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現代アートを楽しむ

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現代アートは、常識を覆すコンセプトを作品で表現しています。作品がどんなコンセプトで創られたのか、アーティストが作品に込めた思いは何かなど、アートの根幹に関わる記事をまとめます。
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2023年11月の記事一覧

受取人のいない手紙を預かる「漂流郵便局」:人の深層心理を洞察して隠れたニーズを掬い上げる

瀬戸内海に粟島という小さな島があります。この島に、受取人のいない郵便を預かる不思議な郵便局があります。その名も「漂流郵便局」。アーティストの久保田沙耶さんが、2013年に、瀬戸内国際芸術祭での作品として制作したものです。 受取人のいない手紙を預かる郵便局 受取人のいない手紙とは、例えば、お子さんを亡くしてしまったお母さんが、亡くなったお子さんに向けて書いた手紙や、10年後の自分に書いた手紙などです。通常の郵便配達では、このような受取人のいない手紙は配達してくれません。しか

新国立劇場でのオペラ『シモン・ボッカネグラ』 舞台美術をロンドンで活躍しているアーティスト、アニッシュ・カプーアが担当。 全編にわたり、逆さ吊りになった火山が舞台を覆い、シモンの死とともに、黒い巨大な太陽が出現する。今の時代を反映した息苦しさを感じる舞台です。

冨井大裕さんと日常から異次元を創造する:アート思考サロン第2回を開催します

私たちの身の周りにはモノが溢れています。それらのモノには、私たちの生活を便利にする機能が備わっています。しかし、視点を変えると全く別の姿が見えてきます。アーティストの冨井大裕さんは、既製品に最小限の手を加えることで、それらを固定された意味から解放し、色や形をそなえた造形要素として、「彫刻」のあらたな可能性を模索しています。 冨井大裕さんをお迎えして、アート思考サロン in 代官山 第2回 冨井大裕氏と語る「思考の飛躍:日常から異次元へ」を開催します。 詳細、お申し込みは

ただひたすら身を委ねる空間:《大巻伸嗣 真空のゆらぎ》

こんにちは 現在、国立新美術館にて「大巻伸嗣 真空のゆらぎ」が開催されています。 大巻氏の作品に触れるのも初めてでしたし、空間を作品にしたインスタレーションアートも体験したいと思い足を運びました。 今回は大巻氏の空間作品を体験したお話をしていきます。 少しの間だけお付き合いいただけたら嬉しいです。 それではさっそく |大巻伸嗣の空間体験 インスタレーションアート、それは作者の作品のために展示会場を設えるとは異なります。 造形物から空間(ここでは展示室)そのものまで