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Helloも言えなかったのに。

幼児のときは、Hello!のひとことも言えなかったのにね。
本当に大きく成長したなと思う子がいます。
幼児クラスでは、一人ずつ握手して、英語であいさつをします。
慣れると全員できるのですが、幼児の間、何に抵抗があるのか
どうしてもできなかった子がいました。

その子は、みんなが参加するテーマ活動にもとまどっていました。
英語日本語の物語CDを流しながら、シャドーイングしながら、セリフをいいながら、その場面を疑似体験をする活動。台本のあるおままごとのような遊び。
 その役の気持ちになって言うセリフは、子どもにとっては本物です。
 おままごとのお母さん役のときは、本当にその立場でその気持ちで言いますが、英語にもそれが起きる感じ。

 その子は小1の夏合宿が終わるまで、自分から動いて、その場面のイメージを仲間と共有しようとすることもありませんでした。私も仲間の子どもたちも、「やらないんだな。」と見守っていました。
 でも、夏合宿で大学生と同じグループになり、一緒に思い切りお話を楽しんだあとのレッスンで、いきなり、その子はみんなに対して、「ここに
虹をこうやって作ろう!」などと提案しだしたのです。
 その当時、高大生がメンバーにはいなかったので、その子にとっては、
生き生きとお話のなかで遊ぶ大きい子と接したのははじめての経験でした。
 大学生は、それまでに積んできた経験から、アドリブも混ぜながら、感性豊かにお話の登場人物になったり、背景の草などになったりしながら、小さい子達を巻き込みながら、同じグループのみんなをまとめます。
 
 きっと、彼女は「こうやって遊べば楽しいんだ。」と体感したのでしょう。
 それをきっかけに、一歩ずつ交流経験、英語体験をつんで、中2では
一カ月ホームステイ、高校生では一年留学へ参加。そして、日本の大学へは進学せずに海外の大学へ行きました。

子どもが言語習得する道筋はいろいろあれど、子どもの感受性に言葉がズバッと入っていくのは、幼いときは特に物語や本物の体験です。
 でもお子さんによっては、劇は苦手という場合もあります。私も学芸会の劇は苦手です。演劇部には何度生まれ変わってもおそらく絶対入らないタイプ。
 でも、自分の心の中にある気持ちを、物語のシーンをきっかけに人と共有するのは楽しい。その感覚は、はじめシャイで苦手な小さい子には、大きい子がやってみせるとつかめるようになります。

 なっていったって、ハローのひとことがどうしても言えなかったのに、
今では海外を拠点として生活している子もいる。その突破口がおはなしのごっこ遊び。面白いことです。

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