父を送る(18) 入所
なんだか遠回りされたような気もするが、大きな渋滞に巻き込まれることなく約束の午後二時ちょうどくらいに施設に着くことができた。施設の玄関前ではなく、隣接している道路に停車されたが初めての場所でこれ以上近づけるかもわからず、また運転手とやりとりを続けるのも億劫だったのでさっさと代金を支払って、トランクから荷物を出した。雨がしっかり降っていたので荷物を濡らさないようここでも小走りだ。
玄関ポーチに着いてからあっと気付く。父親は傘が無いし走れない。しまったと思いながら後ろを振り返る