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小説

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空想と願いが込められた物語
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#短編小説

愛してなんか居ないのに

「理央(りお)の手、温かいね」
 私が布団から顔を出すと、隣で一緒に横になっていた彼氏の理央が手を両手で包み込むように握りながら頬擦りをした。
 仕事からの帰り道、雪が降っていた。私の住む水門町(みなとまち)では比較的温暖な地域なので雪が降ることは珍しいことなのだが、今季は例年より気温が低いらしく雪が降ってもおかしくない気温らしい。積もるかは分からないと今朝見たお天気キャスターの女性が言っていたが

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