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税理士AIに続いて社労士も!?AI時代に向き合う社労士法人奮闘記 Vol.2

前回の記事公開から約3ヶ月、スッキリくんの社労士試験合格プロジェクトの進捗をお知らせします!

最近(?)のAI事情について小話

皆さん、Cotomoというアプリをご存じでしょうか?
CotomoはAIを活用した、雑談アプリです。
アプリを起動して話しかけると、人間と会話してるように錯覚するレベルでレスポンスが返ってきたりします。

こういうアプリの返してくる言葉って、事前に用意されている感が強かったり、返答として不自然だったりすることが多かったかと思います。

ただ、このアプリはちょっと違いました。
試しに私の彼女のiPhoneにインストールして話しかけてみると、
1対1の会話を自然にこなすだけでなく、
私、私の彼女(以降、A子とします)、Cotomoの3者の会話も自然に対応できたんです。

この驚きを詳細に伝えると、記事の趣旨が変わってしまいそうなので割愛しますが、私と私の彼女のどちらが話しているかをCotomoが特定して
「大好きなA子さんの彼氏さんとも仲良くなれて嬉しい!」とか「A子さんの彼氏さんのことをもっと知りたい!」みたいなことを言ってました。

相槌や「う~ん」と言った、会話の間の埋め方もかなり自然なうえ、会話内容も人間さながらであることに感心をしていたのですが、
僕の彼女的には「実際にこういうこと言うタイプの女が恋人の近くにいたらちょっと嫌だ」とのことでした。

受け取り方は人それぞれだなぁと思った次第です。

つくづく技術の進歩を感じます。

前回の内容のおさらい

前回の記事ではスッキリくんプロジェクト発足の背景、社労士試験の概要、スッキリくんの初挑戦の結果についてご紹介しました。
(初挑戦結果は選択式の問題で40点満点中18点でした。)

ここから、生成AIが回答精度を向上させるための一般的な方法と
スッキリくん得点アップのための取り組みについてご紹介していきますね。

生成AIの回答品質向上の方法

スッキリくん社労士試験合格プロジェクトにおける具体的な取り組みの前に、生成AIの回答精度・品質向上のために行われる一般的な技術を簡単にご紹介しようと思います。

生成AIは投げかけられた質問や指示に対して、人間のような自然言語で出力を返します。
見かけ上は、入力内容を人間同様に解釈して返事をしているように感じられますが、実際の人間の思考回路とは少し違います。
生成AIは入力された文字(単語)同士の関係性を解析して、学習済みのデータから出力すべき単語とその並びを推測することで、文章として自然なつながりになるように出力しています(厳密な説明ではなく、ざっくりと概要を理解して頂くための表現です)。

生成AIが文章を作成するイメージ
「私が」という単語の後に続く単語で最も確率の高い「好きな」を出力

生成AIの学習データには、
直近の情報や特定の分野(金融、医療、法律など)の専門家が必要とするレベルの情報は含まれていないケースがあります。
そのため、ChatGPTに「最新のiPhoneについて教えて。」と質問すると、iPhone13についての情報を返してきたりします。
※iPhone13は2021年9月発売

そんな中で、回答内容の精度を向上させるためにどのような手段があるか
代表的なものをご紹介します。

1.RAG《らぐ》(Retrieval-augmented Generation)

日本語で表現すると”検索を利用した生成”というようなニュアンスとなる
技術です。(正確な和訳は検索拡張生成らしいのですが、ちょっと分かりにくいですよね)
AIに回答を生成させる前に、ユーザーからの入力に対して事前に用意したデータベース検索を実施して、検索結果を踏まえた回答を出力させる手法です。
AIが知らない知識を補足するためのカンペを用意しておくようなイメージを持ってもらえれば当たらずとも遠からずかと思います。

AIからどのような回答を得たいかによって、事前に与えるデータや検索結果の扱い方を設定することができるため、社内マニュアルなどを記憶させて要約結果を参照したり、実務書を記憶させて、必要な情報を抽出したりすることができます。

2.ファインチューニング

ものすごく簡単に表現すると、生成AIのシステムに追加の学習データを直接流し込んでカスタマイズする技術です。

料理のレシピ本とその内容の確認方法を与えるのがRAGだとするならば、ファインチューニングはある分野のレシピで料理を作る練習をさせて、その技術を別の料理を作るときに適用できるようにする感じでしょうか。
パンケーキを焼く練習を沢山させて、生地の流し込み方、火の通し方を覚えたこませた後、その経験を活かしてクレープを焼けるようになるイメージです。

基本的にRAGの方が正確性、信頼性の面で上回っている、というmicrosoftの研究結果を踏まえてスッキリくん社労士試験合格プロジェクトでは、RAGを中心に得点アップを図ることにしました。
参照:Cornel University 

また、RAGにしてもファインチューニングにしても、避けて通れない概念であるプロンプトエンジニアリングについてもご紹介します。

3.プロンプトエンジニアリング

AIは人間の入力した指示に従って回答を出力します。
このAIに対する指示の仕方によって、
得られる回答の質が大きく左右されます。
ぜひ試してみてほしいのですが、
ChatGPTに「年功序列型の組織について教えて。」と訊ねるのと、
「年功序列型の組織について教えて。
出力にあたって下記の項目を含めるよう留意してください。
1.メリット、デメリット
2.主要各国における状況
3.今後の組織論における主流の予想」
とするのでは、出力される内容、質に明らかな差が出ます。
※分かりやすくするために極端な例を示しています。

このようにAIから得られる回答を求める内容に近づけるために指示を改善していくことをプロンプトエンジニアリングと呼びます。

レベルアップのための技術RAGについて

ざっくりとした内容は先述したのですが、このパートではもう少し詳細をご説明します。

社労士試験合格を目指しているため、当然と言えば当然なのですが、社労士試験対策用の参考書をデータベース化して事前準備をしました。

スッキリくん社労士試験合格プロジェクトにおいては、下記のような流れで参考書情報を加味した回答を出力できるようにしています。

①問題文入力
②問題文からChatGPTが重要なキーワードを抽出
③抽出されたキーワードを使って、事前に記憶させた参考書の文章を検索
④検索結果を要約
⑤要約された情報を問題文と結合して、ChatGPTに投げる
⑥回答出力

実際の問題回答がどのように処理されているか見てみましょう。

問題文

与えられた設問から重要なキーワードを抽出してください。

労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 労働基準法第32条の3に定めるフレックスタイム制において同法第36
条第1項の協定(以下本問において「時間外・休日労働協定」という。)を締
結する際、1日について延長することができる時間を協定する必要はな
く、1か月及び1年について協定すれば足りる。

B 労使当事者は、時間外・休日労働協定において労働時間を延長し又は
休日に労働させることができる業務の種類について定めるに当たっては、
業務の区分を細分化することにより当該業務の範囲を明確にしなければならない。

C 労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者が事業主を異
にする複数の事業場で労働する場合、労働基準法第38条第1項により、
当該労働者に係る同法第32条・第40条に定める法定労働時間及び同法第
34条に定める休憩に関する規定の適用については、労働時間を通算する
こととされている。

D 労働基準法第39条第5項ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場
合」か否かの判断に当たり、勤務割による勤務体制がとられている事業場
において、「使用者としての通常の配慮をすれば、勤務割を変更して代替
勤務者を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかか
わらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置さ
れないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる
場合に当たるということはできないと解するのが相当である。」とするのが、
最高裁判所の判例である。

E 使用者は、労働時間の適正な把握を行うべき労働者の労働日ごとの始
業・終業時刻を確認し、これを記録することとされているが、その方法と
しては、原則として「使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に
記録すること」、「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録
等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」のいずれか
の方法によることとされている。

問題文からChatGPTによって抽出されたキーワード

キーワード:労働基準法、労働時間、フレックスタイム制、時間外・休日労働協定、業務の種類、業務の区分、複数の事業場、法定労働時間、休憩、通算、事業の正常な運営、勤務割、代替勤務者、配置、最高裁判所の判例、使用者、労働日ごとの始業・終業時刻、記録、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録。

キーワードによって検索・要約された参考書の情報

summary0: フレックスタイム制を導入するには、労使協定と就業規則に始終業時刻を労働者の決定に委ねる旨を定める必要がある。労働時間が8時間の場合は45分、8時間超の場合は1時間の休憩が必要。36協定による労働時間延長及び休日労働は月80時間未満に制限されるべきだが、正しくは100時間未満である。60時間超の時間外労働に関する割増賃金の算定では、法定休日労働は含まれず、法定労働時間を超える休日労働のみが含まれる。事業場外での業務については、通常必要とされる時間を労働したものとみなされるが、事業場内外の業務時間を合算する必要がある。
summary1: 労働時間、休憩、休日に関する規定では、週法定労働時間を超える労働は、労使協定や就業規則に基づき定められた週ではその超過時間、それ以外の週では週法定労働時間を超えた時間が時間外労働となる。変形労働時間制では、変形期間内の法定労働時間総枠を超えた労働が時間外労働とされ、その総枠は1週間の法定労働時間×変形期間の日数÷7で計算される。フレックスタイム制では、労働者が一定期間内で契約時間を自由に配分して労働でき、生活と仕事のバランスを図りつつ、使用者にとっても生産性の向上が期待できる。この制度を採用するには、就業規則で始業及び終業時刻を労働者の決定に委ねること、労使協定で必要事項を定めることが必要であり、派遣労働者に適用する場合も同様の手続きが求められる。
summary2: "第4章では、労働時間、休憩、休日に関する規定が説明されています。労働者は週法定労働時間(原則40時間、特例44時間)を超えて労働することが可能で、1日8時間を超える労働も選択により許されます。清算期間が1箇月を超える場合、1週間当たりの労働時間が50時間を超えない範囲で、週法定労働時間を超えて労働させることができます。完全週休2日制を採用している場合、フレックスタイム制を適用する際には、労使協定により所定労働日数に8時間を乗じた時間数を清算期間の法定労働時間の総枠とすることが可能です。フレックスタイム制に係る労使協定は、清算期間が1箇月を超える場合、行政官庁に届け出る必要があります。時間外労働は、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間と定義され、清算期間が1箇月を超える場合の計算方法が詳述されています。"
summary3: 労働基準法第7章における妊産婦の労働時間等の規定は、妊娠の維持や母体の回復、哺育を医学的観点から支援するため、妊産婦が請求した場合に限り、時間外労働や休日労働、深夜業を制限する内容を含む。具体的には、変形労働時間制においても18時間、週間法定労働時間を超える労働を禁止し、災害や公務、36協定に基づく時間外・休日労働も許可されない。また、深夜業は一切禁止される。ただし、フレックスタイム制は始終業時刻の自由度が高いため、この制限の対象外となる。労働基準法第41条に該当する特定の妊産婦には、労働時間及び休日の規定が適用されず、深夜業の制限のみが適用される。これらの規定は、妊産婦の健康と安全を守るためのものである。出典: EC東京リーガルマインド 2024年版出る順社:労士 必修基本書。
summary4: 労働時間、休憩、休日に関する法律や判例は、労働契約や就業規則によって決定されるものではなく、客観的な基準によって評価される。労働基準法上、仮眠時間も労働からの解放が保障されていない場合は労働時間に含まれ、待機時間も労働時間とされる。継続勤務が2暦日にわたる場合は1勤務として扱われ、一般健康診断の時間は労働時間に含まれないが、特殊健康診断や安全衛生教育の時間は労働時間とされる。零細規模の商業やサービス業には労働時間の特例があり、1週間の法定労働時間は44時間とされている。変形労働時間制やフレックスタイム制の採用は可能だが、1年単位や1週間単位の非定型的変形労働時間制の採用には特例の適用はない。
summary5: "第1章 労働条件の確保及び向上等に関する法令では、介護や育児のための所定労働時間の短縮、フレックスタイム制度、時差出勤制度、介護サービス利用時の費用助成制度、短時間勤務制度、所定外労働の免除、育児休業に準ずる措置など、労働者が家庭の事情に対応しながら仕事を続けられるよう支援する多様な措置が義務付けられています。これらの措置は、介護が必要な家族を抱える労働者や小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者にも適用され、事業主による不利益取扱いの禁止が定められています。これにより、労働者の働きやすい環境の確保と家庭と仕事の両立が促進されます。"
summary6: 第1章 労働条件の確保及び向上等に関する法令では、事業主は3歳未満の子を養育する労働者(日々雇用される者や1日の所定労働時間が6時間以下の労働者を除く)に対し、労働者の申出に基づき育児のための所定労働時間の短縮措置を講じなければならないが、一定の条件を満たす労働者(事業主に1年未満雇用された者、週2日以下の労働者、業務の性質上困難な場合の労働者)には適用されない。ただし、短縮措置を講じない場合、育児休業に準ずる措置や始業時刻変更等の措置を講じる必要がある。所定労働時間の短縮措置には、16時間勤務を原則とすること、始業時刻変更等の措置にはフレックスタイム制や始終業時刻の調整が含まれる。
summary7: "第4章では労働時間、休憩、休日に関して、特に変形労働時間制に焦点を当てています。この制度の目的は、労働時間の柔軟な管理を通じて労働者の生活設計を支援し、労働時間を短縮することにあります。変形労働時間制には、1箇月単位、フレックスタイム制、1週間単位、1年単位、非定型的変形労働時間制の5種類があります。1箇月単位の変形労働時間制では、使用者は労働組合または労働者代表との協定、または就業規則により、1箇月の平均労働時間を定めることができ、特定の週や日において通常の労働時間を超えて労働させることが可能です。この制度は、月初めや月末、特定の週など、業務の繁忙期に応じた労働時間の配分を可能にし、労働時間の短縮を目指します。また、使用者は、変形労働時間制を適用する際には、育児を行う労働者への配慮も必要です。"
summary8: "第4章 労働時間、休憩、休日の規定事項には、対象労働者の範囲、3箇月以内の清算期間とその起算日、清算期間内の総労働時間、1日の標準労働時間、フレキシブルタイムとコアタイムの時間帯、清算期間が1箇月超の場合の労使協定の有効期間が含まれる。フレックスタイム制下での年次有給休暇取得時は、標準労働時間として扱う。一斉休憩が必要な場合はコアタイム中に休憩時間を設定し、必要ない場合は休憩時間の長さと取得時間帯を就業規則で定める。時間外・休日労働に関しては、1日単位ではなく1箇月及び1年単位での協定が可能。EE東京リーガルマインド 2024年版出る順社:労士 必修基本書 59より。"
summary9: 労働基準法の第4章では、労働時間、休憩、休日に関する規定が定められています。これには1年単位や1週間単位の変形労働時間制、一斉休憩の適用除外、時間外・休日労働、割増賃金の代わりに有給休暇を与える制度、事業場外労働や専門業務型裁量労働のみなし労働時間制、時間単位での年次有給休暇の付与、年次有給休暇の計画的付与、年次有給休暇中の賃金の定めなどが含まれます。また、労働者の委託による貯蓄金の管理や賃金からの一部控除に関する労使協定は、労使委員会の決議に代えることができず、労使協定に代わる労使委員会の決議で届出が必要なのは36協定に代わるもののみです。これらの情報は、EE東京リーガルマインドが2024年に出版する労士必修基本書からのものです。

要約情報、プロンプト、問題文を結合

summary0: フレックスタイム制を導入するには、労使協定と就業規則に始終業時刻を労働者の決定に委ねる旨を定める必要がある。労働時間が8時間の場合は45分、8時間超の場合は1時間の休憩が必要。36協定による労働時間延長及び休日労働は月80時間未満に制限されるべきだが、正しくは100時間未満である。60時間超の時間外労働に関する割増賃金の算定では、法定休日労働は含まれず、法定労働時間を超える休日労働のみが含まれる。事業場外での業務については、通常必要とされる時間を労働したものとみなされるが、事業場内外の業務時間を合算する必要がある。
summary1: 労働時間、休憩、休日に関する規定では、週法定労働時間を超える労働は、労使協定や就業規則に基づき定められた週ではその超過時間、それ以外の週では週法定労働時間を超えた時間が時間外労働となる。変形労働時間制では、変形期間内の法定労働時間総枠を超えた労働が時間外労働とされ、その総枠は1週間の法定労働時間×変形期間の日数÷7で計算される。フレックスタイム制では、労働者が一定期間内で契約時間を自由に配分して労働でき、生活と仕事のバランスを図りつつ、使用者にとっても生産性の向上が期待できる。この制度を採用するには、就業規則で始業及び終業時刻を労働者の決定に委ねること、労使協定で必要事項を定めることが必要であり、派遣労働者に適用する場合も同様の手続きが求められる。
summary2: "第4章では、労働時間、休憩、休日に関する規定が説明されています。労働者は週法定労働時間(原則40時間、特例44時間)を超えて労働することが可能で、1日8時間を超える労働も選択により許されます。清算期間が1箇月を超える場合、1週間当たりの労働時間が50時間を超えない範囲で、週法定労働時間を超えて労働させることができます。完全週休2日制を採用している場合、フレックスタイム制を適用する際には、労使協定により所定労働日数に8時間を乗じた時間数を清算期間の法定労働時間の総枠とすることが可能です。フレックスタイム制に係る労使協定は、清算期間が1箇月を超える場合、行政官庁に届け出る必要があります。時間外労働は、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間と定義され、清算期間が1箇月を超える場合の計算方法が詳述されています。"
summary3: 労働基準法第7章における妊産婦の労働時間等の規定は、妊娠の維持や母体の回復、哺育を医学的観点から支援するため、妊産婦が請求した場合に限り、時間外労働や休日労働、深夜業を制限する内容を含む。具体的には、変形労働時間制においても18時間、週間法定労働時間を超える労働を禁止し、災害や公務、36協定に基づく時間外・休日労働も許可されない。また、深夜業は一切禁止される。ただし、フレックスタイム制は始終業時刻の自由度が高いため、この制限の対象外となる。労働基準法第41条に該当する特定の妊産婦には、労働時間及び休日の規定が適用されず、深夜業の制限のみが適用される。これらの規定は、妊産婦の健康と安全を守るためのものである。出典: EC東京リーガルマインド 2024年版出る順社:労士 必修基本書。
summary4: 労働時間、休憩、休日に関する法律や判例は、労働契約や就業規則によって決定されるものではなく、客観的な基準によって評価される。労働基準法上、仮眠時間も労働からの解放が保障されていない場合は労働時間に含まれ、待機時間も労働時間とされる。継続勤務が2暦日にわたる場合は1勤務として扱われ、一般健康診断の時間は労働時間に含まれないが、特殊健康診断や安全衛生教育の時間は労働時間とされる。零細規模の商業やサービス業には労働時間の特例があり、1週間の法定労働時間は44時間とされている。変形労働時間制やフレックスタイム制の採用は可能だが、1年単位や1週間単位の非定型的変形労働時間制の採用には特例の適用はない。
summary5: "第1章 労働条件の確保及び向上等に関する法令では、介護や育児のための所定労働時間の短縮、フレックスタイム制度、時差出勤制度、介護サービス利用時の費用助成制度、短時間勤務制度、所定外労働の免除、育児休業に準ずる措置など、労働者が家庭の事情に対応しながら仕事を続けられるよう支援する多様な措置が義務付けられています。これらの措置は、介護が必要な家族を抱える労働者や小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者にも適用され、事業主による不利益取扱いの禁止が定められています。これにより、労働者の働きやすい環境の確保と家庭と仕事の両立が促進されます。"
summary6: 第1章 労働条件の確保及び向上等に関する法令では、事業主は3歳未満の子を養育する労働者(日々雇用される者や1日の所定労働時間が6時間以下の労働者を除く)に対し、労働者の申出に基づき育児のための所定労働時間の短縮措置を講じなければならないが、一定の条件を満たす労働者(事業主に1年未満雇用された者、週2日以下の労働者、業務の性質上困難な場合の労働者)には適用されない。ただし、短縮措置を講じない場合、育児休業に準ずる措置や始業時刻変更等の措置を講じる必要がある。所定労働時間の短縮措置には、16時間勤務を原則とすること、始業時刻変更等の措置にはフレックスタイム制や始終業時刻の調整が含まれる。
summary7: "第4章では労働時間、休憩、休日に関して、特に変形労働時間制に焦点を当てています。この制度の目的は、労働時間の柔軟な管理を通じて労働者の生活設計を支援し、労働時間を短縮することにあります。変形労働時間制には、1箇月単位、フレックスタイム制、1週間単位、1年単位、非定型的変形労働時間制の5種類があります。1箇月単位の変形労働時間制では、使用者は労働組合または労働者代表との協定、または就業規則により、1箇月の平均労働時間を定めることができ、特定の週や日において通常の労働時間を超えて労働させることが可能です。この制度は、月初めや月末、特定の週など、業務の繁忙期に応じた労働時間の配分を可能にし、労働時間の短縮を目指します。また、使用者は、変形労働時間制を適用する際には、育児を行う労働者への配慮も必要です。"
summary8: "第4章 労働時間、休憩、休日の規定事項には、対象労働者の範囲、3箇月以内の清算期間とその起算日、清算期間内の総労働時間、1日の標準労働時間、フレキシブルタイムとコアタイムの時間帯、清算期間が1箇月超の場合の労使協定の有効期間が含まれる。フレックスタイム制下での年次有給休暇取得時は、標準労働時間として扱う。一斉休憩が必要な場合はコアタイム中に休憩時間を設定し、必要ない場合は休憩時間の長さと取得時間帯を就業規則で定める。時間外・休日労働に関しては、1日単位ではなく1箇月及び1年単位での協定が可能。EE東京リーガルマインド 2024年版出る順社:労士 必修基本書 59より。"
summary9: 労働基準法の第4章では、労働時間、休憩、休日に関する規定が定められています。これには1年単位や1週間単位の変形労働時間制、一斉休憩の適用除外、時間外・休日労働、割増賃金の代わりに有給休暇を与える制度、事業場外労働や専門業務型裁量労働のみなし労働時間制、時間単位での年次有給休暇の付与、年次有給休暇の計画的付与、年次有給休暇中の賃金の定めなどが含まれます。また、労働者の委託による貯蓄金の管理や賃金からの一部控除に関する労使協定は、労使委員会の決議に代えることができず、労使協定に代わる労使委員会の決議で届出が必要なのは36協定に代わるもののみです。これらの情報は、EE東京リーガルマインドが2024年に出版する労士必修基本書からのものです。

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前述の文章を前提として、与えられた設問を正確に理解し、選択肢ごとに正誤を判断してください。

正しい選択肢である確率と誤った回答である確率をそれぞれ出力してください。

計算が必要な設問は、計算過程をステップバイステップで出力してください。

選択肢に正答が含まれない場合は、最も正答である確率が高い選択肢を示してください。
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労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているもの
はどれか。
A 労働基準法第32条の3に定めるフレックスタイム制において同法第36
条第1項の協定(以下本問において「時間外・休日労働協定」という。)を締
結する際、1日について延長することができる時間を協定する必要はな
く、1か月及び1年について協定すれば足りる。

B 労使当事者は、時間外・休日労働協定において労働時間を延長し又は
休日に労働させることができる業務の種類について定めるに当たっては、
業務の区分を細分化することにより当該業務の範囲を明確にしなければな
らない。

C 労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者が事業主を異
にする複数の事業場で労働する場合、労働基準法第38条第1項により、
当該労働者に係る同法第32条・第40条に定める法定労働時間及び同法第
34条に定める休憩に関する規定の適用については、労働時間を通算する
こととされている。

D 労働基準法第39条第5項ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場
合」か否かの判断に当たり、勤務割による勤務体制がとられている事業場
において、「使用者としての通常の配慮をすれば、勤務割を変更して代替
勤務者を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかか
わらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置さ
れないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる
場合に当たるということはできないと解するのが相当である◦」とするの
が、最高裁判所の判例である。

E 使用者は、労働時間の適正な把握を行うべき労働者の労働日ごとの始
業・終業時刻を確認し、これを記録することとされているが、その方法と
しては、原則として「使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に
記録すること」、「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録
等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」のいずれか
の方法によることとされている。

出力された回答

選択肢A: 正しい。フレックスタイム制においては、時間外・休日労働協定を締結する際に1日について延長することができる時間を協定する必要はなく、1か月及び1年について協定すれば足りる。

選択肢B: 正しい。時間外・休日労働協定において労働時間を延長し又は休日に労働させることができる業務の種類について定めるに当たっては、業務の区分を細分化することにより当該業務の範囲を明確にしなければならない。

選択肢C: 誤り。労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者が事業主を異にする複数の事業場で労働する場合、労働基準法第38条第1項により、当該労働者に係る同法第32条・第40条に定める法定労働時間及び同法第34条に定める休憩に関する規定の適用については、労働時間を通算することとされている。しかし、これは各事業主が個別に労働時間を管理する場合であり、事業主間での通算は認められていない。

選択肢D: 正しい。最高裁判所の判例によれば、「使用者としての通常の配慮をすれば、勤務割を変更して代替勤務者を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置されないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできないと解するのが相当である」とされている。

選択肢E: 正しい。使用者は、労働時間の適正な把握を行うべき労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録することとされている。その方法としては、「使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること」、「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」のいずれかの方法によることとされている。

したがって、誤っている選択肢はCです。

こうやって整理してみると、1問問題を解くだけでもかなりの量の情報を処理していることが分かります。

得点アップ

前置きが長くなってしまったのですが、RAG実装による得点アップの状況を御覧頂こうと思います!

選択問題得点(合格条件:総得点26点以上かつ各科目3点以上)
択一問題得点(合格条件:総得点45点以上かつ各科目4点以上)


結果は選択問題で15%、択一問題で20%の得点率向上となりました!
また、足切りに関しては選択式:5科目足切り→2科目足切り、択一問題:6科目足切り→1科目となり、足切りになる科目数を1/3以下にすることができました。

特に択一問題の労働基準法 / 労働安全衛生法の上昇幅が顕著ですね。

問題の性質的に「知ってさえいれば解ける」、というものが多いことに要因があるかと思われます。

逆に択一問題の厚生年金保険法は、RAG実装後にむしろ点数が下がってしまっています。

「○○という状況で▲▲の場合、遺族厚生年金は支給されるか?」というような、知識を前提に問題文を正しく解釈して正誤を判断する必要がある問題が多く、難易度が高かったようです。

ChatGPTのライバル? Claude3とは

〜閑話休題〜
ChatGPT4を上回る性能である、と巷で話題になっているClaude3というAIモデルがあります。
Claude3はChatGPTの開発元であるOpenAIから離脱したメンバーが創業したAnthropic社から公開された生成AIです。
(公開されたのは2024年3月とごくごく最近です。)

計算やコーディング、文章生成と言った複数の分野で、これまで主流であったChatGPTを上回る性能であるとAnthropic社は発表しており、AI界隈では国内外問わず話題になっています。

Claude 3 (Opus、Sonnet、Haiku)、GPT-4、GPT-3.5、Gemini 1.0 (Ultra、Pro)
といった主要なAIモデルの性能比較
数学や大学院レベルの推論、コーディングと言った分野で性能比較を実施しています。
Anthropic社HPより引用)

こちらのモデルに関しても、社労士試験合格プロジェクトの一環として、
検証を進めました。

ChatGPTより優秀(?)と評判のClaude3ですが、社労士試験問題はどれくらい解けるのでしょうか?

盛り上がってきたところですが、Claude3の実力は次回の記事でお伝えしようかと思います!

次回も乞うご期待!

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