地球と火星間の通信 (妄想話です)
これは、現在私が開発しているゲーム、ルルディ・アステリ の時代までは行きませんが、少し遠い未来を想像する話です。
火星の居住ドームや、テラフォーミングが成功して人が住めるようになったとしたら、地球と火星の関係はどうなるでしょう?
地球上ではインターネットで世界中の情報が接続されています。
おそらく火星上でもそのようになるでしょう。
では、地球と火星の間の通信はどうでしょうか?
通信の遅さがボトルネックになって、困ったりしないでしょうか?
詳しく考えて妄想してみようと思います。
🌏↔︎🟠は太陽の周りを公転しているので互いの距離が常に変化しています。
最も近いときは、5570万km、最も遠いときは4億100万km(55.70×10^9m〜401.0×10^9m)だそうです。
光の速さは、30万km/sec → 3.0×10^5kmなので、直線距離で光通信ができたとしても、片道約185秒〜1337秒の遅延があり、時間がかかりすぎるので一般のユーザーが好きなタイミングで通信を行うのは現実的ではありません。
(※実際には、間に月や太陽等の天体が挟まり、直線で結べない場合もあり、光を中継・増幅する必要もありそうです。衛星を経由するとさらに遅延がありそうですが、ややこしいのでここでは無視します。)
上記の理由から、任意のタイミングで地球と火星の間の通信を行うのではなく、地球と火星のデータは常に同期させておいて火星のユーザーは火星にあるデータにアクセスするのが現実的でしょう。
では、データ同期に使う通信プロトコルを考えてみましょう。
インターネットなど一般的な通信はTCPがベースになっていますが、TCPはノード間でハンドシェイクを行うため、往復の時間がかかりすぎて使う事ができません。そこでUDPをベースにしたプロトコルを使って切れ目なく送受信する方法が良さそうです。
次に必要なデータ転送帯域を考えてみます。
2025年の全世界のデータ生成量は2EByte( エクサバイト)→2×10^18Byte/日
その中で活用できているデータは5%なので、100PByte(ペタバイト)→100×10^15Byte/日になります。
また、生成されるデータの量は10年で約10倍に増えるそうです。
(参考:データ爆発時代における、データ活用のためのIoTの必要性 - ARTICLES | Uhuru 株式会社ウフル)
火星移住ができるのが2125年としたら、2025年の10^10倍なので、生成され活用されるデータは100×10^25Byte=1.0×10^27Byte→1RByte(ロナバイト)/日になります。
(※2022年11月18日SI接頭辞Rロナ、rロント、Qクエタ、qクエクトが追加された
参考: SI接頭語「ロナ」「ロント」「クエタ」「クエクト」が新規追加!その背景事情を解説 - Lab BRAINS)
通信帯域の話なのでこれをbpsに直すと、
1/86,400RByte →1/86400×10^27≒11.6×10^21Byte
→11.6ZByte/秒(ゼタバイト/秒)
→92.8Zbps(ゼタビット毎秒)・・・①
これはすごい量ですね…。
では通信レートがどれだけ出せるかを考えてみましょう。実は通信レートはそんなに早くできないと考えられます。
JAXAの光衛星通信技術の研究のページには、通信レート10Gbps(約1GByte/sec)、
光通信に使用するレーザー光は、波長1.5 μm帯で5THzとあり、これは赤外線の波長です。
(参考: 光衛星通信技術の研究|JAXA|研究開発部門)
上記光通信に使われる光の周波数が5THzの場合、通信レートの限界はナイキスト周波数(f/2)より、2.5Tbpsですが、これは理論値なので実用上はもっと遅くなります。
ここでは適当に減らして、250Gbps(約25GByte/sec)で計算してみます。・・・②
①のデータを遅延なく送受信するには、②の通信経路が、幾つ必要か?
92.8Zbps÷250Gbps →92.8×10^21÷250×10^9
≒0.37×10^12
370,000,000,000個(3700億個)の通信経路が必要という事が分かりました。・・・③
・・・これは無理そうですね。
というわけで、冒頭の想像の通り地球と火星間の通信は全データを同期するには遅すぎるので、時間が経つにつれ、互いに異なるデータが蓄積していくことになります。
これは将来的に科学技術の発展や文化の違いが大きくなり、地球と火星で共通の規格を維持したり、データや物の互換性を保つ事が困難になる事が予想されます。
さらに遠い未来には、もはや同じルーツを持つ人類とは思えない程異なる文明になってしまう事でしょう。
そうならないようするには、③の通信帯域を超える量のデータの物理輸送などの対策を取る等、別の解決策を探る必要が生じるでしょう。
太陽系の惑星開拓は、思った以上に大変なのかもしれませんね。
ここまで長文にお付き合い頂きありがとうございました。
想像妄想を膨らませたらずいぶん長くなってしまいました。
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