マガジンのカバー画像

82
運営しているクリエイター

2022年3月の記事一覧

うつ病に抗うつ薬を使うか使わないか

うつ病に抗うつ薬を使うか使わないか

うつ病から「回復する」ために、薬はそれほど重要ではない。

うつ病の「再発を予防する」ために、薬は非常に重要である。

この2つは一見相反するものの、事実である。

抗うつ薬を飲んだ方がいいか?飲まない方がいいか?うつ病になってしまったら、薬を飲んだほうがいいのか? それとも できるだけ飲まずにいた方がいいのか?

・うつ病は非常に多くの人がかかる疾患である
・一度かかったら、再発する危険性は非常

もっとみる
再燃と離脱の違い

再燃と離脱の違い

再燃と離脱を見極めることは重要ながら、簡単ではない。

離脱症状薬を減量・中止した際に出てくる症状で、中止した薬が何かによって症状は変わってくる。

抗精神病薬の場合、不安、焦燥、不眠、嘔気、下痢、腹痛、頭痛、ジスキネジア、アカシジアなどが代表的な症状である。

抗不安薬・睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)の場合、不安、焦燥、不眠、嘔気、頭痛、動悸、手の震え、発汗、筋肉痛、知覚変化、幻覚、てんかん発作な

もっとみる
認知症のうつ病に抗うつ薬は効かない

認知症のうつ病に抗うつ薬は効かない

認知症のうつ病に、セルトラリン(ジェイゾロフト)、ミルタザピン(リフレックス)は効果がないという論文がある。

プラセボ効果の高さなんでもかんでも抗うつ薬を使用するのは問題である、という点に関しては賛成である。

ただしこの論文の最も注目すべき点は、認知症でもプラセボ効果が非常に高いということである。

1つ目の論文では39週後にはプラセボでもほぼ正常レベルまで回復しており、薬物治療が無意味という

もっとみる
抗うつ薬による体重増加と性機能障害

抗うつ薬による体重増加と性機能障害

抗うつ薬の副作用として代表的なものは口喝、眠気、倦怠感、胃部不快などがある。

しかし体重増加と性機能障害も比較的大きな問題となることが多い。

体重増加することの多い抗うつ薬出典:Serretti A et al. J Clin Psychiatry 2010。

1) 体重は増加

アミトリプチリン(トリプタノール)
ミルタザピン(リフレックス)
パロキセチン(パキシル)

補足:増加すると言

もっとみる
全般性不安障害も長期間抗うつ薬が必要

全般性不安障害も長期間抗うつ薬が必要

全般性不安障害を始めとする不安障害に対する治療は、今やSSRIなどの抗うつ薬(パロキセチン、セルトラリン、エスシタロプラム)を第一治療とすることが一般的になっている。

しかしSSRIは、一部の薬がパニック障害や社交不安障害(社会不安障害)や強迫性障害やPTSDに対して適応を取っているものの、全般性不安障害に対する適応は取っていない。

全般性不安障害にSSRIで治療するときには適応外使用となり、

もっとみる