(総合系)医療機器商社に入ると

前回まで医療機器商社にも大きく分けて3種類の形があることを解説しました。

この中で私が実際に働いていたのは、総合系医療機器商社です。

総合系医療機器商社では、地域特性やその会社の規模感にもより実際の働く環境が異なってきます。

その紹介と新人の時期から独り立ちまでの経験をご紹介します。

【入社して2~3ヶ月】

私は、医療機器商社に入る前は建築資材の卸業者に努めていました。

当時は、リーマンショックの後で軒並み建築業界が不況で倒産するケースも多く販路の拡大には難しい時期であったと思います。

未だに覚えているのが、医療機器商社の面接に行った際、1次面接の相手であった業務部長が、「君の今までいた建築業界は知らないけれど、医療機器は10万種類を越える商材があり、勉強もコツコツしていかないといけないよ」と。

医療機器は10万種と言われても、建築資材のほうがよっぽど多い気がする…と思ったのを覚えています。

さて、入社してみると、本社での簡単な研修のあとは先輩社員についてのOJTが始まりました。

400床弱の公的病院を担当していて、まず最初は先輩について歩くだけの研修です。

9:00 出社
9:10 いろいろなメーカーから届いた商品の検品
10:00 検品した商品の中から、今日納品するものをピックアップ
11:00 今日納品するものの納品書を作成
12:00 お昼休み
13:00 納品物を車に詰め込み、出発
13:30 病院へ到着 
13:40 用度課(事務部)へ訪問し御用がないか確認
14:00 倉庫へ行って納品業務
15:00 各部署をまわり御用がないか確認
16:00 中央材料室へ行き、修理品の預かり
17:00 会社へ戻る
18:00 明日の準備を軽くして終了

最初のうちはこのような流れです。

最初に覚えることは、
1,納品業務
2,書類業務
3,修理業務
4,発注業務

この4つになります。
1,2,4は会社のシステムを使ってやりますので、会社の物流の仕組みであったりを単純に覚えて対応するルーティンワークです。

これは、1~2ヶ月もあればだんだん覚えてきます。

3,の修理業務は少し専門業者らしい仕事になります。

手術に使う、鋼製小物と呼ばれる機材が多種多様にあるのですが、その修理は頻回に出されます。

その名の通り、金属(主にステンレス)製の手術器械で、セッシや鉗子、ハサミが主なものになります。

例えば把持鉗子です。

手術中に臓器や血管を挟んで持ったりすることを「把持」といいますが、ハサミのような形で、掴むところはギザギザに滑りにくくなっています。
その把持鉗子にも種類がたくさんあり、先端の形状でペアンかコッヘルの違いがあり、挟む部分が湾曲しているか、していないか、またその湾曲具合がきつい曲がりかなだらかな曲がりか、そもそもの長さ、等によって呼び名も一部変わってきます。
それらが一つのメーカーで揃っているわけではなく、いろいろなメーカーの商品がありますので、修理で受け取ってきてもそれぞれ別別のメーカーに修理に出す必要があるので、最初はなかなか苦労するものです。

修理の内容は鉗子やセッシの場合は、かみ合わせ不良、ハサミの場合は切れの不良がほとんどです。

そういった鋼製小物の修理を専門にやっている業者もあり、特別なもの以外はメーカーではなく業者にお願いすることも多くあります。

この鋼製小物の修理手配が面倒なことと、商品を覚えるという側面から新人がまず担当する業務の一つになります。

その他は、まず、担当病院で働く皆さんに顔と名前を覚えてもらうことも重要です。

通常の業務でやりとりの多い、用度課(事務部)の担当者、各病棟の看護師長さん、外来や検査科等の主任さん、またドクターです。

通常のルーティンワークでも、きちんと担当者として認識してもらわないと他の業者さんに頼まれてしまっては仕事が減ってしまいます。

新しい商品を売り込むときにも顔見知りになっていることが強いポイントになってくるので、大事な仕事の一つだと思っています。

私の場合、一旦廊下ですれ違った医師や看護師長や商談相手になる人に、大きな声で挨拶をするというところからはじめました。

いつも挨拶してくれる業者さんというところからすべての営業活動につながっていったと自分では思っています。





 

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