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Appleのデザイナーはどんな思考やアプローチでデザインしているのか? デザイナー必見のセッションが目白押し! WWDC2018 3日目レポート

hey@WWDC2018!
みなさま毎日レポートへのリアクションありがとうございます💪
今日は目玉のイベントもなくモクモクとセッションをこなす一日となりました。
本日はデザイナーにとっても興味深いセッションばかりだったので、それぞれコンパクトにまとめてお届けします。
セッションの動画は随時公式に上がっているので、見る前の参考にしていただければと思います。

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Building for Voice with Siri Shortcuts

昨日の「Introduction for Siri Shortcuts」の続編。ユーザーがアプリ内でいかに自然にShortcutsを追加してもらえるようにするか、最適なShortcutsフレーズのサジェストの方法などが解説されていました。

カスタムレスポンスでガッカリ体験をしっかりフォロー
Siri Shortcutsのおまじないが唱えられて、無茶振りだったとしてもシナリオ設計してカスタムレスポンスを設定しておけば、ガッカリするような体験になったとしても、きちんとフォーローすることができるようになっています。
Conversational UIと同じで、単にフレーズに対応するタスクを実装するだけでなく、ユーザーの一歩先をゆくようなシナリオきちんと設計した上で実装しないと逆に残念な体験になってしまうので要注意。

フレーズ登録はマニュアルでの操作を終えた後に「Add Siri」がベストなフロー
実際のところユーザーはどうやってこの機能を追加できるようにすべきか? といった点で、はじめから色々な情報や機能の説明したりすることはユーザーに負担がかり、そもそもShortcutsとはなんぞや? ということから始めなければいけません。
なので、Shortcutsで行えるタスクをユーザーがマニュアルで初回の操作を終えた後に「Add Siri」ボタンを表示することで、「あ、なるほど今やったことが今度からはSiriに喋りかけるだけでできるのね」という感じで理解をスムーズにつくることができるようにするのがベストとのことでした。

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The qualities of Great Design

「素晴らしいデザインは魔法ではない。」こんな言葉から始まり、世界トップクラスのデザイナー達への15時間にも及ぶインタビューから導き出された、優れたアプリケーションのデザインを実現するための方法を、デザイナーの言葉から紐解いていました。

良いデザインの前に良いコミュニケーション
「良いUIのデザインをつくったつもりでも、世に出ていくプロセスでどんどん理想とかけ離れていってしまう。」こんな葛藤を覚えたデザイナーの方は少なくないのではないでしょうか。
「What helps starting a new project or new team?」デザイナーとしてチームの力になれるようにするには何を実践すれば良いのでしょうか? という質問に対して「How do you work? How do you communicate? What’s your preferred method of communication?」と、まずは相手に寄り添うような言葉のコミュニケーションを心がけることが重要だということでした。
デザイナーである前に、優れたチームコミュニケーションを促すファシリテーターであること。多くの人がデザインに触れ、関わってくる以上は、それを創り出すデザイナー自身も何よりコミュニケーションを大切にしなければならないということに気づかせてくれます。

少数のためのデザインと多数のためのデザイン
熱狂を生み出すような、飛び抜けて優れた体験のデザインを実現するためには、誰の何のためのものなのかを明確にし、一部の極端な少数のためにフォーカスしていくことが重要なのはよく知られています。
一方で、多様性を持った多数のためにデザインしなければならないときもあります。そんな時にどうすればよいか、「How do you approach designing so many people?」という問いに対して「Knowing what you don’t know」とシンプルかつストレートに本質をついた言葉で答えてくれています。
ソクラテスの「無知の知」という言葉もあるように、デザイナーが自己の世界に閉じて経験則だけでデザインするのではなく、自分がいかに「知らない」ことに気づけるようにするか、それが視野の広いバランスのとれたデザインをするために欠かせないことなのだと思います。

ここで出ているワードはほんの一部で金言だらけなので、一通り動画でも見ることをオススメします!
https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2018/801/

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Intentional Design

ユーザーの心にストレートに届き、意図的に行動を起こせるようなデザインをするためにはどうすればよいか。メタファの使い方や、極端な考えを活かす方法、自然なインタラクションを自然なものにするためにどうすればよいかを解説しています。

過激なほどシンプルにせよ、
話はそれからだ。
直感的で優れたアプリケーションのほとんどはびっくりするぐらいシンプルなことの方が多いのではないでしょうか。機能がたくさんあることだけが優れたアプリケーションの指標とは限りません。
「What people really want」という言葉から、ユーザーが心から必要としていないものは思い切って削ぎ落としてしまう。そうすることで、飛び抜けてシンプルで優れた体験が実現できるということでした。
過激なほどシンプル、そして使いやすい。その実例として紹介されていた「iTranslate Converse」は、言葉の通じない人同士の間を取り持つ翻訳アプリケーションとして、画面をタップ&ホールドして喋るだけでお互いの言葉を自動的に翻訳してくれるもの。
旅行中の路上などで画面を注視したりするのはユーザーにとって負担のかかること。そんな、ボタンを押すという行為すら意識しないぐらいシンプルな画面と機能によってユーザーの目的をダイレクトに達成できるようになっているということでした。
サービスをつくっていると、つい「あの機能がないと成り立たない」「この機能を入れれば新しい層のユーザーを増やせるんです」とかいう考えを放って置くと、すぐに複雑化してしまいがち。一度原点に立ち返って考え直してみることの大切さを教えてくれます。

エクストリーム。
極端なユーザーにフォーカスせよ。
飛び抜けて優れた、熱狂的なファンに支持されるような体験のデザインを実現するためにどうすればよいか。
そのためにはターゲットのいる市場全体の「0.1%」の極端なユーザーに支持されるものをつくることから始めることが重要だということでした。
1万人いたら100人が熱狂的にファンになってくれるエッセンスを入れていくこと。それはパーソナリティを感じさせるものであり、ユニークであり、記憶に残りやすいこと。そうすることでアプリケーションに個人的なつながりを感じてもらえるようになるということ。
その例として「Carrot weather」というアプリは、美しいUIはもちろんのこと、それをきちんと土台にした上で、冗談を言い合うような友達同士のような雰囲気ででユーモアの効いたメッセージを表示することで、ユーザーとの特別な関係を築けるようになっています。
「これをやったら他のユーザーに怒られるかも」「こんなことしたらクレームくるんじゃなかろうか」そんな事なかれ主義の思考に囚われてしまっていないか。ユーザーが驚いたり喜んだりする姿を想像して、遊び心のある体験を取り入れていくことも重要なのだと気づかせてくれます。

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Designing Fluid Interfaces

Smoothでもなく、Fastでもなく、Magicalでもなく、Fluid。
Appleのインターフェイスデザインチームが重視している、Appleらしい楽しさのベースにあるFluidな操作体験を実現する方法を、モーショングラフィクや動画で惜しげもなく伝えてくれます。

ユーザーの期待に先回りする
心地よいインターフェイスとはそもそも何か? という問いに対して、「Our interfaces need to be fluid because we are fluid」として、私たちの動作に関わるものすべてが「fluid」なものであり、その実際の動きにインターフェイスも合わせることで心地よい体験が作れるとしています。
その例として、現実の世界でカナヅチを手にした時はユーザーが手の感触や音などを通じてダイレクトにフィードバックが流動的に返ってきます。使い慣れてくるとそれが身体の拡張であるかのように感じられることで、使い心地の良いものになります。
同じように、画面のインターフェイスもユーザーの動きに合わせて機敏に反応しないとすぐに不自然さを感じてしまいます。
それらの違和感を徹底的に解消するために、アニメーションのフレームをあえておとしつつモーションブラーを加えることで自然な動きに見えるようにしたり、アニメーション中でもユーザーが目的を変更したいと思った時に操作を受け付けられるように、エンジニアリングチームとも協力して作り込んでいるそうです。
デザインするインターフェイスそのもを意識させないぐらい透明な存在にするために、地味ながらも愚直にユーザーの期待に先回りしてインタラクションのディテールを作り込んでいくことが重要だということが分かります。

「教える」のではなく「楽しませる」
はじめの操作はシンプルでも「習熟」していくことで、より良い「使い心地」を感じてもらえるようにするためにはどうすればよいか?
操作方法を学習するのは誰にとっても面倒なものですが、Appleのデザイナーは「Fun, Playfullness」といった考えを持って、そのネガティブに感じられる学習を、「これをこうしたらこうなるかも」という期待を先読みしたりして、その探索から起きる発見を楽しいものに変えていくアプローチをとっているそうです。
これは先日行われた任天堂のデザイナーの方々が登壇された「UI Crunch〜娯楽のUI〜」で言われていた事と共通するものがあり、「遊び心」をとりいれること、「楽しませる」ということは、優れたUIデザインには不可欠な要素であることが改めて分かります。

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Accessible Technology and Inclusive Desing Get-Together

ぶっ通しセッションのあとは「Accessible Technology and Inclusive Desing Get-Together」に参加。
普通に使っていたら気づかないような、カメラに写ったものを認識してその名称を読み上げる機能や、タッチインターフェイスの代わりにボタンだけで操作できるようにするものなど、Appleアクセシビリティ機能のデモやアプリケーションなど、興味深いものがたくさんありました。
AppleがDiversityやInclusive Designにとても力を入れて、さまざまな人々の力になろうとしているビジョン、そこに積極的に参加していく開発者の方々の姿勢はとても前向きになれる光景でした。
さまざまなテクノロジーやネットワークに小さな個人でもアクセスして活用できるようになった今だからこそ、ヴィクター・パパネックが『生きのびるためのデザイン』の中で理想として掲げた、多数のための画一的なデザインではなく、少数のための多様なデザインに取り組んでいくことがますます重要になってくるなと感じました。


本日レポートしたものや他セッションの動画は👇のApple公式ページから閲覧できるので休憩時間にでもどうぞ!

今日はこんなところで(書き終えたのは現地時間でAM3時...
明日もセッション&Bashの雰囲気についてお届けできるよう頑張ります💪

WWDC4日目のレポートはこちら👇




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