【行政書士試験FIRST STEP】行政手続法の全体像を把握しよう! 後編
前回は行政手続法の4本柱のうち2本、「処分」と「行政指導」について解説していきました。今回は残りの「届出」と「命令」、さらに行政手続法で重要な「適用除外」について解説していきます。
1.届出
届出はお役所に対して、「ちゃんとしました!」というように一定の事項をお知らせする行為です。
具体例を挙げるとすれば、開業届があります。
個人事業主として開業した場合、「開業しました!」ということで行政に対して通知をするわけです。
申請との違いは行政庁に「諾否の応答の義務」が無いことです。
許可申請をした場合は行政庁は申請者に対して、「許可します!」か「許可しません!」と返答しなければなりません。
しかし、届出の場合は「開業しました!」と通知したあと行政が何か特別なことをする必要が無いのです(義務が無いだけなので注意)。
届出はそういった性質を持つので、届出の義務については記載事項や必要書類がちゃんとしていれば、担当行政庁に到着した時点でその義務は果たされたものとされます。
到着した時点でお役所は何も文句は言えなくなってしまうというわけですね。
2.命令(意見公募手続き)
命令はイ~ニまでのことを指します。
これらは国民の権利利益を左右する強力な効力を持つものです。
ですから、一部の人間が適当に、簡単に決めていいものではありません。厳格な手続きが必要になるわけです。
行政書士試験においては、この手続きの流れが出題されることになります。
その手続きこそが「意見公募手続」です。
意見公募手続は、命令等の案やそれに関する資料を国民にあらかじめ公表して意見を広く募ることを言います。
重要なことを決めるので、一部の人間が決めたものでは無く、国民の総意を持って決めるためにこのような手続きを踏むというイメージです。
集められた意見を十分に考慮し、その結果、どう決まったのかもきちんと周知する義務も発生するという徹底的に厳格な手続きが求められます。
意見公募手続のイメージは厳格、これに尽きます。
きちんとしっかりと最後まで行う。命令等を定めるにはそれだけの厳格さが求められるということです。
3.適用除外
行政手続法の条文や参考書には、最序盤で顔を出す適用除外ですが、要は特定の場合は、行政手続法ではなく別のルールで対応するということです。
今までの4本の柱で解説してきたことはこの場合は忘れてくれ、というイメージでしょうか。
適用除外のイメージは2つ!
ではどのようなものが適用除外に当たるのか、イメージとしては以下の2つです。
行政手続法で対応する必要が無いもの→慎重な判断、特別な手続きが必要なもの
地方公共団体の機関が個別で対応すべきもの
慎重な判断、特別な手続きが必要なものとは?
少し考えてみてみましょう。
国会で審議に審議を重ねて出た結論に対してだったり、裁判所で法律の専門家である裁判官が下した判決に対して行政手続法の出る幕はあるのでしょうか?
このように適用除外の大きなイメージとして「行政手続法でやるまでもない」というものがあります。
行政手続法が出るまでもなく、権威のある機関がが下した判断が適用除外のイメージの1つです。
地方公共団体の機関が個別で対応すべきものとは?
地方公共団体は地方自治が認められており、基本的にその地方公共団体が持つ「行政手続条例」というものを個別で持っています。
よって、基本的に行政手続法の出る幕はありません。
しかしながら例外もあります。それをまとめたのが以下の行政手続法3条3項です。
一応、重要な部分を太字にしてみましたが、これを一発で理解できる人は天才だと思いますので表にしてまとめてみました。
地方公共団体が行う活動が適用除外に当たるかそうでないかは主にその活動の根拠が「法律に基づくもの」か「条例・規則に基づくもの」かで分けられます。
条例・規則に基づくものは全て適用除外になりますので簡単です。
一方法律に基づくものは適用のあり・なしが分かれています。
ここは機械的に行政指導と命令等は適用なしであることから、有名な覚え方「しめいなし」で覚えるといいでしょう。
適用除外は出題された場合、暗記しておくだけで得点に結びつくケースが多いため、積極的に暗記しておくことをオススメします。
まとめ
以上が行政手続法各単元の大枠でした。
行政手続法は条文数も少なく、後に出てくる行政事件訴訟法で要求される暗記量に比べれば得点しやすい科目であると言えます。
しかし、そこは試験問題を作る側も重々承知していますので細かい条文知識を求められることもあると思います。
本番で「こんなこと知らないよ!」と叫びたくなる選択肢が出てきたとしても、焦らず目的条文から思い出して「この問題文は行政手続法の目的に合っている文章か?」と検討する意識が重要です。
次回は引き続き行政不服審査法の大枠について解説していきたいと思います。
ではまた次回。
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