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【ドイツ】増えるホームオフィス/リモートワーク コロナ後も続く?

新型コロナウイルスの影響 ホームオフィスやリモートワークの増加

ドイツでは新型コロナウイルスによってホームオフィスを強いられた人が増えたと同時に、ホームオフィスに対する評価も上がったようです。IT業界協会ビットコムの調べでは3月時点で既に、アンケートに答えた2人に1人の従業員が在宅勤務を行っていたとのことです。現在さらに在宅での勤務に切り替えた人は増加していると考えられます。

リモートワークやホームオフィス これまでとの変化

ドイツ経済研究所によれば、2016年にはドイツ国民の10人中4人がホームオフィスがで可能な仕事環境にあったとのことです。ただし多くの人が、ホームオフィスを許可されていなかったと言います。その背景には上司の不安があり、仕事の効率が下がることを懸念していたことが挙げられます。

新型コロナウイルスによって多くの人にホームオフィスが強いられた今、それまで不安がっていた上司や経営者は「やれば出来る」ことに気づくのではないか、と労働研究を行う産業心理学のリサーチアソシエイト、ヤン・ディグッチュ氏は言います。

問題点や不満は?

仕事を与える側はホームオフィスに寛容になる反面、家から仕事を行う人の負担が増える場合もあります。

自宅で仕事を行う場合、業務時間がぼやけてしまい制限がなくなってしまいます。ドイツの就業者の業時間を比較した2014年の調べでは、職場で働く同僚に比べて在宅勤務者は週平均で3時間ほど多く時間を費やしていることがわかりました。それに加え、在宅労働者の心理的ストレスと疲労も大幅に高まると言います。

ホームオフィスやリモートワークのメリット

心理的ストレスや疲労が高まる可能性のある在宅勤務には、どのような利点があるのでしょうか。

家で働く人が思うメリットには以下のような点が挙げられます。
「通勤する必要がなくなった」
通勤時間がなくなり、時間の余裕が持てることや公共交通機関での通勤ストレスが回避できることは多くの人にとって好印象を与えています。

「オフィスでのストレスが減った」
会社での仕事は上司や同僚の目があり、自分のペースで仕事をすることが難しいと感じている人も多いようです。在宅勤務の場合、1人で集中して作業が行えることがメリットとして挙げられます。

「自分の仕事をより柔軟に編成できる」
通勤時間がないこと、上司や同僚が同じ空間にいないことに加え、家にいるということで、作業に集中できるタイミングを自らコントロールできることも効率良く仕事が出来、プライベートの時間を作りやすいと考える意見もあります。

しかし、職場での勤務から在宅勤務に切り替える際に、これらのメリットをメリットとして捉えるためには、セルフコントロールや作業内容へのフォーカス、また仕事とプライベートの境界線を自ら作るなどを要します。

ドイツの産業心理学者の勧める在宅勤務のはじめ方

新型コロナウイルスの拡散を受け、外出規制が行われたことにより、ドイツでは職場で働いていた人の多くがホームオフィスやテレワークのような在宅勤務に切り替えました。これまでとは違う環境での作業に戸惑う人もあるでしょう。

前出のヤン・ディグッチュ氏による在宅勤務に慣れるアドバイスや注意点を紹介します。

・通勤していた時のように着替え、同じタイムスケジュールで仕事する
仕事に行く時のようにきちんとした服装に着替えることや、これまでと同じタイムスケジュールで仕事をすることは多くの人にとって、在宅勤務を行う上で役立ちます。もちろん、休憩時間もこれまで通りくみことが重要です。

・To-Doリストやマイルストーンの活用
会社で行う仕事でも取り入れるような、To-Doリストやマイルストーンを使って作業を明確にし、効率が測ることができます。長期に渡る作業にはマイルストーンが効果的のようです。これは、時間やタイミングを決め、作業内容の進み具合の目標を決める方法です。

・目標を共有し、モチベーションを維持
番人に効くようなモチベーションの維持方法はありませんが、自分の目標を共有することは1つの方法として挙げられます。達成したことを報告することによりフィードバックがもらえることや、相手の目標達成に触発されてモチベーションを維持することに繋がります。

・空間や場所によって集中スペースを決める
子供がいる家庭では家族で話し合い、タイムスケジュールを共有し、空間を分けて「集中する場所」を決めることも有効的です。
ただし、これは人によって異なります。はっきりと時間や空間を分けて行う作業を好む人もいれば、仕事をプライベート空間に持ち込むことを好む人もいます。後者は在宅勤務に魅力を感じやすく、いつも以上に生産性の高い生活できているように感じられ、モチベーションに繋げられます。

・注意点:不安に陥りやすい
一部の人はうまくオンオフの切り替えができず、十分な作業を行えていないのではないかと心配になります。この不安を解消するためにも作業内容のTo-Doリストは役立ちますが、同僚や上司とのコミュニケーションと社内での透明性を測る事が役立つ場合があります。上司の信頼が重要となってくるので、部下を抱える人は理解を示す事も重要です。

まとめ

世界各国、新型コロナウイルスの拡散により在宅勤務が注目を集めています。ドイツでは在宅勤務者が大幅に増え、メリットやデメリットがある中、この強いられた状況では工夫して、在宅業務を行うことが進められています。

コロナ危機と言われるこの状況から元の生活に戻る時、職場に戻ることを喜ぶ人、在宅勤務を続けて取り入れて行きたい人、双方の意見があります。ただし、これまでは在宅勤務を視野に入れていなかった企業が多かったからか、実施されたアンケートではドイツで働くの従業員の多くが、「コロナ後もホームオフィスを望む」とする声があがっています。通勤して職場で行う仕事が浸透していたからこそ、在宅で行う仕事との比較ができなかった人々が、それぞれ自分にあった仕事の行い方が見えてきたのかもしれません。

作業効率や個々にあったワークスタイルが増えるといった面では、今後コロナウイルスが収束してもなお、ホームオフィスやテレワークを常用化する会社も増える可能性は十分あるのではないでしょうか。

参考記事:
・IT業界協会ビットコム 
【コロナ・パンデミック:ホームオフィスで作業する人が大幅に増加】

・バイエルン研究所
【サンプリング調査:労働者の3分の2がコロナ後もホームオフィスを以前より取り入れることを考えている】

・ライプニッツ労働研究所・ドルトムント工科大学:
【突然のホームオフィス:ドルトムント工科大学ライプニッツ労働研究所の産業心理学者とのインタビュー】


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