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その先にいる、君へ。(アスカ)


二度の通し稽古を経まして、今。
というぐらいの時期でございます。

先にいるあなたのことを知らずに精一杯生きて、
先にいるあなたを思っていま言葉を紡ぐ。

そういうシーンを積み重ねております。

思ってもみなかったことが起きて、
それは思ってもみない素敵な未来に繋がっている。
人生の分岐点は、そこここにある。

時空を飛び越える(※タイムスリップするという意味ではない)お芝居なので、いっそもっと多重に複層的な飛び越え方をしてみようかなと思ってみたり。
あの時のアレがこの時のコレに繋がっていて、似た構造になっていたり、
逆にここがアレの過去かと思いきやもしかしたらアレはコレのこういうことだったりするかもしれない、なんて、考察厨的な楽しみ方もできそうだななんて予感も香ってきたり。

パズルのピースがパタパタとはまってきたり、深読みを深めまくって絡み合わせてみたり、こういう通し稽古をたくさんすることによって面白くなっていく時期なのであります。

我々が「こうかな」とかって組み上げてきたものが、前から観ている人の頭の中で積み上がってようやく完成するという芸術が演劇でございます。
美味しいご飯は口の中で味を感じて初めて完成する、みたいなのと同じことです。

だから見てくださる方々の中で、どんなふうに完成するのか、それを感じながら演るのがいつも楽しみでなりません。

さて、人生の分岐点、がキーワードとして出てくるこの「クロスシーン」ですが、あなたの人生の分岐点はどこでしたか?

この質問、実は初演の時にみんなで話し合ったことがあるのです。
みんないろいろな分岐点をあげていて面白かったです。
わたしも自分の分岐点を考えてみて、いくつか浮かびました。でも、あれ?よく考えてみると、あれもこれも分岐点じゃね?すげーでかい分岐点が二つとか三つとか、そんなどころの騒ぎじゃなくて。分岐点、めっちゃいっぱいあるくね?ていうか、私にとって毎日が分岐点だわ。毎日なんらかの分岐点あるし、なんならいまこの瞬間ですら、毎秒毎秒分岐点にすることもできるし、実際そうなってるわ。
って、気づいちゃったんですよね。

いまこの瞬間から、分岐点。
自分のことをどう思うか、いまなにを見るのか、どんな声を出すか。全部、リアルタイムに分岐点。だからって、怖くなっちゃって引っ込む必要もなくて。落ち着いて自分のペースでいいから、選びたいと思えるものを選ぶ。その結果は、とっ散らかっちゃったとしても「失敗」ではないから。

慌てて生きてるとなかなか、そんなこと忘れちゃうんですけどね。ふと、改めて思い出しました。

そして、そのようにして、自分の役、博子さんも生かしてあげよう、と思いました。
さて、次回もまた通し稽古。
どんな風に変わるかしら。
楽しみです。


小野愛寿香

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