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「KCIA 南山の部長たち」は独裁政治だった韓国を知るきっかけとなる映画

コロナ影響によって、気になっていた映画が続々と上映延期に。。。
007やキングスマン、エヴァまでも延期に。
そんな劇場作品が延期になるなか、ついにMCUのドラマ「ワンダヴィジョン」がディズニー+で配信が始まり、こちらが面白くて毎週金曜日が楽しみだ。

とはいえ、毎週劇場に行くのもできる限り続けたいと思い、
今年4作品「KCIA 南山の部長たち」を見に行った。

そこには自分の知らない韓国の歴史があった。

あらすじとしては、
1979年10月26日に当時韓国の大統領、朴正熙が大統領直属の人間に暗殺された「韓国大統領暗殺事件」のノンフィクション作品を基に描かれたフィクション。
「KCIA」= 大統領直属の機関として絶大な権力を持つ韓国中央情報部
映画では大統領暗殺事件が発生する40日前から事件が起こるまでを描いた物語。
事件の40日前、元KCIAのパク・ヨンガクが亡命先のアメリカから独裁者の朴大統領を告発する。それに激怒した朴大統領がKCIAのキム・ギュピョンに事態を納めるよう依頼するところから動き出す。
なぜキム・ギュピョンはパク大統領を殺してしまったのか。


自分は関係ないかもしれないが理系出身で歴史の知識が浅く、勉強不足であったため、今作を見るまで「韓国大統領暗殺事件」についてはまるで知らなかった。

殺されてしまった朴正熙は1961年に軍事クーデターで権力を手に入れ、軍事政権と樹立し、その勢いで1963年から大統領となり、都合の悪い相手であれば有力者であっても退けたりして自分の立場を維持したり、政敵の人物を拉致したりと軍の力で独裁政治を行った人物らしい。

韓国にとっての歴史の闇、そして映画の冒頭にも出てくる「実話を基にしたフィクション」であると強く表現されているが、約40年前の政治的大事件を映画化する韓国はすごい。
監督はインタビューの中で、政治的な意図はなく、なぜ大統領が殺されたかを考えて欲しいとコメントされているので、自分なりの考察を述べたいと思う。


なぜ大統領は殺されたのか、いやなぜキム・ギュピョンは殺してしまったのか。

KCIAの部長でありながら、民主的な思想を持つキム・ギュピョンに対し、おそらく同じく大統領直属の機関である警備室長のイ・ヒジュンは独裁的な思想が強く、この二人は相反する関係となっていた。そして、その上に立つ独裁政治を行っているパク大統領が存在する。
キム・ギュピョンとしては事件の40日前の元KCIAの告発をきっかけに、パク大統領を辞任させ、国を、独裁政治を変えようと強く計画していたのだと思う。
しかし、思い通りにことは進まず、ついに重大な決断を下す。
パク大統領を辞任させるため、二度と戻れない行動をとったキム・ギュピョンだったが、逆にその判断によって大統領からの信頼を失うこととなってしまった。
そして、ちょうど時に民間人を軍事力で制圧させようと大統領が動き出してしまった。その時、事件は怒った。

「何をやってもパク大統領を下ろすことはできない結果」「勢いを増す独裁政治」そして「自分がとってしまった行動への怒り」この3つが重なった時に殺害するしかないという判断になったのだと思う。


キャストとしては、KICAの部長キム・ギュピョンを演じる主演のイ・ビョンホンの渋さがハンパない映画、イ・ビョンホン好きなら見て損なし。
好きなシーンは、計画的で知的で隙がないキム・ギュピョンであるが
ラストの止めを刺す時のテンパり方がちょっとおいおいと思わさせられる。

後、韓国映画は雨のシーン、雨量がすごい気がする。
(パラサイトを思い出してしまった)


同じアジアの国として、日本人として、歴史を知るきっかけになった。
知っておくべき事件、歴史的にも学ぶべきものは多いと思う。
見てよかった映画。

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