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No Pain, No Gain(白井)

SWITCHの稽古に時間をかけて進めています。作品自体は80分程度かな。それほど長い作品ではないと思います。
タイトルにあるのは、ちょうど僕が最近の趣味にしているボルダリングのトレーニング方法を調べていた際に、ブログに書いてあった小タイトルのようなもの。
最後は勝手に落ちるから、落ちることを想定して練習してもしかたない。そんな意味合いの文章を含む「指の腱」を鍛えるトレーニング方法が書かれていました。それはそれ。

週末の稽古では、
稽古日誌については、書く者の主観に基づいてしか書けないことをはじめにお伝えしておきます。他の人がどんな考えを持って作品作りに取り組んでいるか、もちろん、しっかりと真面目に取り組んでいてくれていることは確信を持って言えるんですが。
内面でどう言うことを考えているかなんてことは、深いところまではわからないし、なかなか言語化が難しい。そんなふうにいったん言い訳をしたところで、わたくし、個人的なことを申しますと、
少し勇気を出して、2、3箇所、演技プランの変更を行ってみましたところ割とよくハマり、人間の芯が一本すとんとはまった感覚を得ました。個人的に。
僕が演じる人間が、ちょっと勇気を振り絞ってみるというシーン。
見ている、同じ場所にいた人たちにいかほどかの影響を与えられることができれば幸い。気持ちを切り替えるスイッチの連鎖の初手になればいいなと思っています。

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①自分を縛っている自分自身から自由になる事
最初の最初に「こんな風かなぁ」と思った、いわゆる自分の「第一印象」というのは、一つの指針になり得もしますが、自分の発想を縛り付ける呪いにもなると心得ております。
キャラクターや、喋り方から、演技を作っていってしまうとそれに縛られて感情が動きにくくなってしまう、そんな事が起こります。
言語が感情を刺激することもあれば、言語が考え方を決めることもある。
言葉のおしまいが現在形に書かれているか、過去形に書かれているかで「意志」と「後悔」ほどに気持ちの差が出てくることもありますよねぇ。
「信じてます」と、
「信じてました」と。
これだと「期待」と「落胆」ほどの差があるのかなぁ。
台本から得られるものは数限りなくあります。

②自分以外の物事(台本や演出、舞台の設定)などで自分を縛る事
物語を地図上の道だとすると、
登場人物の感情の変化や、深い思慮などは、海の底だとか山の上だとか、そんなものなんだと思います。てくてくまっすぐ舗装されたまんまに歩いていってみるのか。それとも、
重たい荷物を持って、杖持って汗かきながら酸素の薄い山の上。
呼吸を止めて、暗くて冷たい水の下。浮かび上がれないかもしれないリスクを背負いながら、何かが落ちてるかもしれない海の底。
まぁ、例え話でしかないですが、どちらが魅力的でどちらに好奇心をそそられるか。大変な道を選ぶことで、不自由さが発生することになるんでしょう。

③縛られたなかで自由にもがく事。
作品を作っている我々が辛くてしんどければそれだけ、作品は豊かになるし、見ている人にも楽しんでもらえるものになる。
後味のよくないものが出来上がってもいいなぁなどと、思うこともあります。息が続くかわからないけれど、山の上に行くのも海の底にいくのも、自由。

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変化し続ける事はとても大切だけれど、その変化は本人の自発的なものであった方がよい。作品中にも稽古場の中にも、大人と子供がいる。なかなか難しいところだが、勝手に育つ子供よりも、変化を怖がり止まってしまう大人にはならないように、よく感じ、よく変わり、よく寝てよく食べようと思う今日この頃。春はもうすぐ。

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