形にするということは(藤原)
昨日、演出をさせていただいた作品の稽古場公演が終わりました。ちょっとホッとしました。藤原菜々美です。
短い作品の稽古場公演という形ではありますが、いろんな方のお力をお借りしながら、作品作りの0→1を経験させていただくことができました。
今回、「ガラス工房にある宝物」という作品を書きました。
北海道にある父の工房を継いだ弟が、本当の夢との葛藤に悩み、兄に打ち明けることで二人の心が互いに揺れ動く。そんな作品です。
ゲネ時点で出た課題を本番ギリギリまで話し合って修正し、本番は今までで一番良いお芝居になったと思います。
ゲネを終えて三人で話している時に「もっと時間が欲しいね」という話に。でも「突き詰めても突き詰めても完成なんかきっとなくて、だけどそれがおもしろいよね」という話で少し盛り上がって。あぁだから、自分は今とてもお芝居に魅了されてるんだな、と改めて感じる瞬間でした。幸せ者です。
はじめは、誰かに読まれることですら恥ずかしいと思っていましたが、
そんな作品を真剣に読み込んで「短い作品だし無駄にできる台詞は一つもない」と表現してくださる方々がいて、
そのお芝居に音響を付けてくれる方がいて、
観てくださる方々がいて。
そして、形にすることができました。
それはとても贅沢で、自分には勿体ないなと思う時間が流れた約1ヶ月でもありました。本当にありがとうございましたの気持ちでいっぱいです。
終わってから、観ていただいた皆さんにいろんなご意見をいただきました。良かったところ、もっと頑張れるところ。演出は俯瞰することがとても大事ですが、目の行き届いていない部分がたくさんあったことも分かりました。世界観の作り方、小道具一つの扱い方、衣装、間や音楽を入れるタイミング。これらは舞台上の世界を作るのにとても有効であると同時に、使い方を間違えると、いとも簡単に役者が作った世界観を壊してしまうこともあるんだなということも学びでした。
でも何より、
キャスト白井さん・椿さん、音響のあやぽりさん、つーとんチーム、手伝っていただいた皆様と一緒にこの企画をやらせていただいて、私はとても楽しかったです。
キャストのお二人には、私の拙い台本を本当に膨らましていただきました。これはこうだよね、とか、いや、僕はこう思う、とか、兄弟は二人しか出てこないけど実は5人兄弟で意外に悩んでないのでは、とか、この家族って実は結構お金持ちなんじゃない?とか。笑 そんな話をしている時間が私はとても楽しかったです。そして、作品の余白を共有していくうちに、自分の見えているものなんてほんの少しだったんだな、と思いました。人とセッションしたり、コラボしたりして、いい意味で想像してなかったものができていく。誰かと作品づくりをする面白さは、ここにあるんだなと改めて思いました。
2チームの音響をしていただいたあやぽりさんにも、最後までいろいろとアドバイスを頂きました。音はここで切った方がいいかもね、などと一緒に最後まで考えてくださったり、客観的に観た感想もたくさんいただいて、隣にいてくれてとても心強かったです。
つーとんチームも、透き通ったキラキラした作品でした。若さを表現する軽快なスピード感と、流れる台詞一つ一つが綺麗な言葉たちだよなぁと改めて思いました。つーとんとの帰り道は「演出って難しいよね、でも楽しいよね」といつも同じ話を繰り返していた気がしますが(笑)、相談させてもらえてとても有り難かった、そんな存在でした。
形にするということは、やっぱりとっても楽しいことだなと思います。
今回の経験は、演出や脚本を書くということだけでなく、次の演じさせていただいく機会にも活かしていけたらと思っています。
ありがとうございました\(^o^)/
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