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NHKオンデマンドで「100分de萩尾望都」

NHKオンデマンドで「100分de萩尾望都」
カズレーザー司会で漫画家ヤマザキマリ、小説家夢枕獏らが各々の萩尾望都を語る
同じ作家が語る萩尾望都論が圧巻。
漫画という日本独自のジャンルの中でも独自のジャンル、世界にも例のない少女漫画という世界
男性優位社会の中で生きていかざるを得なかった
女性だったり、少数派(性的、社会的、存在的に)にとってギリギリの手立てだったということ。
安住の地がない表現者の作り出す訴える表現が
時間や距離やコミュニティを超えて誰かに届く
その凄さ儚さ強さ、かけがえのなさ。
カズレーザーの司会もいい。
論者の萩尾望都に対する愛情の強さと熱狂に対し同調仕切ることのない冷静な距離感。
それが論者を自由に走らせる
昔自分のライブを一緒に作ってくれていた
仲井陽さんが映像を担当していて番組の知の探検の景色を作り上げててくれて
それも嬉しかった。
カズレーザーが提起した
「この表現をすごいと思う人は多数いるが、同時にこの表現が全く届かない人も多数いるということか?」という問いが重く清々しい。
萩尾望都さんは覚悟を持って自分の漫画に人生を捧げる
そしてそれしか人生がない
自ら(あるいは避けられない選択として)限定した人生の自由と孤独、天国と地獄。
理解しようとしない人間(肉親も含め)の存在を強く感じながら表現していくこと。
少しでも表現に関わる人間にとって
この番組がどれだけ宝の山だったか。。
母との関係を描いたイグアナの娘。
そのラストシーンに出てくる川の中のトカゲとは?
ボーの一族のエドガーは萩尾望都自身なのか?
そういう永遠の美しさを自分で体現できずしかし魅せられてしまった人間は作家になるしかないという夢枕さんの読み。
半神(返還できた!すごい!、)
ギリシャ悲劇に匹敵する神話は作家が私的に自分と対峙する中で生まれる、人間そのものが神話という視点
萩尾望都さんはSFが好きで死ぬほど読まれたそうだ
自身の作品もカテゴライズされるSFとは
現在の世界観では表現できない世界、それでも現在の問題を描かねばならないときに今までに存在しない想像上の世界を必要とする、そのための表現形態であるというSF文学論。
私もフィリップKディック、カートボネガットJr.
レイブラッドベリ、アーサーCクラーク、アイザックアシモフ、などSFを貪るように読んでいたのは、当時現実から逃げ込むような、そして現実に反撃する機会をSFに求めていたところもあったかと回想。
ただ萩尾望都さんは空想から現実を撃ち続けている。。
すごい番組。ありがとうございましたNHK教育さま!
菅内閣がNHK教育をコストカットでなくそうと示唆していたが、何言ってんだばかやろー笑
一度見てみろ!それから口を出せ!
と言いたいが彼らには全く届かないかもしれない。。。。
そういったこともこの番組で突きつけられていた。。

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