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とある達人の備忘録10・起業塾という仮面舞踏会。

ー君がガイドさんに会ったっていう起業塾って
 ヒーラーというか、スピ系の人ってどれくらいいたの?

「起業塾の先生がコンサルしてるのが美容師とか整体師とか
 それこそスピ系とか、なんでも来い系の人だったからさ。
 本当にいろんなジャンルがいて異業種交流会状態だったな。

 記憶してるかぎりでは3人くらいかな?
 カウンセラー、ヒーラー、スピ塾、くらいかな?
 後は正体不明のキャラたちが多かったな。」

ー正体不明、とは。

「本職が何かわからない連中のことを指す。
 大体が起業家って名乗ってて本職がよくわからないのだよ。
 整体師や美容師、保育士にライターとか役者とかもいたっけか?

 僕みたいに起業家の仮面を被ったサラリーマン、OL、公務員、銀行員もいたな。

 大体は起業家の仮面を被ったサラリーマンの方が多かったんじゃないのかな。」

ー「リアル仮面舞踏会」というわけか。

「ああいうところでは自分が本職何やってます、なんて
 明かさないのだよ。

 『起業家の人生で悠々自適やってます』ってSNSで喧伝してるのに
 フタを開けてみたら会社員でした、なんて言ったらカッコ悪いだろ。

 思えば手の内を明かさなかったことが
 あの塾で仲間を作れなかった要因かもしれない。」

ー自分の正体を明かすことが「弱さ」につながってしまうということか。

「一応コンセプトとしては
『初めはウソだったとしても、言い続けてればやがて真実になる』
 ということになる。」

ー『起業家役を演じ続けていれば、それはやがて真実になる』
ということか。そういう成功法則?もあるんだな。

「当時の自分を含めて、皆自分をカッコよく見せたいものなのだよ。
 『起業家です』っていえばハクもつくし
 何も知らない人からすれば『おお、スゲーな』ってなるだろう。」

ーどんな形であれ、嘘をつくのは辛いだろう。
 もはや良心の呵責との勝負になるのでは?

「喧伝しててだんだん辛くなったのは事実だね。
 その辛さに見て見ぬフリをしてたのも
 また事実だったけど…。

 辛いと思う理由を全部ブラック企業のせいにできたのが
 せめてもの救いかな。」

ー君が詐欺罪で訴えられなかったのがせめてもの救いと思うぞ。
 仲のいい『起業家』はいなかったの?

「起業塾にガイドさんが来てからは、
 ほとんどガイドさんにくっついてたな。
 安心感が段違いなのでね。

 よく僕の悩みも相談してもらったよ。

 自分と仲が良かったのは、ほとんどスピ系セラピストかな。」

ー安心感のないスピ系セラピストなんてヤダよな。

「印象に残った学びが『なぜ、それをやるのか』ということだ。
 いつの時代も、その動機が強い人間が成功するからだ。」

ーそうだよな。それは起業でも会社の仕事でも。

「起業塾の先輩に、クライアントのためにって言って
 毎日徹夜してまで成果物を仕上げた人がいたんだ。

 徹夜が身体にいいかどうかはさておいて
 成果物を喜んでくれるクライアントのために、って
 がんばれるパワーってすごくないか?

 そこのところが起業で頑張れる源泉だと思うのよ。

 結果として、その人は『成功者』になった。

 誰のために?なんのために?
 ここは僕もず〜〜っと考えたけど、
 結局思い浮かばずじまいで終わった。」

ー確かに最近は、そこのところがはっきりしてない人が多いよな。

「逆に言えば、ここがはっきりすれば
 『自分とは何か』という問いの答えが
 はっきりするんじゃない?」

ーそれはそうだな。なんのために地球に来たのか?
 自己実現したいことはなんなのか??
 本質的な答えに一歩近づくことができるよな。


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