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【行政書士試験FIRST STEP】7話 行政書士試験の試験範囲をざっくりと予習!【後編】

 前編に引き続き、今回も行政書士試験の試験範囲をざっくりと予習していきましょう。
 勉強を始める前に全体を把握することで個別の部分についてより深く理解を得ることができますし、暗記する際の助けにもなります。


1.民法

 法律には公法私法という分類があります。
 国と個人との関係を規律した法律が公法、個人と個人との関係を規律した法律を私法と呼びます。そんな私法の代表格が民法という法律です。

 つまり、今まで解説してきた憲法や行政法はどちらかというと我々私人とお役所との決まり事だったのに対し、民法は私人間の争いについての決まり事ということになります。

 例えば私が文房具屋にボールペンを1本買いに行ったとします。

 ボールペンをレジに持って行ってお会計をする時、文房具屋とボールペンを購入する私との関係性を表す法律が民法と考えるといいかもしれません。

 文房具屋でボールペンを買う。一見単純な行為に見えますが、その行為には考えなければいけないことがたくさんあります。例を挙げてみると

  • ボールペンを購入するという契約はいつ完成するの?

  • このボールペンはいつ私の所有物になるの?

  • このボールペンは私の本当に欲しいボールペンじゃなかった場合、契約自体をなかったことにできるの?

 こういった問題に直面した時にどうするのかを示してくれるのが民法と言えるでしょう。

 さらに民法は家族間の関係性についても言及しています。

 例えば婚姻、離婚、養子縁組、相続など人と人との関係性についても示しています。

2.民法のジャンル分け

1.民法は3つのジャンルに分かれます。

 民法は約1,000条から構成される法律です。
 憲法や行政法に比べると10倍以上ある条文量に驚くと思います。しかし、行政書士試験攻略という観点から考えると民法は決して避けては通れない科目です。

 民法は3つのジャンルから構成されます。
 「民法総則」「財産法」「家族法」です。

2.民法全体のルール「民法総則」

 行政法を紹介する際にも「行政法総論」について触れました。行政法総論は行政法全体で適用されるルールをまとめたものです。
 「民法総則」も同じように民法全体のルールについてまとめたもののことを指します。

 民法全体のルールなので、ここで勉強することになる「制限行為能力者」に関する決まりについては、財産法や家族法にも適用されます。

3.財産に関するルール「財産法」

 土地や物、財産に関するルールをまとめたものが「財産法」と呼ばれます。財産法はさらに「物権」と「債権」に分類されていきます。

 物権の大枠は「物」に関する権利をまとめたものを言います。
 その物を所有する権利である「所有権」をはじめとして「抵当権」「質権」「先取特権」などがあります。

 債権の大枠は「特定の人に対しての要求」に関する権利をまとめたものを言います。
 ある人に特定の行為をしてもらうこと又はしないでもらうことを「要求する」ということが債権の基本です。

4.身分に関するルール「家族法(身分法)」

 家族法とは家族や結婚・離婚、親子関係に関するルールをまとめた「親族法」と相続や遺言に関するルールをまとめた「相続法」があります。

 身近な存在でありながら詳しいことを聞かれると困ってしまうのが家族法です。
 特にこの科目については具体例を想像しながら勉強することが基本となりますが、日本には最も身近な家族法の題材が存在します。

 それは「サザエさん」です。

 家族法を勉強する前にサザエさんの家系図をザッとおさらいしておくだけで理解が早くなると思いますのでオススメです。

3.商法

 商法は民法の特別法に位置付けられます。

 ざっくりと商法のイメージとして持っていただきたいのは、民法という土台があってその上に商法が乗っかるというイメージです。

 商法は言葉の通り、商人同士、企業間同士での取引に適用されるルールのことを指します。

 民法の例と同じように、文房具屋にボールペンを購入するとします。

 私が文房具屋に1本ボールペンを購入するのと、A社が文房具屋にボールペンを1,000本毎日購入するとなった時、私とA社が同じ扱いだと不都合が生じます。

 私はボールペンを1本買う際、レジに行き、代金を必ず支払わなければなりませんが、A社が私と同じ扱いだとしたら、A社の担当者は毎日1,000本の代金を文房具屋のレジに持参しなければならなくなります。

 ……正直、面倒だと思いませんか?
 そんなことしてられるか! こっちは忙しいんだ! と叫びたくなりませんか?

 そこで、このように継続・反復して大量に行われたときに合理的な取り扱いのルールを民法の特別法として商法が定めているということになります。

 商人というプロ同士がより効率よくお金儲けをするためのルールなので民法とは毛色がちょっと違い、迅速な取引を実現させるために合理的なきまりであると思っていただければと思います。

4.会社法

 会社法とは読んで字のごとく、会社の設立や運営に関する決まりをまとめたルールのことです。

 会社法も民法と同様、約1,000条文存在しますが、行政書士試験で求められる知識は主に「株式会社の設立」についてです。例を挙げるならば

  • 株式会社はどういう性質のものか

  • 株式会社はどのようにして設立するのか

  • 株式会社の設立に必要なものはなんなのか

  • 株式会社の種類とは

  • 種類ごとにやらなければならなないことはなんなのか

  • 株式会社の役員とはどんな存在か

  • 役員の種類と役割はどんなものか

 細かく勉強しようと思えば無限に勉強できる科目ですが、まずは「株式会社がどのようにして設立されるのか」という全体の流れを抑えることが重要です。

5.まとめ

 今回は「民法」「商法」「会社法」の大枠を解説していきました。
 民法の特別法が商法・会社法ですので勉強する際には必ず民法から勉強するようにしましょう。

 行政書士試験においては捨て科目と思われがちな商法・会社法ですが、出題される範囲はほぼ決っており、全く勉強しないというのはもったいない科目でもあります。

 これから行政書士試験に向けて勉強される方は余裕を持った勉強計画を練り、捨て科目を作らないように勉強していくことをオススメします。

 今回で行政書士試験出題範囲の大枠については以上になります。
 次回からは各科目の大枠を少し細分化して、解説していきたいと思っています。
 次回もお楽しみに。


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