マイナーな評価式

みんな極限の評価式使ってるー?

僕は博士課程入って最初に書いた論文でe^{0.05}が1.1と比べてどちらが大きいかを厳密に測る必要があったりした人間なのでわりと変な評価するのには慣れてます。が、それでもしんどかった評価はあるよねってのが今回の話。

僕がいままで使った技術で一番マイナーなのはたぶんこれ。

https://en.wikipedia.org/wiki/Integral_test_for_convergence

いや、分野によってはマイナーじゃないのかもしらんけど。少なくとも「この形に帰着すれば解ける」ということに気づくまでにかなりかかった。ちなみにこの定理自体は杉浦光夫『解析入門I』の五章に載ってます。あの部分誰が読むんだって感じだけどね!

これ、わりと強いのは、if and only ifなんだよな。だから級数の収束を議論したいときにこれでチェックできなければ無理。むしろそっちが使われてるところもある。

ところで杉浦光夫はこれを「オイラー=マクローリンテスト」と呼んでるんだけど、wikipediaではMacLaurin-Cauchy testになってるんだよね。こういう訳語の細かい差が、英語で論文書くときに微妙に困ったりするのです。そもそも英語論文に杉浦光夫の本引用できないしね。「日本語でこういう結果書いてる本知ってるんですけど、英語でなにに載ってます?」って、これ何度も他人に聞いたことな。

実はさりげなく困るのがポントリャーギンの『常微分方程式』。あの本は名訳なんだけど、訳者がロシア語の改訂版から訳してる。で、それとはべつに旧版の英語訳があるんだけど、旧版だから、一番重要と思われる第四章の構成が微妙に違ってるんだ。ちゃんと読んでないけど、たぶん英語版ちょっと論理のギャップがあって、間違ってる。その根拠として、Gronwallの不等式の出るところが改訂版の訳である日本語版の方が早いのだ。あれは「早くする必要があることに後で気づいた」としか思えない。

……で、ところでGronwallの不等式、これもまた困りもので、ポントリャーギン版のこの不等式、ちょっと独特なんだよね。少なくともwikipediaのアレとちょっと違う。で、ポントリャーギンの本は上で言ったように英語版に問題があるんで他を当たりたいんだけど、どこに載ってるかわかんねっていう。

このへんマジでごっちゃごちゃ。誰かポントリャーギンの本、改訂版の方を英語に訳してくれ。引用するから。めっちゃ引用するから……!

というわけで、今日の記事はただの愚痴でした。以上!

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