「人生のバイブル」を持つということ
あなたには、「人生のバイブル」と言える特別な本がありますか?これは、私の人生を支える1冊と出会った奇跡と軌跡の記録です。
#1 アンとの出会い
私が初めてその本に出会ったのは、小学校低学年の頃。休み時間ともなれば、図書館へ行って本を読む、そんな子でした。ある日、母は私に、1冊の外国文学を薦めてくれました。タイトルは、『赤毛のアン』。
さっそく図書館から借りてきて読んでみましたが、ちっとも面白くありません。最初の数ページで(まだ主人公のアンが登場する前に)お手上げ状態でした。このときの私は、まだ知るよしもなかったのです。この本が私の「人生のバイブル」になるということを。
#2 アンの魅力
小学6年生になった私は、再びあの本と向き合うことにしました。数年前に匙を投げた苦い思い出が心の片隅にずっと残っていたからです。それに、今なら読める、そんな根拠のない自信が、ページをめくる原動力になりました。
読み進めていくと、以前の記憶が嘘のように、みるみる「赤毛のアン」の世界に引き込まれていきました。アンの底抜けの明るさと豊かな想像力、おてんばな一面、全てが愛らしく感じました。
一方、孤児院で育ち、身寄りのないアンは、引き取られた先の家で様々なトラブルを巻き起こします。アンとは育った時代も環境も違うのに、なぜか共感できる場面が多くありました。
アンの物語は、「赤毛のアン」を皮切りに、「アンの青春」、「アンの愛情」…と続いていきます。読み始めた時に私と同じくらいの年齢だったアンは、友情や恋愛、受験、死別、結婚、出産などを経験し、大人になっていきました。私は、読み進めるうちに、アンの人生を疑似体験しているような気持ちになりました。
#3 アンの言葉
私は、「赤毛のアン」のなかに大好きな一節があります。
「曲がり角を曲がった先に何があるのかは、分からないの。でも、きっと一番よいものに違いないと思うの。」
これは、アンが大学進学を諦め、里親であるマリラを支えていく決断をした時の言葉です。必死の思いで勝ち取った奨学金を手放し、大好きな家とマリラのそばで暮らしていく。若干16歳のアンがこの決断に至るには、どれほど強い決意が必要だったのでしょうか。しかし、アンは決して悲観的にならず、曲がり角の先にある、新たな美しさや風景に期待を寄せます。
私は、何かに悩んだり、新しい挑戦に不安を感じたりする時、いつもこの言葉を思い出します。「やってみなくちゃわからない」。そう言われてる気がするのです。そのため、その先にそんな結末が待ち受けていようとも、「きっと一番よいものだ」と信じて進むことを大切にしています。
#4 おわりに
ところで、あなたは、「人生のバイブル」と言える特別な本を持っていますか?
人生という長い長い旅の途中、道に迷ったとき、疲れて休憩を取るとき、大きな決断を迫られたとき、1冊の本が、道標となり、癒やしとなり、励ましとなることでしょう。
皆さんも、書店や図書館に足を運んでみませんか。「人生のバイブル」となる特別な1冊に出会えるかも知れません。
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