できないと思ってたこともいつかできるようになる。
今だから話せることだけれど、駆け出しのころはインタビューの仕事がこわくてたまらなかった。
原稿を書くことについては、仕事を始めたころから、なぜか根拠もなく自分は絶対書けると自信をもっていた私。ちなみに今も書くことについては絶対の自信がある。
一方、実際にインタビューすることについては、根拠もなく自分はだめだと思い込んでいた。
今思えば、完全に妄想なんだけれど、インタビューの仕事はいるたびに不安でたまらず、きっと自分はへまをして、相手の方を怒らせてしまうに違いないと信じてすらいた。
幸か不幸か、駆け出しのころから、有名な放送作家さんだの、超ベテラン編集者だの、映画のプロデューサーだのけっこうな大物さんを取材させていただいた。
ただ、それだけにさらなるプレッシャーをかけられ、インタビューの最中、心の奥でふるえっぱなりだった。うまく話せなかったらどうしよう、変なこと言って相手を怒らせたらどうしようってこわくてたまらなかった。
一緒に行ってくれた編集さんが、私より全然要領がいいように見えて、編集さんが相手の方と話しているのを見て、ああ、彼女は好かれているけど、私は嫌われたんだろうなってうらめしく思ったことも何度かあった。
そう、だから、昔は本当にインタビュー苦手だったんです。
本当にこの仕事については自分はだめだと思っていて、一時期、遠ざかったこともありました。
それでも、回をいつの間にか慣れていって、気がついたらインタビューの仕事が怖くなくなっていった。
こわくなくなったのは、まず程度年をとったから。そして、あきらめがついたから。
年を重ねるごとに、若者特有の自意識過剰が薄れていって、他人からどう思われても別にいいやって居直りはじめて、嫌われる恐怖が薄れたら、インタビューも怖くなくなった。
そして、怖くなくなってからは、インタビューの仕事がどんどん面白くなっている。
だから、今思うのです。
最初にやってうまくできなかったからって、あきらめちゃほんといかんなと。
あきらめずに続けていれば、いずれうまくできるときが来るんだから。
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