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「FINAL FANTASY Ⅷ」の挑戦

本日FINAL FANTASY Ⅷ リマスタードが発売になりました。

今やスマホでもほとんどのFFタイトルが遊べる時代ですが、Ⅷはスマホ版も無ければ据置機でも一切リメイクされることがなかったため、今回が初のPS以外での発売となります。(PSアーカイブを除く)

※厳密にはWINDOWS版とひかりTVゲーム版があります

そんなⅧですが、FFナンバリングの中でもトップクラスの賛否両論タイトルという印象です。(明確なソースはありませんが)

FFナンバリング最大の販売数となっていること=プレイした人数が多いことも賛否両論の一因ではあるでしょうが、それだけではないように思います。

※20年前のゲームとはいえネタバレ全開なので注意です

「リアル」になったからこそ実現出来たストーリー

FFはⅦから3Dへ移行しましたが、Ⅶではキャラクターは従来のFFに近いデフォルメキャラでした。

キャラクター自体の等身もリアルに近いものになったのはⅧからです。

今作のテーマは「愛」となっており、愛情表現など従来のドットではなかなかリアルに表現出来なかったことを積極的に取り入れています。

グラフィックに加え、主題歌(フェイ・ウォン「Eyes On Me」)が入ったFFナンバリングもⅧが初めてであり、ドラマ性をより引き立たせていました。

主人公のスコールとヒロインのリノアを中心に話が進んでいくため、この2人に好感を持てるか否かでまず評価が分かれると思います。

また、前作のⅦや前々作のⅥはキャラクターの年齢層が幅広かった一方でⅧは「学園モノ」という位置づけになり、主要メンバーが全員10代になったことも感情移入しづらいプレイヤーを産んだ可能性はあります。

さらにはタイムトラベル要素もあり、一見だけでは理解が難しいストーリーでした。

ストーリー中でスコールは何度も過去のラグナにジャンクション※しますが、プレイヤーもスコールにジャンクションして初めて世界観を理解し、スコールとともに魔女を討伐する感覚を味わえるのかもしれません。

※ジャンクション・・・FFⅧ独自のシステム。他人に「接続」する≒憑依的なこと

ストーリーに合わせたシステム

本作はストーリーのためにシステムがあるといっても過言ではなく、先ほど触れた「ジャンクション」はシステムにも現れています。

従来のFFや一般的なRPGでは武器・盾・兜・鎧などを装備したりレベルを上げたりすることで強くなりますが、本作では装備は武器しかありません。

その代わり、G.F.と呼ばれる存在(他のFFで言う召喚獣)をその身にジャンクションし、力や魔力の底上げのために魔法をジャンクションするシステムになっています。

未プレイの方はここまで読んで「意味がわからない」と思うでしょう。そこの分かりづらさも否定的な意見の原因であったかと思います。

しかしながらこの「ジャンクションシステム」がFFⅧのストーリーに深みを持たせているのです。

過去のFFキャラと異なり、Ⅷのキャラは傭兵(リノア以外)と言えど普通の人間です。華奢な女性が掌打ラッシュで巨大モンスターを吹っ飛ばしたり、子供が絵を描いてモンスターを産み出して戦わせたりすることは出来ません。

そんな彼らに戦う力を与えているのがG.F.とのジャンクションなのです。

しかしこのジャンクションにはデメリットもあり、使い続けることで記憶を失っていきます

スコールやゼル、仲間たちは本当は幼馴染であったにも拘わらずジャンクションによって彼らはそのことを忘れていました。(アーヴァイン以外)

そのデメリットを承知の上闘っていく「覚悟」もストーリーの見せ場であり、システムとストーリーがうまく融合していたといえます。

なお、ストーリーのためにシステムを犠牲にしていたのかと言えばそうではなく、魔法精製やカードにより効率的にキャラを育成していくという他作品とはベクトルの異なる強化を楽しめます。が、これも従来作品に慣れたプレイヤーからすると手こずってしまう要素ではありました。

「マーケットリーダー」でありながらニッチを攻めた作品

ここまでを踏まえて私見を述べると、FFⅧは「ウケる人にウケれば良い」という作品だったように思います。

コトラーの分類に従えば「FF」というタイトル、スクウェア(現スクウェア・エニックス)という企業は間違いなく「リーダー」です。

「リーダー」は大きな市場に攻め込んでいくのが常套手段なのですが、FFⅧのコンセプトはその戦略とは一線を画しました。

「スコールという10代の少年とともに成長する子どもたち」

というのが本作品の求めるプレイヤー像だったのではないかなと思います。

FFⅧの時点で初代FFからは12年ほど経っていたのでプレイヤー層も若干上がっていたものと推測されますが、「完全3Dの新たなFF」の始まりとして再び若年層に狙いを定めたのかもしれません。

FFⅧ自身は若年層に絞ったニッチ戦略のタイトルである一方で、Ⅰ~ⅦまでのFFが築いてきた「リーダー」としての地位が故に想定ターゲット以外の幅広い層もプレイしたことにより本作の賛否両論が産まれたのかなと考えます。

プレイ済の方も未プレイの方もこれを機に触ってみていただければ幸いです。

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