カタロゴス_数

3分読了!カンゲキレビュー!~劇団5454『カタロゴス〜「数」についての短編集〜』

ステージチャンネルの仲 俊光(なか としみつ)です。

ステージチャンネルにご登録いただいた劇団5454(ランドリー)さんの『カタロゴス〜「数」についての短編集〜』のレビューを書かせて頂きます。

「数」についての5つの物語をまとめた短編集で、トータル93分。
劇団5454の短編であるカタロゴスシリーズの第1弾。すべての役名に数字を入れる徹底ぶりです。


レビュアーの趣味嗜好(不要な方は飛ばしてくださいまし)

カンゲキレビューでは、参考までに少しだけ私の趣味嗜好をお伝えしております。

「カンゲキ人口の拡大」をミッションに掲げておりますため、演劇ではなく別のエンタメ作品を挙げさせていただきまっす。

好きな映画:『バック・トゥザ・フューチャー』『トイストーリーシリーズ』『幕末太陽傳』『500日のサマー』『少年と自転車』あと黒澤映画など挙げればキリがありません。

今クールの好きなドラマ:『スカーレット』『麒麟が来る』『テセウスの船』

好きなアニメ:『映像研には手を出すな!』『スラムダンク』(最近見直してどハマり!全国大会もアニメ化してほしい!!)

好きな漫画:『スラムダンク』『シュート』『マスターキートン』『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』『天使なんかじゃない』『ピンポン』

好きな落語:立川談志『芝浜』立川談春『文七元結』桂南光『火焔太鼓』橘家文蔵『猫の皿』桂枝雀『まんじゅうこわい』春風亭一之輔『初天神』などなど、これまたキリなし。

最近の人生の感想:病院でもらう花粉症の薬はすごい!めちゃめちゃ眠いけど。


劇団5454『カタロゴス〜「数」についての短編集〜』レビュー

カタロゴス_数

「スコアラー」
劇団5454によく出てくる高樹一美の物語。
私はカタロゴス第3弾の「青」から観ているので、とても気になる存在です。
あらゆることを点数化する趣味を持つ女性が
年下彼氏に振られることから物語が進展していく。
テンポがあって観やすい。
もっと観たいと思ったところで終わってしまうが、高樹一美の物語は続くので、必見!

日本では評価としての数字から逃れることはできないことを痛感させられる。ちなみにジェイスコアというAIで数値化される点数で私は735点です。

ポップながらも時代を風刺した作品

『カタロゴス〜「数」についての短編集〜』は2014年の作品だが、今だからこそ実感できることも多いのではないかと思う。

雨の表現は、映画で物語の転機としてよく使われる手法だが、
それを取り入れていて、しかも照明と効果音ではない方法で表現しているのが面白い。
興味深い+笑えるを掛け合わせた、面白い。だ。

ところで末っ子男性って減点対象なの?年下嫌いからしたらそうなのかな。


「不安の偶数、終わりの奇数。」
一転、こちらは憧れの宅飲み(そういうもの?)に挑む男子大学生の物語。
モノローグに合わせた芝居(顔芸)も面白い

人の関係性を奇数と表現することで、数の物語として成立させている。奇数あるあるの広げ方も素晴らしいし奇数と偶数のドキドキ感もあればオチもある作品。
10分ほどの短編ながら、笑いどころを外さないのがすごい。
エンターテイメントに真っ向から向かっているところも素晴らしい。


「ロス」
こちらは叔父と甥と、時々祖母の会話劇。
叔父との関係性上、親とは違う話ができる。そういうリアリティが徹底されている。
特にそう感じるのは「機会損失」というワードで数に結びつけている点。
親から機会損失なんてこと言われたら説教くさくて聞いてられない。
期待値や経営の話にも発展し、普通に勉強になる。
恋愛における機会損失の話やデータには表れない感情の話もあるので
数字が苦手な方もぜひ。
きっとこれだけで長編も作れるであろう骨太な作品です。
「ロス」というタイトルの意味を考えては、色んなことを思ってしまう。


「ゾロ目のお告げ」
人間の未来には2~30通りほどあり、行動によって未来は変わる。
対象の人間を幸せに導くために人間を理解しようとする守護天使。
ある守護天使がダークサイドからの誘惑に負け
ブラジルワールドカップに行っている間に対象の人間が大変なことに。
守護天使の立場から人間を見つめながらも、守護天使自身も人間と同じようなことで苦しんでいる姿を見守る作品
観客である我々は守護天使を見つめるているような幾重にも階層があるように感じる
最後のあれはどういうことを意味しているのか、ダークサイドに堕ちてしまったのか。。。


「ゼロサム」
ゼロサムとは、一方の利益が他方の損失になることを言うらしい。
色んな因果関係を表しているのかもしれない。
ある数字を引くと連れ去られてしまう。
何を意味しているかは明らかにされないが、「台無し」という言葉が頭に浮かんだ。


以上5つの物語のレビューでした。
おかしみのある人たちの日常を切り取る
落語の世界観に通じるものがあるなと感じる短編集でした。


カンゲキ初心者へのオススメ度:5(5段階評価)

短編集は初心者にとっては、入りやすいのではないでしょうか。

個人的には「ロス」「スコアラー」が特にオススメ!ぜひすべて観ていただいて「同感!」「コイツ分かってないなぁ」などご意見ください!!

前回の『ト音』(再々演)の際にも書いた時間やシーンの飛ばし方はこの頃から健在です!

次に観るのは『カタロゴス「洗」についての短編集』にするか、『ト音』の別バージョンにするか、旗揚げ公演の『ランドリーシンドローム』にするか、次回公演の対になりそうな(勝手に言ってるだけです。真実ではありません)『好き』を観るか、『時食』も『トランスイマー』も気になるって言ってたらキリない。。。でも迷えるって贅沢ですね!ぜんぶ観るし。


劇団5454:次回公演のお知らせ

次回公演は今年5月『嫌い』です。https://5454.tokyo/stage/kirai.html

3月22日(日)10:00〜前売り開始だそうです!

他にも、春陽漁介さん脚本演出の、山崎裕太35周年記念ヒトリシバイ『赤ずきんちゃんのオオカミ

村尾俊明さんが、東京マハロ 第23回公演 『あるいは真ん中に座るのが俺』に出演されます。

ぜひ劇場でご覧ください!!

カンゲキサイコー-04