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『日本語検定の現状と問題点』メンバーコラム#3

現在、世界には約4,000,000人ほどの日本語学習者がいると言われています。
その中でも特に日本にいる外国人労働者の数は約1,700,00人と多く、コロナが収まりつつある中でこれからも増加していくと考えられます。
そこで日本語を学ぶ上で外国人の方々はどういった検定を受けているのか、またどのような問題点があるのかこの記事を通して紹介したいと思います。

日本語検定の必要性

外国人の方々が日本で働くためには、日本語の資格がないといけないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実際はそうではありません。
就労ビザの種類によっては検定がなくても日本で働くことが可能な場合もあります。

その一方で、言語能力が伴った就労ビザの方が条件が良いことは明らかです。
ここではビザの種類について詳しく言及はしませんが、言語能力が必要な「特定技能1号」(日本語能力検定4級以上) と言語能力が必要とされていない「技能実習」においての条件の違いを比べてみたいと思います。

まず、賃金に違いがあります。
検定が必要とされる「特定技能1号」の平均月収は174,600円なのに対し、検定が必要とされない「技能実習」の平均賃金は161,700円です。

賃金だけでは少しの差だと感じる人もいるかもしれませんが、仕事の質も大きく異なっています。
例えば「特定技能1号」の場合、介護、建設、宿泊、農業など14種類の職種から選ぶことが可能です。
一方、「技能実習」の場合は機械、食品製造、農業など比較的工場や力仕事がメインになってきます。

最後に言語を話せることは、働く人にとって、精神的な余裕を生み出すと考えられます。
日本語以外を使える人が少ない日本だからこそ、生活の質に多きな差が生まれてくるでしょう。
このように、日本で働く人にとって日本語検定はとても重要なのです。

在留資格別外国人労働者の割合

日本語検定の種類と概要

日本には実際には10種類以上の日本語検定がありますが、特に受験者が多いのが日本語能力試験(JLPT) です。
日本語能力試験は1984年に始まり、現在では80カ国以上で年2回行われています。
受験料は6400円で、最も上の級であるN1レベル合格までには約1000時間の勉強が必要と言われています。

日本語検定を取得すると、日本出入国管理上の優遇措置を受けるためのポイントが付与されたり、また医師になるための国家試験を受験するためには必ず取得する必要があります。

最近では日本語能力試験以外にも、オンライン形式の日本語基礎テスト等が出てきており、より多くの外国人が検定を受けるようになるかもしれません。

日本語能力試験 認定の目安

日本語検定の現状と問題点

日本語能力試験 受験者数の推移

上のグラフを見ても分かるように、日本語能力試験の受験者数はコロナ以前まで年々増加していて、それに合わせて日本語能力試験を採用の基準とする企業も増加しています。

また世界、特に東南アジアで日本語教室数も増加していて、日本で就活を行う外国人留学生の9割が日本語能力検定2級以上を取得しているというデータもあります。

一方で、2つの問題点を挙げることができます。
まず、日本語能力試験は話す力と書く力が試されにくいと言われています。
N1を持っているのに、コミュニケーションが取れないというケースも実際にあるようで、話す力を試すために面接を別で行う企業も増えてきています。

2つ目は、日本語学習者が増えているのに対して、日本語教師数が増えていないことです。
これは日本人の認知度が低いことや教師の給料が低いことが関係しています。

日本に来たいと思ってくれている外国人が多い中で、このような現状は好ましくありません。
より多くの外国人に日本に来たいと思ってもらえるためにも、日本人がこういった現状に興味を持つべきだと考えます。

参考
1.「外国人雇用状況」の届出状況まとめ (2020)
2. 坂井 伸彰 (2018) 日本企業における外国人留学生の採用活動の現状と課題
3. Japan Foundation 国際交流基金 (2018) 海外の日本語教育の現状
4. 文化庁文化部国語課 (2017) 国内日本語教育の概要
5. 日本語能力試験とは


執筆者:高岡 和真
沖縄出身、現在はアメリカの大学に通っている19歳。
国際交流や国際協力に興味があり、多くの外国人と話す中で彼らの日本に対する情熱に触れ、少しでも相互理解を深めることができたらという想いから本記事を執筆。


最後までお読みいただきありがとうございました!
次回の記事もお楽しみに!

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