小学6年生だった頃の君の幻影を見ている

私たち兄弟にはお盆とお正月にだけ会える少し年上の従兄弟がいて、彼は長い間私たちの一歩前をゆく憧れのお兄ちゃんとして君臨していた。彼はいつも私たちに新しい世界を教えてくれた。ギャグ漫画もDSも面白いテレビ番組も、全部君が教えてくれた。
でも、今の彼は私たちの思い出のなかの彼とは少し違う。なんというか、社会のなかで色々なものを見て、大人になった。
そんなこと言ったら私だって弟だって等しく成長して、そして少しズルくなったりもしているけど、でもあまりに彼が私たちの憧れだったから、その真っ当な変化に小さな衝撃を受けずにはいられないんだと思う。
だから今でも名前を聞いて思い浮かべるのは、幼さゆえの全能感を纏い意気揚々と話している小学年6年生の君だ。残酷なことを言うようだけど、またあの頃の君に会いたい。


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