全勢力集結!スター・ウォーズ:ウォー・オブ・ザ・バウンティー・ハンターズ あらすじ・感想
War Of The Bounty Hunters
2021年から始まったMARVEL刊行スター・ウォーズの新シリーズ。
2020年の「スター・ウォーズ」、「ダース・ベイダー」、「バウンティー・ハンターズ」、「ドクター・アフラ」各シリーズに登場するキャラクターが同じ舞台に集結しそれぞれの立場で戦うクロスオーバーイベントとなっている。そのためこのシリーズを読むためには、2015年刊行「ダース・ベイダー」(邦訳コミック)登場のドクター・アフラや「ナー・シャッダの決斗」(邦訳コミック)登場のサナ・スタロスをある程度知っておくのはもちろんのこと、前述の2020年シリーズを読んでおく必要がある。
とはいえ全部読むのは骨が折れるので、この作品を理解する上で必要最低限読んでおくべきコミックをまとめてみた。
■ ダース・ベイダー
■ スター・ウォーズ:ナー・シャッダの決斗
■ Darth Vader Vol.1: Dark Heart of the Sith
■ Darth Vader Vol.2: Into the Fire
■ Target Vader
時系列とキャラクター
エピソード5後(3ABY-4ABY)
ボバ・フェット:カーボナイト凍結されたハン・ソロをジャバの元へ届けようとするが様々な不運に見舞われる...
ダース・ベイダー:ルークの暗黒面への転向に失敗した罰としてムスタファーの試練を受け、見事乗り越えてより強いシス卿となった直後。
ルークたち主人公組:ハンを取り返そうと躍起になる。
ジャバ・ザ・ハット:なかなか自分の元へハン・ソロを届けないボバにイラつくジャバに、謎の組織からパーティーへの招待状が届く。
謎の女:ボバ・フェットからハン・ソロを奪うよう部下に指示し、パーティーで彼をオークションにかける。
ストーリー
0話: 重要な積荷/Alpha: Precious Cargo
ベスピンを飛び立ち、タトゥイーンへの航路につくボバ・フェット。しかし、冷凍されたハン・ソロの体に異変が起き始めていた。ボバは炭素冷凍に詳しいドクターにソロを診せるためナー・シャッダに立ち寄った。
代わりにドクターは、ボバが闘技場の決闘で犯罪組織カンジに所属するウィルメン・リクターを殺してくれるなら治療費はタダにすると持ちかけた。ボバは了承し、決闘に出場した──ただし身分がバレることのないようにナノスプレーペイントを施して。
ウィルメン・リクターは強敵だった。分かりやすい能力の表現方法としては「鬼舞辻無惨」が適切だろう。しかしそんな無惨様も実力でねじ伏せてしまったのが我らがボバ・フェット。さっさとリクターを殺し、ドクターの仕事場へ戻ったが...
そしてハン・ソロは奪われていた。
ボバ・フェットの「ハン・ソロを取り戻す旅」が今始まる。
#1 最重要指名手配/Most Wanted
盗んだソロをスペースヨットで回収した謎の女は、彼にパーティーでの利用価値があると言う。それだけではなく、ハン・ソロは謎の女の最終目標に必要な存在だったのだ。
一方衛星ナー・シャッダで立ち往生するボバ・フェットは、手がかりを得られないまま星を後にしようとする。しかし、直後にボバの命を狙わんとする2人の賞金稼ぎの奇襲を受けた。
彼らが狙っていたのは炭素冷凍されたハン・ソロだった。彼らを容易く返り討ちにしたボバは、4-LOMの頭部を切り離して〈スレーブⅠ〉のコンピューターに接続した。
彼らはなぜボバがハン・ソロを持っていることを知っていたのか?答えはひとつしかない。
ボバ・フェットはタトゥイーンのジャバの宮殿へ急いだ。
しかしそこにはジャバはいなかった。この時ジャバは銀河中の全ての犯罪組織が一堂に会すパーティーへの招待状を受け取り、すでに会場へ向かっていたのだ。
ジャバはそのパーティーの主催者がハン・ソロを盗んだともいざ知らず、ボバが金に目が眩み他の犯罪王にハンを売ったのだと勘違いしていた。強欲なハットはボバに懸賞金を懸け多くの賞金稼ぎを送り込んでいた。
パーティーの情報を聞きつけたのは犯罪組織だけではない。ハンを取り戻そうとする反乱軍、独自にハンを助けようとするサナとアフラ、別の思惑で彼を救出したいデンガーとヴァランス、そして極めつけはルークをおびき出すためにハンを我がものとしたいダース・ベイダーだ。
まさに銀河中の全ての組織が立場に関わらずハン・ソロを欲した。
そしてそれこそが謎の女...キーラの思惑そのものだった。ハンの元カノは、彼を競売にかける。彼女の目的はシス卿モールの目的そのものだ。
シスの壊滅はモールの悲願。しかし表に立てていたドライデン・ヴォスはキーラに殺され、モール自身もタトゥイーンでオビ=ワンの手により死んでしまった。
新たにモールの意志を引き継いだレディ・キーラは、水面下で膨大な数の組織や個人と対ダース・ベイダー及びパルパティーンの同盟を結んでいた。そしてあろうことか帝国の上層部は誰一人としてこの事に気づいていなかった。
#2 悪党の舞踏会/The Scoundrel's Ball
ジャバ率いるハット評議会、パイク・シンジケート、そして帝国軍など錚々たる実力者を前に、キーラはクリムゾン・ドーンの復活を宣言した。そしてパーティーの一環でハン・ソロをオークションにかけた。反乱軍とボバ・フェットはそれぞれ会場にハン奪回の機会を窺っていた。
そしてついにジャバ・ザ・ハットが100万クレジットで落札したところで...(ボバはこの時自分に払うと約束した額と違うと密かに毒ついた)
主役の登場である。1度は手放しボバの好きなようにさせたものの、ベイダーは個人的にハン・ソロを欲した。
#3 真紅の刃/The Crimson Blade
ベイダーにとって、ジャバが落札したことなどは全く関係のない話だ。もちろんジャバは自身の正当性を説くが、そんなものは無駄だと最初から分かっていたし、賢き犯罪王は圧倒的強者に対する引き際も弁えていた。しかし他のハットたちは違う。ベイダーが他の犯罪組織の前でジャバに恥をかかせたと憤るハット評議会は帝国につっかかろうとしたがジャバは諌めた。ジャバにとっては帝国そのものよりダース・ベイダーの方がはるかに恐ろしかったのだ。
というのも以前ジャバはベイダーのフォース・チョークを経験しており、容認と言う名目で服従したことがあった。(コミック 「ダース・ベイダー」参照)
パーティーの参加者の中で最も力を持つジャバがこれ以上何も言わないとなっては、誰一人としてベイダーに逆らえる者はいなかった。いや、いないはずであるべきだった。
この状況を待ち望んでいた者がひとり、いた。
いや、さすがに恐れてないのはあんただけでしょ。
果敢にもダース・ベイダーに立ち向かったのは他でもないキーラだった。何もキーラはハン・ソロを手に入れようとするベイダーに異を唱えた訳では無い。オークションである以上然るべき料金を支払うべきだと言っただけだった。正論キラーのダース・ベイダーはキーラを殺そうとしたが、どうやら一筋縄にはいかないようだ。
キーラは元シス卿ダース・モールからテラス・カシと呼ばれる武術の訓練を受けている。
#4 夜明けの攻撃/Attack At Dawn
一方そのころ、ルーク・スカイウォーカーがXウィングで会場へ向かっていた。
ルークの煽りを受け取ったベイダーは、キーラとの戦いを中断しタイ・アドバンストに乗り込んだ。
ハン・ソロを取り損ねたボバ・フェットはボスク、デンガーやヴァランスと1悶着起こし、そうこうしている間にハンはシャトルで〈エグゼクター〉に運び込まれようとしていた。当たり前にボバのイライラは絶頂だったが、それは彼だけでは無い──
ハット評議会は帝国に不服だった。ダース・ベイダーの真の力を目の当たりにしていない傲慢なハットたちは、タトゥイーンに帰るジャバの忠告を無視して〈エグゼクター〉に猛攻撃をしかけた。残念なことに、それが運の尽きだった。
ルークを追跡中のベイダーは〈エグゼクター〉の呼び出しでハット評議会への応戦に参加し、旗艦に乗り込んで皆殺しにした。
その時に殺されるボックというハットは実はジャバを裏切りベイダーに協力していたふりをしてクリムゾン・ドーンの一員だったことが前日譚で明かされるがそれはまた別のお話...
#5 夜明けの攻撃/Attack At Dawn
ヴァランスの助けを借りてボバはハンを取り戻すことができた。
この時点でバウンティーハンターズ・ウォーは終結した。勝ったのはクリムゾン・ドーンだ。彼らにとって、ハン・ソロの果たした役割は果てしなく広いグリー・アンセルムの海原ほど計り知れない。
反乱軍は意気消沈し──帝国はかつて自分たちのために働いた賞金稼ぎたちの不興を買っただけでなく──ハットと帝国の関係はもはや修繕不可能だ。つまり、それぞれの犯罪組織と、そこで雇われるならず者が一斉に帝国の敵に回った。
ダース・ベイダーはミスを犯した──彼の尊大な”交渉術”はクリムゾン・ドーン復活の餌食となってしまったのだ。
パルパティーンを殺すために集められた銀河中の精鋭たちはキーラの元でシス失脚のために暗躍することになる。
ボバ・フェットは無事にタトゥイーンまでハン・ソロを運び、紆余曲折を経てようやくジャバ・ザ・ハットから報酬を支払われた。(終)
感想
ストーリーはドラマやアニメ化していいレベルで面白いが、タイトルの「バウンティーハンターの戦争」って言うほどの規模ではなかった。
ここから物語は「クリムゾン・レイン」「隠された帝国」シリーズが続くという原作のスター・ウォーズ三部作を踏襲した構成で続いていく。そしてこの「キャラクターの紹介をしてからクロスオーバー作品でイベントを起こす」といういかにもマーベル的でMCU的なやり口は新しくて読み応えがあるので、個人的にはこういうのは映像作品でやってくれとつくづく思う。クローン・ウォーズの制作陣がこの時代のアニメ作ったらめちゃくちゃ人気出るでしょたぶん。
日本ではまるで展開されないコミックシリーズだが本国人気は割と高いようで、スマホゲーム「銀河の英雄」にもサナ・スタロスやドクター・アフラがプレイアブルキャラクターとして登場している。(あそこ2人ってデキてんのかな)
未邦訳コミックを追わないと完璧にストーリーが理解できないスター・ウォーズ界隈も世知辛いのでディズニーは本腰入れて予算つけてから邦訳書籍の展開に力を入れてください...
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