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バイオンテック情報: コロナウイルスのワクチンに関する米政府からの資金をファイザーは受けない(拒否?)

バイオンテック(BNTX)/ファイザー(PFE)

最近、バイオンテック株のホルダーとして株価が上がらずヤキモキしている人も多いと思いますが、先日行われたコンベンションに出演したファイザー(PFE)の最高経営責任者ジョン・ヤング氏は、アメリカ政府からのワープスピード作戦 Operation Warp Speedに付随したワクチン開発資金を受けなかった理由を説明しました。

彼の説明によると、ファイザーとしては一刻も早くワクチンを届けたいがために、政府との交渉に時間を費やしたくない。また「バイオンテックとのパートナーシップを減速させないためにも」そのような決定をしたと言っています。

どこまで本音かわかりませんが、我々のシナリオに少し狂いが出るかもしれない情報です。

この話が出た11日のファイザーの株価を見てみましょう。この日は歴史的な暴落デーではありましたが、

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ズドーンと7%以上下落しています。20兆円企業でもボラティリティが凄いです(もちろんこの理由だけで下げた訳では無いと思いますが)。

ヤング氏のコメントはこれ以外にもありましたが、「ワクチンの収益性を議論するタイミングではない」という話と、「まずは数万本のワクチンを製造して行き、ワクチンが許可を得たら投資を増やして供給体制を拡大する」といったニュアンスでした。準備はできているが今はその時を待っている段階だと。

また「ファイザーがアメリカでワクチンを提供し、バイオンテックがヨーロッパを並行して担当する」とも言っています。

バイオンテック株主にとって注意しないといけないのは、これはメーカーであるファイザーの話だということです。ファイザーにとっては自社がどのように収益を得られるかを説明しないといけません。ファイザーは既にバイオンテックに多額の投資をしており、これは癌の治療に関するものも含めてですが、投資家への説明責任とバイオ事業の困難さの狭間に立っています。またワクチンは現在mRNAアプローチで4種類を実験していますが、人類がこのアプローチでワクチンを実用化したことはなく、大きな期待と同時に慎重になるのも理解できます。

バイオンテック自体は開発側ですのでメーカーが置かれている立場とは微妙に異なります。現場での販売価格がそのまま開発側に転嫁されるはわからず、そして売り先はファイザーだけではありません。先日ヨーロッパ投資銀行から1億ユーロの出資も得ており、中国にも提携先があります。よってどれだけファイザーの動きと連動するかは不確定です。

しかしアメリカの市場に上場している株ですから必然的にこのような情報も判断材料になるでしょう。バイオンテックの評価をどう定めるかの参考にしてください。

注:ファイザーがワープスピード作戦のファイナリストに選ばれているのに変わりはありません。現時点で他社のように政府からの「ワクチン開発のための先行した」資金に熱心になることはない、というメッセージだと捉えています。


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