見出し画像

hidekのエンジニアと長話 第6-1回【全文書き起こし】~ゲスト:元UUUM CTO BTO (尾藤正人)氏~

stand.fmで配信中の「hidekのエンジニアと長話」6人目のゲストは、元ウノウCTO・元UUUM CTOで現在は技術顧問やエンジェル投資家をされている尾藤正人さんです。

「hidekのエンジニアと長話」は、メルペイVPoEのhidek(木村秀夫)さんをメインパーソナリティにお招きし、ゲストエンジニアとともに作っていくスペシャルトーク番組です。

第6-1回の今回は、元ウノウCTO・元UUUM CTOで現在は技術顧問やエンジェル投資家をされている尾藤正人さんをお招きして、ウノウ株式会社やUUUM時代の話、技術ブログなどについて語りました。

※本記事は、2021年4月30日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。

ゲスト
尾藤正人(BTO)氏 @bto
昔: Vine Linux SPARC版の開発・未踏ユース採択・ウノウCTO・UUUM CTO
今: 技術顧問数社・エンジェル投資数社・未踏ジュニアPM

メインパーソナリティ
hidek(木村秀夫)氏 @hidek
株式会社メルペイ VPoE(Vice President of Engineering)

パーソナリティアシスタント
gami(池上)氏 @jumpei_ikegami
株式会社プレイド エンジニア

エンジニアとボードゲーム

gamiさん(以下、敬称略):皆さんこんにちは。「hidekのエンジニアと長話」進行役を務めます、gamiと申します。今回もhidekさんと一緒にゲストの方のお話を聞いていければと思います。番組への感想は、stand.fmのコメント機能かTwitterハッシュタグ、#hidekのエンジニアと長話、この番組のタイトルと同じハッシュタグまでお願いします。ということで、メインパーソナリティはおなじみこの方、hidekさんです。よろしくお願いしまーす。

hidekさん(以下、敬称略):よろしくお願いしまーす。

gami:収録前も話していたのですが、珍しくですね、Twitterハッシュタグ、毎回読んでるのにそんなにツイートがないのですが……(笑)。

hidek:悲しい!(笑)

gami:前回収録から、ちょうど、songmuさんにですね、4月頭くらいにフィードバックをもらっていまして。ちょっと読むと「これまでpodcastに出てこなかったようなレジェンド層が出てくるのがすごい。近年発信が少なくなってた人たちの最近の考えが聞けるのが良い」。ほめていただいているというか、「レジェンド層」って言われていますけど、その辺どうですか、hidekさん。

hidek:平たく言うと「おじさん」ってことだと思うんですけど(笑)。どうしても「テレフォンショッキング」方式でやっていると、おじさんがおじさんにつながっていくんですよね(笑)。

gami:たしかに、世代を超えづらいですよね。

hidek:そうですね。まあ、そのうち超えていくんじゃないかな、と思います。でも、こういう声、うれしいですね。

gami:そうですね。ぜひぜひ、他の方も、聞いているけどコメントしていない方は、コメントいただけるとめちゃくちゃモチベーション上がるし、stand.fmさん的にも一緒にやっていきやすいかな、と思いますので、いただければと思います。

hidek:よろしくお願いしまーす。

gami:そしたら、今回もゲストの方をお迎えしております。本日のゲストは、尾藤正人さんです。よろしくお願いしまーす。

尾藤さん(以下、敬称略):よろしくお願いします!

hidek:よろしくお願いします!

gami:そしたら、尾藤さん、軽く自己紹介などいただいても大丈夫ですか?

尾藤:はい。尾藤と申します。今はですね、個人で半分ニートみたいな感じなのですが、いろいろな会社さんの技術顧問をしていたりだとか、また、スタートアップにエンジェルで出資をしてたりとか、あとは、未踏ジュニアのPMをやったりしています。よろしくお願いします。

gami:よろしくお願いします。hidekさんとは、はじめてなんですかね?

hidek:そうなんですよ。僕、実ははじめましてで……。

尾藤:はじめましてです!

hidek:よろしくお願いします。お名前はもちろん、かねがね……(笑)。

尾藤:(笑)。

hidek:今回は、zigorouさんからのご紹介ということで、zigorouさんからメッセージをいただいています。読みますね。「先日の『おっさんエンジニア飲み会』、楽しかったです! またやりましょう。尾藤さんの最近の取り組みや今後実現していきたいことなどすごく興味があります! 是非その辺を話してほしいです」 ということなんですけど。「おっさんエンジニア飲み会」をやったんですか?(笑)

尾藤:おっさんですね(笑)。見事におっさんだけが集まって、しかも、現役CTOとCTO経験者だけで集まる、みたいな、そんな感じでしたね。

hidek:へー。なるほどなるほど。zigorouさんも、最近、CTOに就任されて……。

尾藤:そうですね。ベルフェイスでなりましたね。zigorouさんもどんどん偉くなってますね。

hidek:いやいや(笑)。そうなんですよ。かれこれ、彼とDeNA時代、8年〜9年くらい付き合ってたんですけど。ああいうCTOとかやらないかな、と思ってたんですけど、やりましたね(笑)。

尾藤:(笑)。向いているとは思いますけどね、zigorouさんは。

hidek:そうですね。結構、技術に対してもビジョナリーだし、CTOって言われるとスッと入ってくるものがありますよね。ちなみに、尾藤さんとzigorouさんの馴れ初め。どこで知り合ったんですか?

尾藤:僕は、zigorouさんとは、ボードゲームの集まりがあって。僕もzigorouさんもボードゲームが好きなんですけど、今ですね、ボードゲームで「オインクゲームズ」っていう、ボードゲームを作っている会社があって、そこの代表の佐々木さんが主催してた「ボ会」によく行ってたんですよ。で、そこでよくzigorouさんと会ってました。

hidek:なるほどですね。zigorouさん、そういえば、DeNAの、それこそ僕が入社して最初のプロジェクトやるときとか、よく会社にボードゲーム持ってきて。

尾藤:あー。

hidek:プロジェクト進めなきゃいけないんですけど、仕事中にボードゲーム始めるんですよね(笑)。

尾藤:(笑)。

hidek:自由っちゃ自由なんだけど。あと当時、DeNAは初台にオフィスがあって、帰り道、「じゃあ新宿で飲んで帰ろうぜ」みたいな感じで。新宿の西口にボードゲーム屋さんありますよね?

尾藤:はいはい。「イエローサブマリン」ですね。

hidek:ですよね。よくあそこに連れて行かれました。

尾藤:(笑)。

hidek:そうなんですね。ボードゲーム会を「ボ会」って言うんですね。

尾藤:僕らのその会は「ボ会」っていう名前です。

hidek:なるほど。なんか、おすすめのボードゲームとかってあります、最近?

尾藤:おすすめのボードゲーム、そうですね、最近だと、メジャーどころっていうかあれなんですけど、「ドミニオン」とか。

hidek:あー、聞いたことあるかも。

尾藤:これは結構有名なゲームですね。エンジニアの人に割りと好きな人が。トレーディングカードゲーム、「マジック:ザ・ギャザリング」とか「遊戯王」とか「ポケモンカードゲーム」とか、あの辺が好きな人は結構好きかもしれないですね。

hidek:あー。じゃあ、このカードを買ってきて集めて、っていうような?

尾藤:あ、それはですね、TCGなんですけど、デッキを組むのが、もうゲームの中に組み込まれてるんですよ。

hidek:へー。

尾藤:その場でゲーム中にデッキを組んで、そのデッキで勝負をする、っていう、そういうタイプのゲームです。だから何も買う必要ないです。

hidek:なるほど。僕、学生のときに「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を1回やったことがありますね。

尾藤:はいはい。結構、TRPGも、エンジニアってサブカルと親和性が高いので、TRPGやってる人も多いですよね。

語学留学で意気投合しウノウ株式会社へジョイン

hidek:なるほど。はい。ありがとうございます。で、いろいろ聞いていきたいな、と思うんですけど。実は、尾藤さんと僕、共通の知り合いがおりまして、zigorouさんもそうなんだけど、僕、今メルペイっていう会社にいるんですけど、メルカリの社長、山田進太郎さんが最初に立ち上げた会社が、たぶん尾藤さんとやってたウノウ株式会社。

尾藤:はい、そうです。

hidek:当時、2005年とかですか?

尾藤:2005年、それくらいですね。はい。

hidek:うんうん。ジョインしたきっかけって何かあったんですか? 進太郎さんと知り合ったきっかけみたいな。

尾藤:当時、彼、サンフランシスコに語学留学をしていて、僕もサンフランシスコに語学留学行ってたんですよ。で、そのときに、語学留学で同じクラスにいたのが山田進太郎。

hidek:えー! そうなんだ。なんという出会い(笑)。あ、そうなんですね。

尾藤:そうなんですよ。

hidek:じゃあ、それはまだウノウを立ち上げる前ってことですか?

尾藤:いや、ウノウはあって。当時は有限会社だったんですね。で、彼の個人会社でした。僕、いつも「シン」って呼んでるんですけど、シンが結構個人でいろいろ仕事をしてて。で、やっぱり個人事業主だと法人としてやりとりができないので有限会社として作ってたんですよね。

hidek:なるほどです。当時、何かすでにプロダクトがあったりしたんですか?

尾藤:当時は「映画生活」っていう映画の口コミサイトをシンが個人で自分で開発したんですよ。

hidek:うんうん。

尾藤:っていうのが、一応、ウノウの中にあって。で、僕が彼と会ったときに、僕、もともとずっと技術が好きで、あまりインターネットビジネスのことを知らなかったんですよね。知らなかったし、興味が全然なかったんですよ。で、未踏プロジェクトとかもやってたりしたんですけど、ずっとテクノロジー、開発するのが好きで。で、シンといろいろ話しているときに、「世の中にはベンチャー企業というのがあって、ベンチャー企業っていうのが世の中にないサービスが市場を作って、会社が一気に大きくなる」みたいな話を聞いて、「そんな世界があるんだ」って、そこではじめて聞いて。で、面白いな、って思ったのが最初のきっかけですかね。

hidek:へー。なんか、そういう人が、今はエンジェル投資家をやってる、って面白いですね(笑)。

尾藤:そうですね(笑)。面白いですね。

hidek:当時、僕もこのころって、ちょうど自分の会社を自宅でやっていたころで、そうですね、ベンチャーキャピタルとかもあまりなかった時代で。会社をやるとしたら「自己資本か借金か」みたいな。ちょうど、そういうのが始まる……。「Web 2.0」のちょっと前くらいですかね?

尾藤:はい。

hidek:なるほどなるほど。サンフランシスコのベンチャーのカルチャーが、ちょうど日本にも入り始めたころで。

尾藤:はい。そうですね。

hidek:うんうん。で、ジョインすることになって。いきなりCTOとしてジョインですか?

尾藤:最初は、「CTO」っていう単語がそもそも僕、全く知らなかったんで。

hidek:あー。

尾藤:で、普通にエンジニアとして最初は入ったんですよ。で、当時「Web 2.0」のムーブメントが来てて。で、「どうやらテクノロジーのトップの人がCTOって名乗るらしいぞ」っていう情報が入ってきて。「じゃあ俺CTO」みたいな、そんな感じのノリでしたね。

hidek:「VP of Engineering」っていうのも最近ですよね。CTOっていうのも、前、そういえばあんまり言わなかったですよね。

尾藤:そうですね。ちょうど2005年くらいのころに、CTOっていう役職が日本でも認知され始めたと思いますね。

hidek:うんうん。なるほどなるほど。じゃあ、まさに「Web 2.0」の風に乗りながらウノウをやってらっしゃって。で、そのときの当時の開発の辛さとか(笑)。まあ、楽しかったことでもいいんですけど。別に辛さだけを聞く必要ないんですけど(笑)。なんかありました?

企業の技術ブログの先駆け

尾藤:(笑)。そうですね。そこで言うと、僕はウノウのときは、自分ですごく反省点があって。シンプルに言うと、僕、結構性格が悪かったんですよね(笑)。

hidek:どういうことですか?(笑)

尾藤:20代のころのエンジニアの尖った感じで、歯に衣着せぬ発言とかをしてたりとか、結構そういう傾向があったんですよ。だから、僕、今でもウノウ時代のエンジニアと何人かつながりありますけど、当時を振り返ると、今考えるとちょっと申し訳ない気持ちになったりとかして。

hidek:(笑)。

尾藤:ちょっと尖ってたんですよね。で、マネジメントも別にちゃんとやってはいなくて、普通にガリガリプログラムを書いてた、って感じでしたね。で、ウノウのときの話で言うと、結構これってラッキーパンチかなと僕は思ってるんですけど、「ラボブログ」という企業ブログを立ち上げて、それがありがたいことに結構人気が出て、はてなブックマークとかもよくブックマークがつくようなブログに成長して。そのお陰でエンジニアの採用がすごく楽だったっていうのはありますね。

hidek:なるほど。

尾藤:ただ、あれはラッキーパンチなので、結構、再現性がないんですよね(笑)。

hidek:でも、今、結構どこの会社も採用目的で、テックPR目的で、結構ブログの運用とかやっていて。僕らもですけど、そこをテコに入ってきてくれる人とかもいるから、再現性は十分あるんじゃないですか? むしろ、すごく先駆けなイメージで、今、聞いていましたけど。

尾藤:あ、まあまあ、そうですね。ウノウ時代のときほどうまく……。あそこはうまくいき過ぎた例みたいなところがあって。結構、企業の技術ブログってすごく大事じゃないですか?

hidek:はい。

尾藤:大事なんですけど、結構、継続するのも難しかったりするんですよね。

hidek:そうですね。

尾藤:その辺の難しい問題とかがあったりして。ウノウのときは、うまくいき過ぎた感は正直ありますね。

hidek:あー。執筆の継続性って、結構やっぱり重いじゃないですか?

尾藤:重いです。

hidek:業務をやりながらで。僕らも結構そこ苦労しています。大体、執筆者って決まってたんですか? それとも、尾藤さんがメインで書いてたとかあるんですか?

尾藤:もうルーチンになってましたね。

hidek:あ、ちゃんとローテーションが。

尾藤:「この人が必ず書いてください」みたいな感じで。ほぼ強制的にやっていました。

hidek:なるほどなるほど。本当に先駆けですね、聞いてると。

尾藤:(笑)。本当にありがたいことに、あれは人気が出てよかったですね。

hidek:進太郎さん、メルカリでも、結構、テックブログみたいなところを推進してくれるんですけどしてくれるんですけど、その辺の成功体験があるんですかね?

尾藤:たぶんあると思いますね。でも、今、IT企業で「やる方が普通」っていうのも大きいと思いますね。

hidek:うん。何かどこかにヒントがあったんですか? それをやろうと思ったときは。

尾藤:当時ですね、「開発合宿」っていうのが流行り始めて。最近、ブログ閉じちゃったんですけど、「百式」っていうブログが。

hidek:あ、なつかしい! 田口さんのところですよね。

尾藤:そう。田口さんが、開発合宿みたいなのを始めて。で、ちょうど「Web 2.0」企業が「開発合宿で効率よく開発する」みたいなこととかをやっていて。で、当時、ブログも流行り始めたころで。「開発合宿やったけどどうするよ?」みたいな感じで、「だったら技術ブログ立ち上げて、そこで開発合宿の成果とかを書いていけばいいんじゃないか」みたいな感じで始めたんですよね。

hidek:なるほどね。じゃあ、開発合宿のアウトプット先として出していった、みたいなイメージですね。

尾藤:はいはい。そうです。

hidek:開発合宿も、今は名前がいろいろ、「ハッカソン」とか名前を変えながら、結構、会社の文化としていろいろなところでやってますよね。うちもやってますけど。

尾藤:はい。

hidek:ああいう文化いいですよね。

尾藤:いいですよね。

メルカリ創業者・CEOの山田進太郎さんは三国志の曹操タイプ

hidek:うん。なるほどですね。ちなみに、これは個人的な興味もあるんですけど、進太郎さんって本質的にどんな人なんですか?

尾藤:今はちょっとどういう印象なのかわからないですけど、僕の印象というのは、彼はやっぱりネットワークの広い人だな、と思っていて。あとは、インターネットサービスを作ることに関してはものすごく貪欲なんですよね。常に情報を集めてるし、本も常に読んでるし。で、やっぱり起業家っぽいアグレッシブさもあるし。「自分で何かを成し遂げる」というよりかは、「周りを巻き込むのがうまいタイプ」だな、というのは思いますね。

hidek:なるほど。

尾藤:やっぱり起業家で成功する人って、そういうタイプが多いな、と僕は思っていて。やっぱり人をうまく巻き込んでいかないと会社って絶対スケールしないじゃないですか。

hidek:はい。

尾藤:そういうところはすごくうまいな、とは思いますよね。イメージ的には、三国志で言うところの曹操みたい感じですかね。

hidek:あー、なるほどね。

尾藤:優秀な人材を採用して国を強くするのがうまいタイプ。

hidek:なるほどね。そうなんですよね。僕はメルペイで、彼は主にメルカリなので、ワンホップ、ツーホップあるんですけど、それでも、話してたりとか見てたりすると、人を集めるのも上手だし、任せるのがうまいですよね。一旦任せたときには、マイクロマネジメントしないというか。あの辺は会社をスケールさせる人でうまいな、と思ったのと、あと、前段のサービス好きっていうのも。これ、どのくらい言っていいのかわからないですけど、社内Slackで結構、彼、発言してるんですけど、ほとんどが「こんなの見つけた」とか「これ面白そう」とか、そんなのばっかりなんですよ。

尾藤:うん。

hidek:その辺は、ビジネス的な話とか組織の話というよりは、本当にサービスの話ばっかりで。あの辺は、「本当にサービスが好きなんだな」というのは感じてたりするので、今の話を聞いてしっくりきましたね。

尾藤:はい。

hidek:なるほどですね。ウノウ時代で、今のメルカリ・メルペイにいる人って、若干かぶっている気はしていて。

尾藤:はいはい。かぶってますね。

hidek:(笑)。思い出のエンジニアって誰かいます? 今、メルカリ・メルペイにいる人で。

尾藤:誰だろう、思い出のエンジニア。いろいろいますけど、やっぱりcocoitiさんかな。

hidek:あ、そうなんだ(笑)。

尾藤:cocoitiさんとの思い出で言うと、cocoitiさんと昼飯を食いに行ったんですよ。で、ココイチに入ったんですよね。

hidek:はい(笑)。

尾藤:で、ココイチに入って、ココイチの中で僕がずっとcocoitiさんに「cocoitiさん、何にしますか?」「cocoitiさん、何食べますか?」って、ずっと話してて。cocoitiさんが、「もう、尾藤さんと絶対ココイチ行かない」っていう宣言をされた、っていう思い出があります(笑)。

hidek:思ったよりテック関係ない話だった(笑)。

尾藤:(笑)。

hidek:cocoitiさん、メルカリ・メルペイでも、今、コーポレートの方のいわゆるコーポレートテクノロジーみたいなのをやってくれてるんですけど、すごく責任感が強くて。それこそ障害とかがあるといの一番に出てきて、周りを仕切ってやってくれて、あの辺はすごく、修羅場をくぐってるな、っていう気はしますね。

尾藤:僕らの世代になってくると、大体みんなもうプログラムを書かなくなって、マネージャー職についていることが多いんですよね。ウノウ時代の、今、メルカリ・メルペイにいるエンジニア、大体そんな感じになってると思うんですよね。

hidek:なかなかね、コードを書き続けて……。でも、僕は39歳のときにDeNAにプログラマーとして転職しているので。

尾藤:おー、すごい!

UUUMでのCTOの仕事とアーキテクチャの話

hidek:42歳まで障害対応してましたよ(笑)。人それぞれのキャリアなのでいろいろあると思いますけど。なるほどですね。そのあと聞いてみたかったのが、UUUM。今、グイグイって言うとあれですけど、YouTuberとかあの辺ですごく話題の会社なんですけど、UUUMでCTOをやってらっしゃって。

尾藤:はい、そうです。

hidek:すごく、いきなりエンタメの世界ドーン、って感じなんですけど(笑)。

尾藤:はい、そうですね(笑)。

hidek:これ、何かきっかけあったんですか?

尾藤:これはですね、僕、ウノウを辞めたあとに、個人で会社をやってたんですよ。自分でいろいろ事業を立ち上げたりとかしたんですけど、その辺が全然うまくいかなくて、結果が出なくて。で、技術顧問を何社かやってたんですよね。で、そのときに、ジャフコの人とたまたま会って。ジャフコの人が、「出資先で技術に困ってる会社がある」って言って紹介されたのがUUUMだったんですよ。

hidek:あー、なるほど。

尾藤:で、UUUMに最初は技術アドバイザーみたいな感じで入って見てたら、いろいろ大変だったんですよね。で、「これはなんとかせんといかんな」と思っていろいろ動いてて。で、手伝い始めて1ヶ月後くらいのタイミングに、今のCEOの鎌田さんからお声がけしてもらって、「CTOになりませんか?」っていうオファーをもらって、それを承諾した、というそういう感じの経緯ですね。

hidek:なるほどですね。これもちょっと間違ってたら申し訳ないんですけど、UUUMってどうしても、「コンテンツクリエイターの会社」っていうイメージがあって、「CTOとして求められる課題だとか問題ってどういうのがあるのかな」ってイマイチ、こうピンとこなかったんですけど。なんか、そういったところに課題とかあったんですか?

尾藤:はい。UUUMって、YouTuberの事務所で、そういうのを「MCN」って言うんですね、向こうの専門用語で。MCN、マルチチャンネルネットワークって言うんですけど。そのマルチチャンネルネットワークに所属しているクリエイターの数がめちゃくちゃ多いんですよ。

hidek:はい。

尾藤:で、今、ちょっと正確な数字がわからないですけども、僕がいたころで9,000とか。

hidek:うわー。

尾藤:それくらいいるんですね。で、もちろんトップオブトップっていうのは違うんですけど、UUUMの中で「専属」っていう呼び方をしていて、マネージャーがつく、僕たちは「バディ」って呼んでたんですけど。そのマネージャーがつく専属っていうのは、その中のトップオブトップで、その下の階層は「ネットワーク」って呼ぶんですけど、マネージャーがつかないんですよね。

hidek:うんうん。

尾藤:で、彼らをマネジメントしていかないといけないので、人力だとできないので、内部でクリエイターさん向けのツールがあるんですけど、そのツールの開発をやっているんですよ。

hidek:あー、なるほどね。

尾藤:そういうのを作ったりとか、あとは会社の中のお金の流れとかですね。

hidek:はいはい。

尾藤:9,000人のクリエイターさんとかがいると、「どのクリエイターさんがどれくらい収益を上げるのか」っていうのを集計するのもものすごく大変な作業になるんですよね。そういうのを自動化したりだとか、支払いも自動化したりだとか。結構、社内向けのツールの開発を主にやっていました。

hidek:そうなんですね。その辺は、最初から「内製で作っていく」みたいなところだったんですか? それとも、「もともと何かツールを使っていてうまくいかなくて内製化した」みたいな。

尾藤:最初から「作る」って話になっていて。

hidek:そうなんだ。

尾藤:そうですそうです。僕が入るときには、もうすでに開発は動いてたんですよ。

hidek:あ、そうなんだ。

尾藤:そうです。開発は動いてて、当時、外注のエンジニアが3社で15人くらいいて、「この機能作ってくれ」「あの機能作ってくれ」ってスケジュールを引いて、みたいな感じでやっていて。まあ、開発が結構カオスになったんですよ。

hidek:はいはい。

尾藤:今だと笑い話なんですけれども、データベースのスキーマの変更があると、ALTER TABLE文がメールで共有されたりだとか。

hidek:おー!(笑)

尾藤:本番へのデプロイが、FTPで担当した人が責任を持って変更したファイルをアップロードする、とか。

hidek:おー、なるほど(笑)。

尾藤:(笑)。そういう感じの開発で、僕からするとめちゃくちゃびっくりするわけですよ。そりゃ、当たり前の話なんですけど。

hidek:はい。

尾藤:で、「これはどげんかせんといかん」っていう感じなんで、僕が入ってから、僕が入ったすぐあとにリードエンジニアの方が入ってくれて、で、その方を中心に全部書き直した、っていう感じですよね。

hidek:あー、なるほど。組織も内製化してたり、って感じなんですかね?

尾藤:組織は内製化をほぼできてなくて、一応、エンジニアが3人いたんですけど、最終的に残ったのはひとりですね。

hidek:あー。なかなか難しかったですか、その辺は。

尾藤:そうですね。残りふたりは「プログラムを書く」というタイプのエンジニアではなかったので、別の部署に行ってもらって。

hidek:うんうん。なるほどですね。いやー、9,000人のマネジメントツール、結構、要件としては高いですよね。

尾藤:まあ、でも、そんなに大したことはないです、正直やってることは。ただの普通のWebサイトです。

hidek:なるほどなるほど。結構、「UIとか工夫しないと死にそうだな」っていう気がしたんですけど。

尾藤:あー。C向けのサービスと違って、C向けのサービスってUI・UXってすごくこだわらないと競合に勝てないじゃないですか。

hidek:はい。

尾藤:でも、僕らの場合は、唯一無二の存在なので、そこがそんなに、ちょっとあれですけど(笑)、うまくできなくてもなんとかなるっちゃなんとかなりますね。

hidek:なるほど。ちなみに、アーキテクチャというか「プログラミング言語は何を使った」とかあるんですか?

尾藤:最初は「Drupal」っていうPHPのCMSのツールがあったんですけど、それで書いてたんですけども、そのあと「Symfony」で書き換えました。

hidek:あ、そうなんですね。UUUMの中のアーキテクチャの話って、あまりなかなか外には出てこないので面白いですね(笑)。

尾藤:そうですね。特別、ものすごく技術的に尖ったものっていうのは基本的にはないですね。

hidek:あー、なるほど。うん。「デリバリーの方を優先して」って感じですかね?

尾藤:あ、そうですね。はい。

hidek:わかりました。ありがとうございます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?