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とある達人の備忘録1・国の変革か、自分を生きるかの二択。

ーアデプト、すなわち「達人」になった君にいろいろ聞かせてほしい。

「よろしく頼むよ。オレでよければなんでも答えるよ。」

ーブラック企業も大変だっただろうけど、正直起業塾ってどうだったの?
ヒーラーさんいたっていってたじゃん?

「あーー、あれね。
 失敗の話ばかりしたかもしれないけれど
 身になったことも多かったんじゃないかな。」

ー起業塾で学べたことはどうだった?

「やっぱり起業塾というだけあって
 会社じゃ教わらないことを教わったね。
 一起業人としての振るまい、考え方とか。

 結果は失敗に終わってしまったが
 起業人の思想としては
 まさしく真理をついていたものだったよ。」

ーどういう人たちが多かったのかな?

「大半が暑苦しい連中じゃなかったかなぁ笑
 渋谷でマリカー楽しそうに乗り回してる
 外人連中みたいな、あのハイテンションな。

 それもあって全然ついていけてなかったけど。

 だけど『この国を変える』ってパッションはみんな持ってたし
 それが強かったから成功した人もいたんだろう。

 自分にはそういうものがなかったから。
 毎日会社を生き延びるのが精一杯なわけだったし。
 マジに彼らがうらやましかった。」

ーそのマリカー連中のノリについていけない時点で
起業塾での君の敗北が確定してるような気もするのだが🤨
しかし『この国を変える』というパワーワードがすさまじいな😆

「どの国にも社会問題ってあるだろう?
 自分の持ってるテーマを通して、今のこの国を変えたい、
 皆が皆、そんな熱いパッションを持ってたのだ。

 ともかく他のみんなに乗り遅れて、
 自分だけブラック企業に取り残されて

 一歩越えられなくて、いっつも悔しかった。
 また周りに先を越された、ちくしょうってね。」

ーアデプトになることで起業塾の成功を期待してたじゃん。
あれどうなったの?

「いやむしろ、アデプトになってからの方が
 起業塾でのエラーが目覚ましくなったように思える。」

ーエラー、とは。

「起業塾の先輩に呼び出されたことがあってさ〜。
 あのときのことは、今でもよーく覚えているよ。」

ー怖いな笑。なんか悪いことしたの?

「結果が出ないこと=すなわちそれが悪だ、
 いや、結果が出ないことよりも
 結果を出すための行動をしなかったがゆえの『悪』だね。」

ーできなかったのは、やっぱり仕事が忙しいから?

「もちろんそれもそうだったのだけど
 やる気が起きなかったんだよな。

 家族の葬儀があって、ちょうど喪に服している最中でね。
 心がざわついてばっかりで何もしたくなかったんだ。
 会社の仕事以外は何においても、手を止めざるを得なかった。」

ー誰の葬儀だった?

「父方の祖母の葬儀だった。
 人生で一番お世話になった人だから悲しすぎた。
 だから手が動かなかった。」

ーなるほど。先輩にはなんて詰められたの?

「『今の君が立ち止まっているように見える。
 常に前進して進化成長し続けるのが起業家だ。
 起業家である以上、前進しなければならない。
 ”立ち止まらない”って約束できる???』

 てな感じだな。」

ー進化成長するのが起業家、もっともかもな。
身内のご不幸があったとはいえ
君は自らその歩みを止めてしまったわけだ。

「『やるかやるかっていったら、やるしかない』と言われれば
 『立ち止まらない』って選択肢はなかっただろう。

 目上の人の言うことだから本来なら
 『やります』と即答するのがスジだろう。

 ただ、どういうわけか
 その日は即答ができなかったんだよ。」

ー「迷いが出た」ということ?

「あらためて『何が正しい生き方なのかな』って。
 起業家として飛躍した人生を目指していたのだけど
 いざこうして手が止まって何もしなくなった。

 起業家として『この国を変える』のをがんばるべきか
 何もかも投げすてて『本来の自分』を取り戻すべきか

 この二択のどっちが祖母の供養になるかってね。

 起業家としての成功したい気持ちもあったけど
 一度手を止めた時点で『本来の自分』を
 取り戻したい意志も芽生えたんだ。

 これは後年知ったことだけど
 本当の先祖供養ってのは
『自分を生きる』ことらしいんだ。」

ーすると、もう答えは出てたってわけだ。

「まぁある意味アデプトになってはじめて
 『本来の自分』に戻ろうって
 決めたのはこの日だったと言っていいよね。」

ー何についても「本来の自分」に立ち返るのが正しい決断と言えるね。
君が先祖供養の意味をはき違えなかったのが
「本来の自分」へ到達するカギになったんだろう。


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