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絶対値について

どもです。

今日(2022/1/30)は落ち着いていますが、先週ぐらいはどか雪でしたね。
朝のベッドで思うこと、、、、いかにしてここで眠り続けられるか。
そんな地球一無駄なあがきを乗り越えて、今こうしてパソコンの前に座っている自分を褒めたい、紫綬褒章をあげたい。

さて、そんなどうでもいいことをいいながら、お題は真面目ちゃんです。

高校生に数学の授業をしていると、9割ぐらいの生徒が実はよくわかっていないんじゃないか疑惑を持ちます、「絶対値」。
おそらく、絶対値の中に文字が入りだしてきてからパニクる(パニックになる)人多きことこの上なし、という感覚です。

今回はそんな絶対値について、ちょっとだけ語ります。語り部です。


まず絶対値とは何か。
一番手っ取り早いのは「マイナス(ー)がついていたら消す(+に変える)。0は0。」
と教えることでしょうか。

これを聞くと、多くの生徒は
「なぁーんだ。簡単じゃん。しかも、計算はできるけど、こんなことなんの役に立つんだよ笑」

と考えるでしょう。
このとき先生はイラッときて、「絶対値に関するむずい問題出して懲らしめてやる」と思いたくなるでしょうが、そこは大人になりましょう。
気持ちはわかります。

本当に可哀想なのは生徒です。大抵の生徒はこれから路頭に迷うことになるのですから。

とりあえず、例題を出してみるわけです。

$$
|2|=2, |-5|=5, |0|=0
$$

簡単簡単。しょぼいわ、絶対値。
ここまではいいんです。誰でもできます。
そして、いよいよ魔の13階段に足を踏み入れます。
絶対値の定義です。

$$
|x| = \begin{cases}
x &\text{if } x\geq 0 \\
-x &\text{if } x\lt 0
\end{cases}
$$

これをみた生徒がまず思うこと。
「絶対値なのにマイナス(ー)付いてんじゃん!」

さっきまで余裕そのものだった風格はどこへやら、一気に阿鼻叫喚の様相を呈しています。
数学嫌いの生徒を量産する八幡製鉄所の如し「絶対値」。
さて、ここからどうするか。

とりあえずは、次の手を考えることでしょう。
「実際に$${x}$$に具体的な値を代入して確かめてみよう!」と。

$$
x=2 \text{ のとき } x\geq 0 \text{ だから, 定義より } |x|=x. \\
\text{ よって } |2| = 2. \\[5mm]
x=-5 \text{ のとき } x\lt 0 \text{ だから, 定義より } |x|=-x.\\
\text{ よって } |-5| =-(-5)=5.
$$

「ほらね! だから、定義は上の通りでいいよね!」
と先生が言った時、それで「本当に」理解できている生徒はかなり優秀です。
大体の生徒は以下の心情だと感じています。
「うんまぁ、、、、別にその説明におかしいところはないと思う。けどね、あんだけ絶対値はマイナス(ー)を取るって言ってたのに、やっぱり定義で $${-x}$$ と書いてあるのは納得いかない。」

このとき、先生方は面食らうでしょう。
「え?、いやだから今説明したやん、、、」
て。
そう、問題は何か。生徒たちは、以下の事項が納得していないのです。
「$${x}$$は何の数字が入っても良い、負の数でも。もし、$${x}$$が負の数だったら、$${-x}$$は負の数のマイナス1倍だから、結局正の数を表している。見た目が負の数っぽくても。」

なぜ私はこう思うのか。
次のように何も考えずに処理する生徒をよく見るからです(主観ですね、客観ではないので、日本の高校生の多数がそうであるような言い方は慎まなければいけませんが、、、)。

$$
|-x|=x
$$

やはり、見た目重視です。
とくれば、次の問題はお手上げなはずです。

$$
x\lt -2 \text{ のとき, } |x+2| \text{ の絶対値を外しなさい.}
$$

そう、何も考えずに答えを $${x+2}$$ としてしまう生徒が多数でしょう。
だって、見た目が正の値だから。

こうなった原因を考えます。
それは、こちらが親切に「絶対値はマイナスがついていたら、それを取るだけだよ!」と教えてあげたことなのではないかと。

例えば、言葉を覚えたての赤ちゃんに、犬は「わんわん」ととりあえず教えます。
でも、その「わんわん」と呼ばれるものは「犬」です。いつかは、それを「犬」と呼び、可愛がってあげなければなりません。
30代のいい大人が公然で「わんわん」と言おうもんなら、白い目でみられることは必至です。

何が言いたかったのかというと、いずれかはちゃんとした(一般的な)定義で覚える必要があるから、無闇に簡単にした言葉で伝えるのも問題、ということです。
いやはや、偉そうに言いました。すみません。それが難しいのは周知のことですよね。

絶対値を教える時に毎回思います。教育者の端くれならば、あの数学がわからなかった時の生徒の気持ちを忘れてはならない、と。
なるべく生徒と同じ目線で、丁寧に階段を登っていかなければいけない。
(けど、それだと授業時間が足りない。こんな悔しいジレンマがあるでしょうか。力量だと言われればそこまでですが、、、、)

さて、今日もどうやったら「絶対値」をすんなりわかってもらえるのか。
格闘する日々です。


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