには親会社がないので…

要は、リーグ運営母体にお金がなく苦しい、そこでリーグ全体の事業規模を拡大し、リーグ機構にももっとお金が落ちる仕組みにしたい。というところでしょうか。しかしなぜそんなにお金がないのでしょう?

メディア事業の失敗で、リーグにお金がない

昔はチラホラと地上波でも放送されていましたが、それがDAZNになり、VTVを経て、VTVイージースポーツに変わっていきました。

DAZNの後、VTVでの自主配信を開始しますが、これが大失敗。V2・V3の切り捨て、アーカイブ廃止、映像の質低下など様々なダウングレードを受け入れてイージースポーツに格安委託し、何とか映像配信を続けています。

これは完全に負のスパイラルに入っていて、配信がショボくなる→ファンが増えない→さらに配信がショボくなる、という状況が生まれています。元々見ていたファンからも質の低下に対して不満が出ているのに、新規ファンが見るわけありませんよね。

チケットシステムも失敗しているようですし、それを立て直すお金もないようです。このチケット販売システムの問題や、会場へのアクセス方法のわかりにくさなどが集客の足を引っ張っているところがあります。これも結局は広報不足の要素が大きく、広報媒体としてリーグが持っているのがイージースポーツ、CS放送、自前のSNSだけではあまりにも弱すぎます。SNSを使うにしても、自アカウントに掲載するんじゃなくて、お金を払って広告掲載するくらいじゃないと、プロモーションとしては弱いでしょう。

これらの問題もメディア事業の失敗に根ざすものといっていいと思います。

困っているのはリーグなのに動くのはチーム

上記より、今のやり方のままで各チームは問題ないが、リーグの運営母体が厳しい(お金がない)状態であると推察されます。そこで始まったのがリーグ改革「Vリーグ・リボーン」です。

ところが…

モヤりませんか?私は大変モヤります。何ですかこの「上から目線」は。「お前たちのためにやってやっているんだぞ」感は。リーグ機構の失策でお金がないんでしょう?なんか責任転嫁しているように見えます。リーグ運営の失策を詫びてチームに協力を「お願いする」立場ではないですか?土下座して頼むくらいの状況だと私には見えますが…

つまりリーグの失策がチームのこれまでの運営が悪かったかのように責任転嫁されているのが、私にとってのモヤる原因です。要は、改革の内容というよりは「言い方・頼み方」の問題だということです。

リーグとしての立ち振る舞いを見直してみては?

スポークス・パーソンを立てる

現在、リーグからの情報をSNS等で積極的に発信しているのは、バイスチェアマンの大河氏と、マーケティング担当部長の安田氏です。このお二方、スポーツビジネス界での経験は豊富だし、Vリーグ改革を良い方向に進める能力はそれなりにあると感じます。

失策後に招かれた人材なので、失策に対する自責の念がないのは若干しょうがないところがありますが、情報発信に関しては前述の通り、ファン心理を逆撫でするところがあります。私としては役員が直接発信するのではなく、もう少し柔らかく発信のできるスポーク・パーソンを立てるべきではないかなと思います。これで「言い方」の問題は少しは解消されるかなと思います。

まずはリーグ機構自身の改革から手をつける

リーグ機構は各チームに対し「アリーナ規模」や「収益基準」などの要件を突きつけており、それをクリアできないとリーグに参戦できない(ライセンスを交付しない)ことになっています。

ではリーグ機構は?やらなければいけないことがたくさんあるはずです。バレーボールのトップリーグとしての「要件」が現時点では整っていないと思います。まず今回指摘した「メディア事業の見直し」と「チケット販売システムの再構築」。さらに新たなスポンサー獲得などにより、各チームからお金を落としてもらうのではなく、ある程度独立してリーグとして収益を得る仕組みを構築する必要があると思います。

現時点でこれらリーグ自身の改革については「善処する」というスタンスです。各チームには「要件」として突きつけて、できなければ「除外」をちらつかせておきながら、リーグ自身は「善処する」では釣り合いませんよね。各チームに対して要求をする前に、まずはリーグ自身がやってみせる(あるいは必ずやると公約する)ことが先ではないでしょうか。「リーグはこれだけ変わりました。だからチームも変わってください」と言って変化をお願いするのが筋だと思います。

なんならチーム側からリーグ機構に「SV要件」を突きつけて、期日までに達成できなければ「SVリーグを運営する資格なし」として、全チーム脱退・新リーグ発足するぞと脅すくらいでいいんじゃないでしょうか。

まとめ

SVリーグへの移行がモヤるのは「改革を一番必要としているのはリーグ機構なのだから、チームに対するお願いの仕方がおかしいんじゃない?」ということと、「まずはリーグが変わったところを先に見せるべきなんじゃない?」というのが原因じゃないかな、というお話でした。

Enjoy volleyball !!

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